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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第5章:紬と蓮の選択
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【第59話】 渦そのものが“紬の名前の核を砕けるかどうか”を試す形に変わるとき

渦の最深部は、紬の名前の核を飲み込むことに失敗した。

黒い穴は砕け、黒い霧は紬の周囲から完全に離れた。


だが――渦は止まらなかった。


むしろ、

渦そのものが紬の名前の核を試すために形を変え始めた。


紬は胸の奥を押さえた。

「風花」という響きは、渦の内部に入ってからずっと強く、鮮明に響いている。


蓮は紬の手を握り、渦の変化を見つめた。

「紬……渦そのものが動いてる。

次は“最終試練”だ」


紬は息を飲んだ。

「最終……試練……?」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬! 渦は紬の名前の核を中心に選んだ。

だから最後は“核そのものを砕けるかどうか”を試す形になるよ!」


真白は紬の手を握りしめた。

「紬ちゃん……胸の奥の響きが渦に引っ張られてる……!」


ミナは渦の奥を見つめながら言った。

「影の心臓の残滓も、黒い穴も拒絶された。

だから渦は“紬の名前の核そのもの”を試すしかなくなった」


紬は胸の奥が強く揺れた。


■渦そのものが“名前の核を砕くための形”に変わる

渦の最深部が、ゆっくりと閉じていく。


黒い霧が左右に割れ、中心に巨大な“黒い刃”が生まれる。


その刃は、紬の胸の奥にある名前の核の響きに合わせて震えていた。


紬は震えた。

「……これ……核を砕くための形……?」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……渦は紬の名前の核を砕けるかどうか試してる。

砕けなければ、紬は渦の中心になれる。

砕けたら……渦は紬を拒絶する」


ユイが叫んだ。

「紬! 黒い刃が紬の名前の響きを切ろうとしてる!」


真白は紬の手を握りしめた。

「紬ちゃん……刃が紬ちゃんの名前の核を狙ってる……!」


ミナは渦の奥を見つめながら言った。

「影の中心の攻撃よりも強い。

これは“渦そのものの力”だよ」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」が強く光る。


■黒い刃が紬に語りかける

黒い刃が脈打ち、名前の響きを放つ。


――ふうか

――ふうか

――くだけるか

――ためせ


紬はステッキを握りしめた。


「風花は……砕けない」


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!!」


ユイが風を送り、真白が光を重ね、ミナが黒い刃の根元を切り裂く。


紬は叫んだ。


「風花――!!!

私は……砕けない!!

名前の核は……私のもの!!

影にも渦にも……絶対に砕かせない!!」


黒い刃が大きく揺れた。


渦の内部が震え、黒い霧が紬の周囲から離れていく。


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……渦は紬の名前の核を砕けなかった。

紬の名前は……渦そのものより強い」


紬は胸の奥を押さえ、静かに頷いた。

「風花……ここにある……

絶対に奪わせない」


渦の最深部が――

紬の名前の響きに従って、ゆっくりと閉じ始めた。


まるで、

渦そのものが紬の名前の核に屈服した

そんな風に見えた。

あとがき(紬の日記)

渦そのものが私の名前の核を砕こうとしていた。

黒い刃は私の名前を砕けなかった。

渦は私の名前を本物だと認めた。

渦の最深部が閉じ始めた。

明日は渦の終わりに進む。

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