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私は急に止まれない。  作者: 桜 夜幾
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第百二十七話 今更なことですが



 月曜日になって芹先輩と修斗先輩にお土産をいただきました。

 先に日向先輩にもらったと言うと悔しそうな顔をしていましたが、早いもの勝ちじゃないんですから。


 十二月も近づくと、三年生の登校日が少なくなってきました。

 静先輩と貴雅先輩は、お二人ともそのまま大学部へ進むことが決まっているそうです。

 晃先輩はどうするんでしょう。まだ聞いていませんね。

 生徒会の仕事も色々と引継の話が出てきます。


「あの、今更なんですが」

「どうしたの陽向ちゃん」

「確か、生徒会って選挙があるはずでは?」


「あぁ。とっくに終わってるよ」


「えっ、いつの間に?」

「九月に」

「はあ?」


 立候補のポスターを見ませんでしたよ?


「ボクら以外誰も出ないよ。期間中応募がない場合はそのままなんだ」

 無投票で当選ってことですか。


「静先輩は来年の三月まで生徒会長だよ」

「それはまた随分と…」

「こき使われるだろ? だから誰も立候補しないんだよ」


 静先輩は苦笑しながら書類に判を押しました。

 実質二月くらいで終わるみたいです。


「俺が引退したら、芹が生徒会長だ。副会長は同じ学年にしないことになっているから、陽向・真琴・真由の三人の中の誰かに副会長になってもらう」

 そうなると、貴雅先輩が書記だったので、一年生の書記を入れるということになるんですね。

 あぁ、でも真琴か真由ちゃんが副会長になるのですから、書記か会計のどちらかも一人必要と言うことですか。

 書記に一年生を入れるので会計の真琴が副会長になるのが自然でしょうか。

「陽向、完全に自分を除いてるでしょう」

 真琴が苦笑して言います。

「え、だって」

「陽向が副会長だ」

 静先輩が断言して。

 全員を見ると、何故か頷かれました。

「えっ、雑用しかしてきませんでしたよ?」

「一つの仕事にこだわらず、すべての仕事を手伝ってきた陽向だからこそ。ふさわしいと全員で意見が一致した」

 私を抜いて話し合わないでください。

 だって、だってですよ。このまま何事もなく二年生になって、そのまま生徒会にいたとしてですよ。

 三年生になったら…生徒会長になっちゃうってことじゃないですか!?

「えっ、いくらなんでもそれは…」

「陽向ちゃん」

「はい?」

「そんなにボクの隣は嫌かな?」

 黒い靄が見えます見えます。

「いえ、芹先輩の隣が嫌とかじゃなくてですね」

「それなら、いいよね」

「真琴と真由ちゃんは!?」

 中等部の時、真琴が生徒会長だったはずです。

「頑張ってね陽向」

 ニッコリ真由ちゃん。

「陽向が適任だと思うよ」

 ニッコリ真琴。

「もう一人の一年生は陽向のように補佐に?」

「そうだね、すべての仕事を網羅させるには良いかもしれない」

 と言うことは現中等部生徒会長が新学期から補佐になるということになります。

 ううう、蝶ヶ原君ごめんなさい。


 変な前例作ってしまいました。


 あ、でも機械苦手でしたよね。

 だったら良かったのでしょうか。

 山影君がいろいろ大変そうですけど。


 

 そういえば風紀委員長は誰がなるのでしょう。

 晃先輩は三年生ですし。


「え? 風紀委員長? さぁ、まだ誰になるか聞いていないね。静先輩は知ってます?」

「いや、まだだな。あいつの後だからなあ。生半可なやつじゃ勤まらんかもしれん」


 大変そうでしたものね。


「晃先輩もこれでやっと肩の荷が下りるんでしょうか」

「あー。どうだか。大学の学生部がほっとかんと思うぞ」

「静先輩は?」

「誘いはあったがな、俺は断った」

 晃先輩は理事長の息子さんですからね。

 色々しがらみみたいなのがあるのでしょうか。

「中等部高等部としっかり、こき使われたからな。大学部ではやりたいことをやるつもりだ」


 同じ敷地とはいえ、三年生の先輩は卒業してしまうのかと思うと、さすがに寂しくなりますね。

 まぁ来年の話ではありますけど。

 

「というわけで、陽向ちゃんが副会長に決定ね」

「というわけで…じゃないですよ!」


「誰の反対もないし、けってーーーい」

「芹先輩…」


 ニッコリ笑った芹先輩の目が何故か笑っていません。


 結局副会長になることを了承しました。


 でも生徒会長になるのは絶対阻止してみせますから。


  

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