狂気6 "階級"1オリジス
オリジスの探検、始まるよ!
それぞれの武器が決まったので、俺たちは玄関へ向かい、そのまま玄関のドアを開ける。
「あ、そうだ。羊を見つけたら、できるだけ毛を持ち帰ってくれ。新しい防具を作れるようになるから。」
「ok!」
と、翔一が軽やかに承諾する。
そして、俺たちはコンタクトをつける。
俺が玄関のドアノブを回し、ドアを開ける。すると、ドアの隙間から漏れた光が直接差し込む。
眩しいが、とても気持ちいい。この世界に来てから、よく考えたら外に行ったことはなかったな。
「じゃあ、行ってきます!」
翔一が意気揚々とした挨拶をする。まるで家族みたいだ。
俺達は、インテのおっさんからもらった武器を携え、オリジスへ旅に出る。
俺たちはまず、家を出てすぐそこの平原を探索することにした。周りを見回すと、
全身が岩で構成されており、腕や足も岩の怪物を見た。
コンタクトの機能を使い、岩の塊のような奴の属性を見てみる。
視界に緑色が広がり、岩の塊のような奴の方へ視線が向ける。
そこには、「エネミー」と表示されていた。こんな感じなのか。他の奴らも、この機能を使ってみたのか、驚いている。
後ろでは、蓮也の操作するドローンが4台ウィンウィンと、プロペラの音を立てながらついてくる。
『あー、あー。』
インテのおっさんの声が聞こえる。マイクテストをしているんだろう。
次は、翔一の後ろで
『あー、あー。』
と言うマイクテストをし始める。
「なぁなぁ、インテのおっさん。あの岩の塊みたいな奴の名前はなんだ?」
『うん。あいつはストーンゴーレム。殴りが痛いだけだから今の君達でも頑張れば勝てると思う。私達も加勢するし。』
今、俺の後ろにいるドローンは、4台。
蓮也が2台、インテのおっさんが2台だ。最初は、蓮也が4台操作する予定だったが、途中で「私もやる。」とインテのおっさんが言い出したので、今の形になった。
4台のうち2台のドローンは、主に会話用だ。そして、残りの2台は、攻撃用に、機関銃が搭載されている。
ただ、攻撃用のドローンは、残弾がな残り少なく、後100発しか打てない。
「あ!あそこに羊がいる!」
と言いながら、翔一は羊を指差した。
よし!と内心思いながら、銃を構える。
「えーっと、ハンマーを下ろして、よし!....って」
俺が銃を撃つ時には、すでに羊には二本のナイフが刺さっていた。
羊は、倒れて大量の血を流していることから、もう死んでいると思われる。
やっぱり、血はいい!もっと見たいな。
『しゅ、俊君。あっちに羊がいるから!あっちいこう!』
と、何かから気を逸らすかのようにインテのおっさんが別の羊の方へ俺を向かわせる。
よし、今度こそ!と思いながら、俺は羊へ銃を構える。
バァン!!
この平原に、銃声がけたたましく鳴り響いた。
俺は、そんな銃声に耳を塞ぎつつも、羊の方を見る。
血は....出ている。しっかり銃は着弾しているんだろう。
しっかし、グロいな。
着弾した体の真ん中くらいのところからは血が溢れ出している。
あっ、しっかり見とかないと。やっぱり血は見るのいいよね〜
などと考える。まぁ、取り敢えず向かうか。
俺は走り出す。走り出したら10秒くらいで羊のところまで着いた。
後ろから、ウィンウィンと言う音を立てながら、ドローンが2台着いてくる。インテのおっさんのドローンだろう。
『ちょ、ちょっと。まさかこれ以上この羊を傷つけるつもりじゃないだろうね。』
案の定、インテのおっさんの声がドローンから聞こえてきた。
俺はインテのおっさんに構わず、銃を撃ち続ける。
羊から血飛沫がたくさん上がり、その大半が俺に当たる。最高だ。
『ああ〜!もうこれじゃ使えないよ!』
後ろでインテのおっさんが叫ぶ。
俺はそれに構わず、銃を撃ちまくるが、少し効率が悪い。
何かいいものは無いものか....俺はチラリと後ろを見る。あ!ドローンのプロペラ!
俺はインテのおっさんの戦闘用の方のドローンを掴み、羊の体の中へプロペラをぶち込む。
予想通り、羊からさらに血飛沫が上がる。最高〜!
『ああーー!!これ2轍で作ったのに!』
インテのおっさんが絶叫する。2轍の成果をすまんな、インテのおっさん。完全にこれで戦闘用は壊れた。次は....と思いながら、後ろをチラリと見る。
『いや、やめてよ!?』
インテのおっさんは全力拒否するが、もう一つのドローンも羊の体内にぶち込む。
『....』
すると、ドローンが壊れると同時に、何も音声が出なくなった。
まるで、あとは勝手にしてくれと言わんばかりだ。
すると、インテのおっさんが凄い勢いでこちらにタオルを持ちながら向かってきた。
インテのおっさんはこっちに着くと、すぐさまタオルで拭き始めた。
顔や服にかかった血を拭かれるたびに、胸の中にある澱が消えていく感覚がした。
「もう君達は勝手にしといてくれ。」
少し、インテのおっさんを怒らせてしまったかもしれない。
ーまぁ、それはともかく、取り敢えず翔一達と合流することにした。
「うい。俊〜お疲れ〜羊毛取れた?」
翔一の質問に、俺は少し気まずそうに答える。
「いや....ちょっと....気づいたら羊毛が血で染色されてて....」
(本当にごめん!翔一)
俺は心の中で誠心誠意謝った。
「あ!」
翔一がまた何かに気づき、右方向を指す。
「「あ!、」」
翔一以外の3人も気がついた。
「鬱蒼とした森....」
俺は思わず呟いてしまった。鬱蒼とした森は、確かインテのおっさんに絶対に行くなと言われていた場所....
「な、なんか行ってみたくない?」
翔一が不安げな声で同意を求める。
『え?僕も行ってみたいんだけど。』
「百合も正直....行ってみたい!」
「俺も!」
「じゃあ行こう!」
と言いながら、俺たちは、鬱蒼とした森へ向かっていく。
すまんな、インテのおっさん。ダメって言われるとやりたくなるのが人間の性なんだ。
ある男が、水色の地面と、透き通った水の池がある場所に来ていた。
その男は、黒いスーツに、黒いズボン。仕事着のような感じなのだが、少し胡散臭さを感じる。
その男の前に、銃を持った男が。
「はっ!もうこれでお前は終わりだ。しっかし、残念だなぁ。転移先がアクアドールとは。」
男は、何が何だか分からないと言う顔をしている。
「まぁ良い。これで終わりだ!」
そう言いながら、銃を持った男が銃を撃とうとした時。
「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
と絶叫した。何故なら自分が自分に銃を向け、そのまま拳銃自殺する映像が脳内に映し出されたからだ。その痛みもこちらに入ってきている。
銃を持った男は、銃を離し、気絶した。
黒いスーツを着た男は独り言かのように呟く。
「想像は、時に人を殺す。欺瞞は、時に人を殺す。
ダメだなぁ、詐欺師の言葉を聞くのは」
そう呟きながら、男は暗闇に消えていく。
キャラ紹介〜プロフィール〜(少し)
想拡恐怖
特異:x恐怖症
この男が、俊達と出会うのは、まだ先の話。
これからインテのおっさんに入るなと言われていた鬱蒼とした森に入った俊たちがどうなるのか!?を書いて行きます。