狂気7 "階級"1?オリジス
まぁ、インテのおっさんを怒らせてしまったので存分に罰を....ね?
「じゃあ行くぞ〜!」意気揚々とした話し方に、俺達は、
「お〜!!」
と言って軽く答える。
俺達は、鬱蒼とした森へ消えていく。
『うーん。やっぱ暗いね。』
鬱蒼とした森だけ昼のはずなのに夜だと勘違いするほどの暗さを誇っている。理由としては、おそらくこの大量の木だろう。にしても、暗すぎる気がするが....。
『じゃあ、ライトつけるね。うーんと、どこだっけあ、あった!』
と言うと同時に、ライトがつく。この森を探索するのに申し分ない明るさだ。
「あ、なんか居る!」
と言いながら、翔一が一つの木を指差す。木の枝には、蔦のような物があった。しかし、色が異質で、真っ黒だ。しかも、目もついている。
「じゃあ、取り敢えず種類を属性を見てみよう。」
そう俺が提案すると、みんなが属性を見始める。俺が見ると、そこには「ゴースト」と書かれた文字が。
『うわ、ゴーストだ。』
蓮也がぽつりと言う。
すると、蔦のような黒い物の目が、ピカっと光る。
俺たちは何かあるのかと身構えたが、何も起こらなかった。少し安心だ。
ピュン。
俺の首の側を銃弾が横切る。後ろを振り返ると、なんと、銃を撃ってきたのは、翔一の操作している戦闘用のドローンだった。
『うわ、早速敵が3体居るし。よし、ブレイト君、2人で頑張ろう!』
「え?どう言うこと?百合わかんないんだけど。」
「あいつ、名前は多分ブレイトだろう。蓮也もそう言っていた。そして、ブレイト、あいつはゴーストだったから、蓮也に精神操作をして、俺たちが「敵」でブレイトが「味方」と言うのを信じ込ませたんだ。」
ピュンピュン。
次は2回も銃弾が飛んできた。
「ねぇ、これ本気でやばいよ!?どうする?」
慌ててパニックになりかける翔一を、俺は手で静止しつつ、説明を始める。
「大丈夫だ。こう言う時は、大元を倒せば精神操作は解ける。だから、百合、あのブレイトとか言う奴を、潰してくれ。」
「わ、わかった!」
後ろで百合が何故か知らないが喜びまくっていたが、それは置いておく。
「じゃあ、俺と翔一で、飛んでくる弾をいなすぞ!」
「ok!」
と翔一が軽やかに返事すると、俺たちは、飛んでくる弾を俺は物体操作で勢いを弱め、翔一は、外界で、吸収した弾を、右へ受け流す。
その間に、百合がナイフをブレイトへ投げつける。
「あ!待って。さっき、投げたナイフが目に当たりそうだったんだけど!」
百合がナイスな発見をした。
「よし、そこが弱点だから集中的に狙え!」
それを聞いた百合は、ナイフで直接ブレイトの目を引き裂いた。
『あれ?さっき何してたっけ?』
蓮也の反応を見るに、精神操作は止まったみたいだ。
蓮也の呑気な声に、俺はすぐさま反応する。
「お前が精神操作で操られて、大変だったんだぞ。」
と、ツッコミを入れるが、やはり、本当の蓮也が戻ってくるのは嬉しい。
『え〜。ごめんごめん。』
と、蓮也が軽く返事をすると、俺たちは、また、鬱蒼とした森林へ歩き出した。
「はぁ、ちょっと怒りすぎちゃったな。」
と言いながら、インテルスは、ため息をつく。
「ちょっと前に、砂漠と鬱蒼とした森林が危険って言ったけど、特に鬱蒼とした森林が危険なんだよな。
あそこは、あの森に入った瞬間精神操作をされる。しかも、気づかれないよう、少しだけ。その効果は、森から帰ろうとしなくなるというもの。鬱蒼とした森に入ってなければいいんだが....まぁ流石に入ってないか。」
あるわけないと思いながら、窓を覗く。そこに俊たちの姿は無かった。
インテルスは、まさかと思い、階段を急いで下り、リビングへと行く。そして、蓮也に話しかける。
「ねぇ、今どこ?」
「え、え〜っと....その〜あの〜えっと〜大丈夫だから!絶対。必ず。多分。きっと。おそらく。」
蓮也の怪しい態度に、インテルスは、まさかと思いカメラを覗く。そこには、鬱蒼とした森が。
(嘘だろ!)
