迷聖
もみの木のトワイライトゲームに参加したヒナ。
トワイライトゲームとはてっぺんの星を取り、取った勝者は願いごとが叶うゲームだった。
そんな時、ヒナの目の前にスノッピーが現れ行動を共にする。
ヒナはツリーを上がるたび色々な体験をした。
スノッピーは首を横に振り、尖った鼻を折った。
「次の相棒はこれだよ」
折った鼻をわたしのポケットに入れた。
「うーーん騒がしいなぁ」
リリィーが顔を出して背伸びをしました。
「もしかしてリリィー?」
スノッピーは、うなずきました。
「ヒナならぜったい星を取れるよ」
スノッピーは手を振りながら枝に引っかかり飾り物に変わ りました。
ありがとうね、スノッピー。
「ヒナ行くよ」
わたしの肩へリリィーが乗ってきた。
今まで一緒にいたリリィーが喋るのは何だか照れた。
新たなトワイライトゲームの後半せんだ。
まずイルミの線を持ちながら枝を持つ。
足裏に力を入れると樹皮がはげて下に落ちる
「痛っ!」
「痛いじゃないか」
「あなたは誰?」
「ぼくゴディ」
枝の隙間からゴディが顔を出した。
「わたしはヒナ。大丈夫だった?」
「それよりヒナ一緒に遊ぼうよ」
「ゴメン今、忙しいの」
「冷たいなぁ、ヒナって」
「もしかしてゴディって幽霊?」
足のないゴディは浮いていた。
「そうだよ。ぼくもトワイライトゲームの参加者だよ」
「だったらなおさら遊べないわ」
ヒナはイルミ線をつかみ枝先に足をかけてのぼる。
ヒナがのぼるたびゴディもついてくる。
「ヒナ、ついてくるよ」
リリィーが耳元で囁いた。
「ゴディ、ついてこないでよ」
「友達になろうよ。ヒナはぼくと同じ匂いがするから」
「同じ匂い?」
「モヤモヤに支配されてる匂いだよ」
ゴディに言われた。
わたしは銃弾が貫通した衝撃だ。
今も時々モヤモヤは湧いて出る。
「このゲーム参加者って、もしかして?」
「自分の中でモヤモヤが整理できない集まりさ。ぼくは死 んでるのに、モヤモヤ感で幽霊となったんだよ」
心が砕かれていきそうだ。
わたしの持ち続けていたモヤモヤ感は意味不明なまま成長 してるのだ。
ずっと幼稚園からそうだった。
自分はこうしたいのにが言えなかった。
「ヒナぼくと一緒に行こうよ。待ってよ」
ゴディが誘惑してくる。
わたしはゴディの服を枝にくくりつけた。
「ヒナ大丈夫?」
リリィーが心配顔だ。
「大丈夫だよ」
そうだーー、わたしは自分のために生きてない。
みんなの顔色ばかり気にして生きてきた。
その気づきは、てっぺんを目指すエネルギーに変えた。
けど熱いエネルギーは、すぐに燃焼された。
飾りのミルク缶を口に入れた。
飲みながら辺りをゆっくり見渡した。
この空間はイルミが少なくて暗い。
プレゼント箱に座ろうとした。
「誰だい、わたしの持ち物を壊す奴は?」
暗くて姿がかすんだ。
「すいません。わたしてっぺんの星を取りに行こうと思っ て」
「ならこの道が近いわよ。この子が案内するわ」
声がするだけだ。
わたしの前に黒猫が現れた。
鼻をくんくんさせ眼を光らせてる。
リリィーはダッフルコートのポケットに隠れた。
ミャーー
クロネコが鳴いて歩き出した。
てっぺん近くまで上がると街並みの夜景が心和やかにして くれた。
「もうひと頑張りだよ」
もみの木が声援をくれる。
最後のチェックポイントを通過した。
「星までもうすぐだね。何を願う」
リリィーーがポケットから顔を出した。
「‥‥‥まだ分からない」
何度も問うが答えは出ない。
今もこのゲームに参加してるのもわたしの意向ではない。
やらされてるだけだ。
足元が大きな振動で揺れた。
細かい枝にゴロンが引っかかっていた。
「ゴロンじゃない」
「やぁヒナ。また会ったね」
ゴロンは身動きができません。
ヒナが手伝おうとした。
「やめてくれ」
「どうして?」
「おれは今、自分の力で宝石になるんだよ」
地面に何度もぶつかっては自分を磨いています。
流した汗が煌めきダイヤの光に変化してます。
「星取ってダイヤにしてもらうんじゃないの?」
「自分でできることが、上がりながら分かったんだ」
ゴロンは何度も地面や枝にぶつかって表面を削り落として ました。
ゴロンは全身汗で輝いてます。
「何やってるんだよ。早く来な」
面倒くさそうに黒猫が振り返りました。
この黒猫しゃべれるの?
