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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百三十五話 持ち主は誰ですか?



 生徒会室には生徒会役員以外は一応入れないことになっているので、視聴覚室に行くことになりました。

 晃先輩のことは言わないでください。

  

 修斗先輩と私と真琴と真由ちゃんが来ています。

 話を聞くのは私たち女子で修斗先輩はボディーガードみたいなものです。


 防音の聞いた部屋は他にもあるのですが、現在空いているところがここでした。

 隣の教室で持ち主だと名乗り出た三人のうち、一人ずつ来てもらって話を聞くことにしたのです。

 名乗り出たのは女子二人に男子一人。

 全員一年生でした。

 

「私のです、証拠って言われても、とにかく私のなんです。買った場所は覚えていません」

 一人目の女子の言葉です。

「証拠ですか? 特にないですけど、私、園芸部員なんです。花が好きで色々グッズ集めてます。ほら、これもこれもなんですよ」

 持っているお花グッズを見せた二人目の女子。

「友達に貸した本にしおりを挟んであったんです。え? あぁ、二組です。二組の友達に貸したら本が返ってきた時しおりがなくて。あせりました。だってあれ、既製品じゃないので」

 三人目の“既製品じゃない”と言葉に私たちは驚きました。

 厚手の紙に書いた絵を特殊なシートに挟んでくっつけるそうです。


「僕のために友人が作ってくれたしおりなんです。友人ですか? 七組の半田です」

 何故男子が男子に花のしおり?

 と私たちの頭がハテナマークで一杯になった時、彼が生徒手帳から写真を取り出しました。

「これ、あのしおりと同じ花です。レンテンローズって言います。僕の名前、連家天馬れんげてんまって言います。その頭をとってレンテンっていうのが僕のあだ名なんです」

 もっともレンテンってつけたのもアイツですけどと言って連家君は笑いました。

 後ろで修斗先輩がレンテンローズ検索したようで、私に頷いてくれました。

 これは、持ち主決定ですね。

 念のため、半田君にも話を聞きに行くと元のデッサンが残っていたため、確定しました。

 美術部かとおもいきや、マンガ研究会でしたけど。

 二人の女子に言いに行こうとしましたら、すでに姿がなく。

 逃げられましたね。

 顔は覚えていますが。まぁ、自分たちで分かっていることでしょう。

 確かに、これ綺麗ですし。欲しくなるかもしれません。

 でも、嘘はだめですよ。


「では、これお返しします」

「ありがとうございます」


 後に判明したのですが、二組の生徒が借りた本からしおりを落としたことに気づかず。それを拾った生徒がそばにあった教科書に挟み、そのまま閉じた生徒が教科書を落として真由ちゃんと取り間違えした…ということらしいです。

 

 それから、クリスマスっぽいと思っていた縁取り。

 やはりクリスマスカラーでした。

 レンテンローズの別名がクリスマスローズ。

 昨年のクリスマスにプレゼントされたそうですよ。


 花にも色々名前があるんですね。

 勉強になります。



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