そう思いながら急いで玄関を出た。錠剤を飲み、鬱蒼とした森へ全速力でダッシュした。
「かなり長いな。この森。」
俺はいい加減疲れてきた。「みんなもそうだね〜」と言って同調する。そこに、よくわからないストーンゴーレムが出てきた。そこに更に、黒い長い帽子を被ったいかにも魔法使いのような奴も出てくる。
俺達は、すぐに属性を調べる。そこには、ストーンゴーレムが「エネミー」なのは勿論、その後ろにいる魔法使いのような奴には、「シャドウ」と表示されていた。
インテのおっさんの「シャドウと他のモンスターを一緒にしちゃダメ」という言葉が脳内で繰り返される。ここで取るべき選択はーー
俺はすぐに銃を構え、「シャドウ」と表示された方へ向かって銃弾を放つ。
刹那。避けようとしたが、間に合わずそのまま血を吹き出しながら死んでいった。
血だ!!最高だ!もっと!もっと!
何度も何度も魔法使いのような奴の死体に向かって銃を撃ち、血を出させる。
そうして俺が夢中になっていると、後ろから岩の塊が俺に向かって飛んできた。
「あっぶね!」
と言いつつ、俺は物体操作でなんとか岩の塊の勢いを弱め、そのまま岩の塊をストーンゴーレムにお返ししてやった。
しかし、無傷。こいつ硬すぎだろ!
俺がそう思っていた時、俺の視界の端に、ブレイトが映った。
「やべえ!逃げるぞ!」
そう言いながら、俺は百合と翔一の手を引っ張る。
そして、後ろから追ってくるストーンゴーレム。俺たちの逃走劇は、約1時間も続いた。
「はぁ、はぁ....」
なんとかストーンゴーレムを撒いたが、俺たちはもう走れない程疲弊し切っていた。
暗闇の中で、目が光る。
「え?嘘だろ....」
正直、今すぐ現実逃避をしたい。しかし、したら死ぬ。俺は、戦う決意を固めた。
ザッ、ザッ、と足音がする。
ようやく姿が見えてきた。そこには、さっきも出てきた魔法使いのような奴と、これまた初めて見る魔法使いみたいな奴がいた。
しかし、さっきもいた魔法使いのような奴と違うのは、木の上の部分がぐるぐる巻きになっている杖のような物を持っているところだ。
ひとまず、俺はさっきも見た魔法使いのような奴を魔法マン(帽子)、杖を持ってる魔法使いのような奴を魔法マン(杖)と名づけることにした。
すると、魔法マン(杖)が、何やら呪文のような奴を唱え始める。
内容はよく聞こえないが、反射で
(やばい!)
と思った俺は、一旦下がり、魔法使い達と距離を取った。
その後、
バァン!!
という鼓膜が破裂しそうな音が鳴り、そこら一体が爆発に巻き込まれる。
距離を取ったが、意味なし。俺たちも、爆発に巻き込まれた。
「はぁ、どこにいるのかな。」
インテルスは、ため息をつく。
「多分かなり深いところに行ってるね。」
辺りを見回していたところ、微かに何かが爆発するような音が聞こえた。
「まさか、爆発に巻き込まれてる!?」
やばいやばいと思いながら音のした方へ向かっていく。
「よぉ、元気にやってるじゃねぇか。立派なもんだな。」
と意味のわからないところで嫌味を入れてくる謎の男と遭遇する。
その男は、装備を着ていて、真っ黒の装備に、一つ、赤い線が入っているというデザインだ。
(最悪だ....)
インテルスは、心の中で、ため息をつく。
「ごめん。今君に構ってる時間はないんだ。じゃあね。」
そう言いながらこの場を去ろうとすると、目の前で小さな爆発が起きる。
しかも、その爆発は、丁度インテルスに当たらないくらいだ。
「まぁまぁ。つれないこと言うなよ。お互い昔の事を思い出して語り合おうぜ。
もっとも、お前に拒否権はないがな。」
そう言う男の声が、インテルスの頭の中で反響する。
インテルスは、また、心の中でため息をつき、覚悟をする。
俊達は爆発に巻き込まれ、頼みの綱のインテのおっさんは謎の男に捕まる。どうなる狂気8!お楽しみに!