第百十一話 とある一室にて side甲田晴来
今回は短いです。
「入り込んだ奴が泉都門を出たのは確認した。だが、また入らないとは限らない。他の奴に生徒手帳が渡っても困る。ここへ入ってきた理由も気になる。故に警察に通報はしたが、捕まえるのは俺たちだ」
はいっと室内に複数の揃った声が聞こえた。
「泉都門風紀委員の名にかけて、必ず捕まえるぞ」
どこが風紀委員なんだ? よっぽど警察みたいだよね?
そう思って隣に立つ日向を見た。
何故かメガネの奥の目が光ったように見えて、背筋が寒くなる。慌てて正面を見ると熱い男が一段高いところに立って鼓舞していた。
現在、応援団部(仮)の男子が風紀委員に要請されて室内の後ろがわに立っている。
これ、俺たちいらないんじゃない?
っていうほどの熱気。
風紀委員のみなさんの闘志がすごいことになってるし。
「団長、僕たち何すればいいんでしょうね」
後ろに立っていた一年の応援団部員がこそっと聞いてきたが、未だ知らされていないので返事のしようがない。
ちなみに団長にはジャンケンで負けた、俺…甲田晴来がなることになりました。
団長二人のままでいいんじゃない? って言ったんだけど、やっぱり代表ってのは必要らしくて。
日向とジャンケンをして俺が負けたというわけ。
くそう…ジャンケンには自信があったのに。
今のところ、団になるか部になるかは決まっていないらしいけど、応援団という団体ができることは決まったみたいで今回かり出されたというわけ。
水崎さんに言われた通り注意事項をきちんと読んでから書類に書き込んだし、人数も申し分ないので許可はもらえたようだ。
今回は力が欲しいというよりは、人数が欲しかったみたいなんだけど。
それにしても俺たちと風紀委員の、この温度差は何とかならないかな。
俺たち(?)ちょっとどん引きです。