第百三十六話 おそろいです
テストも終わり、順位が廊下に張り出される前日。
知り合いになった半田君に会いに行きました。
そうです、レンテン君のご友人の半田君です。
あのしおりを見て、半田君に今期生徒会のしおりを作ってもらおうということになりました。
泉都門校章を入れて何期かを入れてもらおうと。
お願いしに行きましたら、狭い部室に八人まして入り口で何故か押し合いへし合いしながら迎えていただきました。
「うわ、マジ本物!?」
「すげー、この制服」
「ちょ、押すなって」
「男子、触っちゃだめ!」
私の来ている制服に興味を示されたようです。
「あのー」
「あっ、すみません。部長の福町です」
「初めまして、生徒会補佐の水崎です。今日はお願いがありまして」
「この前半田に会いに来た方ですよね」
「はい、実は…」
しおりの件を伝えますと、全員が怪訝な顔をされました。
「生徒会ってそういうの業者に頼むものじゃないんですか?」
「数枚ですので」
「あぁ、なるほど」
「でもさー、そういうのってお金とかで何とかなるもんじゃないの?」
ニヤリと笑いながら言われましたが私は首を横に振りました。
「泉都門生徒会は豪快なところは豪快ですが、無駄なことには使っていませんよ」
「…ごめんなさい」
「いえ。それで、お願いできるのでしょうか」
「良いけど。本当に俺らのデザインでいいの?」
「手作り感が気に入られたようですし、作る前のデザインは一応見せてもらいますよ」
ちなみに、このしおりは全員自分のお金です。
生徒会のお金は使いません。
「7枚ですね。了解です。デザインができたら連絡します」
「お願いしますね」
ブックマーク…そ、そうですね。昨今はそういうんですね。
しおりで良いじゃないですか…。
ちょっとショックを受けつつ漫画研究会の部室を出て行こうとしましたら、奥から半田君が出てきました。
「あの、水崎さん」
「はい?」
「えーと、その。写真撮ってもいいですか」
「……はい?」
後ろで「おお勇者」と声が聞こえました。
「写真…ですか」
そんなに珍しいですかね? この制服。
まあ、今期は真由ちゃんと私しか着ていないので、珍しいんですね。
「良いですけど。他に渡さないでくださいね」
「は、はい。もちろんです!」
僕の携帯外には出しません! と力強く言ってくれましたので前と後ろの二枚だけ許可しました。
「ありがとうございます」
振り返るとすごく幸せそうです。
そんなにこの制服好きなんでしょうか。
「すごいの作りますから、楽しみにしててくださいね」
「はい、楽しみにしています」
笑って言うと、何故か真っ赤になりました。
「顔赤いですけど、大丈夫ですか?」
「はっ、はいっ。大丈夫です、失礼します!」
ドゴンとドアにぶつかって額を強打してますよ。
本当に大丈夫でしょうか。
「それでは失礼します」
半田君は奥へと行ってしまいましたが、他のメンバーが手を振って見送ってくれました。
にぎやかで楽しそうですね。
振り返ってみると、まだ手を振ってくれていて振り返した後、階段を下りました。
生徒会に帰って芹先輩に伝えて今日のお仕事は終わりです。
明日はいよいよ順位発表です。
二十五位以内にいることを願います。