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明かになる現状に前途多難を感じつつ、こんなホームドラマみたいな家庭が実在することに驚愕しつつも、翔くんが羨ましいと思うのは止められない。

少し落ち着いて物事を冷静に見られる余裕が出てきた事で、そつなく翔くん自身と彼の身近な人となりを把握しようとおっとり動き出した俺は、驚愕の事実を知る事に・・・・

目まぐるしい展開に、思考も行動もついていけずにぼーっと流されてきた俺だけど、新しい体の本来の持ち主がハイスペックなだけでなく、その家柄の跡継ぎとして多くの期待を引き受けて、且つそれを当然の事と受け入れて高い志を持ち、それに相応しい人物になろうと邁進している所謂西欧で言う所のノブレスオブリージュの持ち主である事が、主に使用人さん達からの聞き込みから判明した。

彼は、この日の元の最高学府である帝都中央大学の電子工学科の3年生で、非常に優秀な成績を収めており、四菱グループの総帥である祖父から既に後継者指名を受けていて、同年代の一族の青年からは競争心と嫉妬を当たり前のように受け、女性陣からは、そこは上流階級の御令嬢であるから露骨なアプローチこそ無いモノの、打算込みの憧れを抱かれているようだが、素の優しい人柄と謙虚な人間性のおかげで問題になるような出来事は今まで起こしていなかった。

名家の御令息にありがちな許嫁はいなかったのだが、年齢相応の恋愛をすることも無くストイックな学生生活を送っていたようだ。

うーん、ということはこの体は、21歳にしてチェリーくんなのか!?とか阿呆な事に感心しつつさてさて、これからの俺の生存戦略だけれども、彼から引き継いだのは優れた身体能力だけでなく彼が学習して身に着けた知識や学問は、そのまま俺が利用できるようだ。

なぜ、ようだと仮定形なのかというと手に取った彼の書籍は、全て初見だったにもかかわらず適当に選んだ本の内容を既知の知識として持っており、それを応用する手法も明確に意識することができたからなのだけれど、彼の膨大な蔵書のほとんど全てチェックするのが面倒なので、難しい事は考えず有難く知識は知識として利用させて頂く事に決めただけなので。

なかなかのちゃっかりさんな俺だったりする。

そもそも、地方の国立大学修士課程をそこそこの成績で卒業したギリギリエリートの俺と違ってこの国を背負って立つ人材を輩出する学校のカースト上位者で優等生な彼に能力で勝てる訳もないのだから。

ここで、自虐に走らずに卑屈にならずに済んでいるのは、俺の前世の専門が応用科学で彼の専門と畑違いなおかげで彼が極めた学問と被らずに、それはそれで有効に活用できそうだという割と明るい展望が持てたからだったりする。

なにせ、この世を支配するのは化学と物理だという認識は、あらたな知識と能力を得たハイスペックな俺にとっても自明の真実と認識できたからってのもあるよね。

それとは別に、自然科学を志す者は、謙虚であらねばならないという言葉は、依然として今世も重いモノであったけれども。

まあ、例外はあるかもだけど物理が好きな人は冷静で現実が見えていて、失敗を嫌い何かを成す前に綿密に理論立てて考察して勝算が立ってから行動するのに対し、俺のような化学が好きな人間は、中世錬金術師の末裔だけにロマンティストで割と目的の為になり振り構わず猪突猛進、トライ&エラーの繰り返しで真実に辿りつければ傍からの見た目なんか気にしないというお気楽者集団という認識なんだけど、それほど間違っていないと思ってる。

まあ、俺の前世は学問に限らず失敗ありきの人生だから、踏んだ修羅場の数だけ賢くなったというフレーズははったりじゃなかったりするのだ。

そんな折、一族のグループ総帥で今世で最重要人物である祖父四菱広蔵から、会食の誘いを受けた。

もちろん拒否権などあるわけもないのだが、とりあえずテーブルマナーなど最低限必用な知識は問題無く彼の記憶から拝借できることを確認したら、俺の薄っぺらさを見抜かれて違和感を持たれても、それはどうしょうもないでしょと開き直ることができちゃった。

まあ、低スペックゆえに結構しんどい局面も乗り切った数々の経験は、無駄にはなっていないようで、ちょっと嬉しかったのは内緒ってか、誰にも言えないよね。

俺の特殊な事情を鑑みるに・・・

さて、ここまで話して両親の話題が全く出ないのは、どうでもいいわけじゃなくて、忙しい彼らが夕食に稀に同席しても時事ネタか社交辞令以上のコミュニケーションを一人息子で自分達以上に優秀な元の体の持ち主に遠慮していると感じている俺はそれほど間違っててはいないと思うんだ。

というか、父親を飛び越えて翔くんが後継指名された事に思うところがあるかもと考えたのだけれど、まさしく下衆の勘繰りだったようで、両親とも一人息子を誇る事ができてとても嬉しいのが素で伝わってくるし、既に独立した人格と尊重してるのもわかったし、結論から言えば普通に子供の幸福を願う良い人だった。

少なくとも、自分の思い通りに親を敬わない3歳児の息子に本気の暴力振るう俺の父親や、それを静観するばかりか俺の想いを無視して自分でも信じていない建前の理屈を押し付ける母親よりは遥かに好感が持てた。

彼らが本当の両親だったらずっと穏やかで社交的な人間になっていたと思うし、俺自身もずっと幸せな子供時代を送れたと思う。

ま、言っても詮無い事とはまさに此の事なんだけど、子供は親を選べないのは俺だけに限った事じゃないからさ。

まあ、リア充って大抵良い人だったりするよね、誰かに当たり散らして憂さ晴らしする必要無いから、当たり前っちゃあ当たり前なんだけどね。

こんなTVのホームドラマみたいな家庭が存在するのは、ある意味驚愕の事実であり、住んでる世界が違うのを突き付けられた感じはしたかも。

さてさて、次回はいよいよ今世の俺にとっての最重要人物にして権力者である、祖父様とご対面。

さすがに、ここらで台詞を付けて話を回さないと、早速見切られるでしょうから、次からはちゃんとやります。

たぶん・・・

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