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鳥囲まれた不吉第二皇子外伝〜僕が人間になった理由〜  作者: 夢野少尉


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2.僕は人間になるしかなかった

「こんな大きな鳥が近くにいて怖くないの?」

「全然怖くないよ、かわいいでしょ? 調べたら、タカの幼鳥だって。名前はジョルジェだよ」


 今日、ラエルはへヴァンと一緒に庭で遊んでいたところ、ジョルジェが降り立った。

 ジョルジェはこの一週間毎日ラエルを訪ねてきた。

 そして、いつもこのラエルより少し大きな人間「へヴァン」がくっついていた。


(いいなぁ、いつもこのへヴァンとかいう人間はラエルと一緒にいる。ラエルのお兄さんだとか)


 ジョルジェはへヴァンを睨み、羽を広げて鳴いて威嚇した。


「なんか僕、嫌われてる? 怒ってない?」

「こら、ジョルジェ。へヴァンは僕の大事なお兄様だよ。良い子だから、大人しくしてて」


 ラエルはジョルジェの羽をなでて宥めた。


「ほら、かわいいでしょ?」


 ラエルがへヴァンの方に振り向くと、へヴァンは屋敷の方に逃げてしまっていた。

 少し距離をおいて、護衛とメイドのアリサがラエルを見守る。

 二人はタカがラエルになついているのを見ながら感嘆する。


「本当にラエル殿下は、タカを操れるのではないのですか?」

「すごいことですね。その才能がありそうです。」


 一方、ラエルは、

「あ~あ……お兄様、逃げちゃった」

 と、残念そうにうつむく。


(邪魔者がいなくなった! )


 ジョルジェはとたんにドキマギして、挙動不審な動きをした。

 タカの幼鳥は、夕焼けをスケッチブックに描いているラエルの横顔を見つめる。


 ーー透き通る青い眼、夕日に映える金髪、小さくて真っ赤な唇……全てが奇跡のようだ。オレンジのお日様に溶けこんでるみたい。こんなかわいい人間がこの世に存在したなんて。ただ、僕はタカだしラエルと話すこともできない。でも、僕は人間に変わることができるじゃないかーー


 ジョルジェは、そんなことを考えるまでにラエルへの想いは膨らんでいたのだった。








 それから3週間が過ぎ、へヴァン皇子とラエル皇子が首都の皇居に帰る時がやってきた。


「ラエル、早く~~」


 へヴァンが馬車の前でラエルを呼んでいる、

 ラエルは空を見上げて、ほぼ毎日ここで一緒に過ごしたジョルジェを探していた。


(ジョルジェとちゃんとお別れできなかった。また会えるかなぁ……)


 ラエルは後ろ髪を引かれながらも、馬車にへヴァンと乗り込んだ

 ジョルジェは木の上から隠れるように馬車を見下ろす。


 ーー僕はタカなんだ、タカとして生きなくちゃーー


 ジョルジェは遠くなる馬車を眺めながら、そう自分に言い聞かせた。





 1年後、鳥類に恋の季節がやってきた。しかし、ジョルジェは求愛ダンスを踊る気にならない。


 ーー自分はタカとして、もう生きていけないかもしれない。「ラエル」のことばかり考えてしまって。いっそのこと人間として生きた方がいいのだろうかーー


 ジョルジェは、「ラエル」が生活しているであろう「皇居」に向かうことを決心した。

 とりあえず、あの人間に会ってみたら答えが出るかもしれない。

 ジョルジェは「皇居」を目指して大空へ飛び立った。


「皇居」近くであろう森で、ジョルジェは少し休憩を取った。


 ーーこの森を抜ければ後少しで「ラエル」に会える。 人間は成長が遅いが……背は伸びたかな? 髪も伸びると聞いた。また遊んでくれるだろうかーー


 いろいろ思い巡らせながら、彼は舞い上がった。

 ジョルジェはその時油断したのだ。


 ーーしまったっっ! ーー


 左の翼に激痛が走る。

 そのまま地面に叩きつけられた。


 ーー痛い痛い痛いっっ! 「カリ」だ!  人間にやられた!  こんなところで死ぬのか? 「ラエル」にも会えず? ーー


 ジョルジェは痛みに耐えながら、ある考えがよぎる。この一年ずっと考えていた。


 ーー人間に化けるのは? 化けて助けてもらうのは? ーー


 だんだんと、「カリ」をしていたであろう楽しそうな人間の声が近づいてくる。


「タカだったよな? 仕留めたのは」

「この辺りに落ちたと思うのだが」


 ーー迷っている時間はない! ーー







 ジョルジェは病院に運ばれ、ケガの手当てを受けた。

 骨折と外傷という診断で、包帯で固定されている。


 ーー人間はすごいな……ケガに効く薬も開発してるのか。空を飛べない代わりに頭脳が優れている。しかし、「空を捨てる」ことは僕にはできないなーー


 そんなことをぼんやり考えているとジョルジェの両親という人達が現れた。


(両親? 人間の? )


 僕の父と母とかいう人達と面会した。

 母親は涙を流していたが、黒い影のようなものが見えた。

 あれは……タカの仲間達の噂で聞いたことがある。

「黒魔術」かもしれない。

 まあ、僕には関係ないけど。

 当たり前だが2人にはなんの感情もわかない。

 僕の人間の姿を見た人は、皆口々に「へヴァンデンカ」と呼ぶ。


 ーー「へヴァン」……どこかで聞いた名前だな。それに皆、頭を下げてくる。よくわからない。ーー


 ある人間は僕を「えらいひと」と教えてくれた。

「ひがしていこく」という名前の縄張りのリーダーの子供だとか。

 ややこしそうだな、

 治療が終わったら、ここを出よう。

「ラエル」に会いにいかないと。

 しばらくすると、扉が開いて下僕(しもべ)の人間が小さな人間と一緒に病室に入ってきた。


「へヴァン殿下、ラエル殿下が来られましたよ」

「ラエル……?」


 へヴァンは耳を疑った。

 この一年その名を何度唱えただろう。

 そして、記憶より少し背が伸びた「ラエル」が、ジョルジェの目の前に現れたのだった

 

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