黒猫は立ち止まった。
「さぁ、どちらの道を行く? 片方は近道、もう片方は茨 の道」
選択が苦手な、わたしは苺のショートやミルフィーユを選 ぶくらい悩んだ。
さっと決断できないわたしだ。
「まだ‥‥‥決まらないの?」
後ろ足で立ち上がり前足は腕組みまでして黒猫は枝により かかり苛ついてる。
「じゃあ、あたいが決めてあげようか?」
しびれを切らした黒猫が近づいてきた。
わたしは咄嗟に幹に近い道を選んだ。
「あなたはどこまで、ついてくるの?」
「さぁ、ヒナしだいよ」
「わたししだい?」
歩くたびイルミの線が混線して足にまきつきそうだ。
枝からの葉っぱも密接に茂り歩く空間も狭い。
どうやら茨の道だ。
「はっはははーーやっぱりあなたは、こちらを選ぶと思っ てたわ」
黒猫は再び形のない黒い影になった。
「黒猫って?」
「そう、あたいが変身してたのよ」
「どうしてそんなことを?」
「きっとあなたのモヤモヤは胸中を燻し、自分を苦しめて るはずよ」
確かにそうだ。
わたしは何をするにも達成感が湧かない。
宿題の絵すら不完全燃焼のままだ。
「ヒナーー、待ってよ。1人にさせないで」
「ゴディ!」
ゴディが現れた。
「おや、またモヤモヤ仲間が来たわ」
ははぁーはぁーはぁー!
影が揺れた。
わたしは、こんなゴディみたいな性格じゃない。
「あなたはいったい誰?」
「あたいはあなたが生んだ闇の精」
「わたしが生んだ闇の精?」
「まず先にあいつからにしましょか」
まるで闇の精は影が立体化した形で黒い人間に変化した。
「自分の意思や存在などあたいには要らないのよ。あたい はあなたのモヤモヤだけで大きくなれる」
闇の精は黒い影全体を使って大きく誘風で引きずりこむ。
「嫌だ! そっちに行きたくない」
ゴディは抵抗して逃げる。
「ヒナ!」
ゴディは掃除機に吸い込まれるよに、跡形もなく闇に消え た。
「次はあなたの番よ。こちらの世界は楽園よ」
確かにわたしは毎日ため息ばかりで期待感のない生活を淡 々と過ごしてる。
「あなたのその闇があたいを作ったのよ。だからもっとモ ヤモヤをちょうだい!」
闇の精はその抑えきれない感情が、わたしの身体から飛び 出し形になったのだ。
急に背中を押され足のつかない沼に落とされたようだ。
「じゃあ、あの真っ黒い闇はわたし?」
急に全身から空気が抜けた風船のようだ。
確かに中2までは学校も休みがちだった。
消極的で自分に自信がなかった。
毎日教室の扉を開けられず脱落感ばかり募った。
ゴールのない迷路に勝手に迷いモヤモヤしてた。
「ヒナには絵の才能があるじゃないか。うち知ってるよ」
「リリィー!」
「ヒナ毎日自宅で絵を頑張ってたよ」
わたしは中2まで不登校で中3からこの町に転校したのだ。
「転校してからは、みんなの輪に入って仲良くしようと努力してたよ」
自分が変わりたくて‥‥‥
そして 美術高校を選び絵を選んだのだ。
「ごちゃごちゃうるさいわね。あたいがあんたを飲み込むと 楽になるわよ」
「そんなの嫌だ。楽になるわけない。もっとネガティブな世 界で生きるだけだ」
3年前のわたしとは今は違う。
わたしには表現できる絵がある。
多少はネガティブはあるけど、胸中が闇につつまれてない。
「さぁ、おいで。負の世界へ」
わたしは首につけた十字架を無意識に触っていた。
雲と雲の隙間から満月が顔を出した。
屋根の十字架が月光を吸収し淡い青光を放つ。
「今はうまく言えないけど」
わたしが握る十字架は淡い青光を吸い込む。
「わたしのモヤモヤは前に進めない絶望じゃない」
十字架が闇の精に向いた。
「なっ、なにをするんだ」
闇の精が動揺した。
月光を吸い込んだ十字架は勇光を放った。
「眩しい! やっ辞めろーー」
わたしの中の火種が大きくなり、
全身にエネルギーがみなぎるようだ。
闇の精は勇光で小さくなリリィ十字架に閉じ込められた。
「やったねヒナ」
リリィーが頭で頬を撫でてくれる。
わたしの気分が落ち着く行為をリリィーはよく知ってる。
虚しい心は少しずつ血流に溶け出した。
屋根に立つ十字架は、何もなかったかのように、たたずん でるだけだ。
てっぺんの煌めく星がわずかに見えた。
「ヒナ随分てっぺんまで上がってきたね。ほら」
「うん」
「ヒナ、もうすぐだよ」
リリィーがヒナの頭に乗ってきた。
「何だか変な音しない?」
リリィーの耳が大きく左右に反応した。
今回も閲覧してくださりありがとうございます。
ヒナは、星を取りにてっぺん目指します。
今後残り2話で、どんな出会いと展開が、待っているのだろうか。




