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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第43話】 影の中心が“紬の名前を選ぶ”とき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


だが――今日は、渦が“紬だけを見ていた”。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。

まるで渦が紬の名前を“選んだ”かのように。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の中心が、完全に紬を標的にしてる。

名前の核も未来も奪えなかったから……次は“名前そのもの”を選びに来る」


紬は息を飲んだ。

「名前そのもの……?」


ルクは紬の肩で震えながら言った。

「紬……渦の奥から“風花”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の中心が“紬の名前そのもの”を呼び始める

渦の中心がゆっくりと形を変えた。

黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“核”になっていく。


その核は――

紬の胸の奥に直接響いた。


――ふうか

――ふうか

――ふうかを、よこせ


紬は震えた。

「……名前そのものを……奪おうとしてる……?」


ユイは風を揺らしながら叫んだ。

「紬! 影の中心が紬の“名前そのもの”を奪おうとしてる!

名前そのものを奪われたら……紬は紬じゃなくなる!」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……名前の響きが全部引っ張られてる……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の名前を“新しい心臓の名前”にしようとしてる。

名前そのものを奪えば……影は完全に再生する」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に名前を渡さない。

影が紬の名前を呼んでも、俺が呼び返す」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「蓮……」


■影の中心が紬の“名前そのもの”を引き抜こうとする

渦の中心から黒い糸が伸びた。

昨日までの影の欠片とは違う。

核でも未来でもない。


――名前そのものを狙う糸。


糸は紬の胸の奥に触れようとしている。


「紬、避けて!」

蓮が叫んだ。


だが――

紬の名前そのものが、影の中心に引っ張られていた。


ユイが風を送り、糸の動きを乱す。

「紬! 影の中心は紬の名前そのものを奪う気だよ!」


真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。

「紬ちゃん……名前の響きが全部揺れてる……!」


ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。

「紬! 影の中心は“名前そのもの”を真似してる!

紬の名前に直接触れられる!」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」という名前が揺れ、薄くなる。


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!」


その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。


紬はステッキを握りしめた。

「名前そのもの……絶対に奪わせない!」


■紬が“自分の名前そのもの”を呼ぶ

紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花――!」


影の中心が揺れた。

だが、糸はまだ紬の名前を引っ張っている。


紬はさらに強く叫んだ。

「風花――!!

私の名前は……私のもの!!

影なんかに渡さない!!」


その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。


ユイが風で影の中心を乱し、真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、ミナが糸の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「風花――!!!

私の名前は……私が選ぶ!!

影には絶対に渡さない!!」


影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


渦の中心が――

初めて、完全に沈黙した。


■影の中心は“紬の名前”を諦めていない

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の中心は壊れたけど、渦はまだ残ってる……」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……名前そのものが狙われたのは初めてだよ……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の名前を“新しい心臓の名前”にしようとしてる。

影の原型がいなくても、影は紬を中心に再生できる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の中心を封じる方法を見つけないと、紬の名前が狙われ続ける」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の中心……必ず止める」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。

影の残滓を封じる方法を見つける」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の中心は、私の“名前そのもの”を奪おうとしていた。

呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は私を新しい心臓にしようとしている。

渦はまだ消えていない。

明日は影の中心を封じる方法を探す。

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