狂気3 「マッドサイエンティスト」 佐伯蓮也
佐伯蓮也の話である第3話、始まるよ〜
「げ....」
俺は蓮也と神祷寺を見て反射でそう言ってしまった。
こいつは佐伯蓮也。趣味は人のほっぺたを触ることらしい。
職業は、研究者。幼少期に、アメリカへ引っ越し。その後、小3の頃に、飛び級をしてハーバード大学へ入学。
その後は、研究者になり、日本へ戻り、それだけで遊んで暮らせるレベルの大発見を10数回してノーベル賞受賞。所謂、天才というやつだ。
もう1人は神祷寺百合。
とても美人で、大学では「百合の華」と裏で呼ばれていて、ファンクラブも出来ている。
因みに、幼馴染で、同じ20歳だ。
「ところで、特異ってなんだ?」
俺は結局秘密にされていたことを聞く。
「特異というのはこの世界で発現する、超能力みたいな物だ。
これは、ごくわずかな人しか持っていない。
例えば、俊君は物体操作という特異を持っている。そして、翔一君は、外界だ。
能力名は、ある程度特異を鍛えた者なら、自分や、人の特異名を見ることが出来る。
私の特異は、翻訳者だ。実は、君たちと喋れているのも、この特異のおかげだ。」
「なるほどねぇ〜」
と言いながら、蓮也がメモを書いていく。おそらく研究の為だろう。
そして、最後に一つインテのおっさんから提案をされる。
「私の特異は、相手の喋る言語を完全に理解する特異なんだが、それを相手に理解させることもできる。それにあたって、君達がこの世界の言語を学習するのはどうだろうか?」
「僕は寧ろやって欲しい」
蓮也だ。続けて理由を説明する。
「だって、ここには未知の生命体がいるし〜実験してみたいじゃないですか!」
こいつの頭の中は研究とほっぺただけで出来てるんだろう。
「百合もやりたい!」
神祷寺も興味があるらしい。
「僕も〜!」
翔一もだ。みんなの視線が一気に俺に集まる。
「あ、俺も....」
俺は消え入るようなか細い声でそう呟いた。
正直雰囲気に押されて言ってしまった。まぁ、別に嫌じゃないしいいか。
「では、みんなこの言語を理解するということでいいね?」
インテのおっさんが最終確認をする。
「「ok!」」
俺たち全員の声が被る。
「じゃあ今から始めるよ!」
インテのおっさんは全員の頭を軽く触る。その瞬間、俺は頭に何かがねじ込まれているかのような感覚になった。
「「がぁっ!」」
全員が呻き声を上げる。
その状態が1分間ぐらい経った後、変な感覚は無くなった。
「いま、この世界の言語で喋ってるんだけど、分かる?この世界の言葉で喋ってみて。」
「うん、分かる。」
俺は不思議と声が出た。まるで小さい頃から使っていたかのようだ。
「よし、これで完了だ。みんな、ご苦労さん。」
続けて、インテのおっさんが。「あ。」と何か思い出したような感じで喋る。
「今日、俊君、翔一君、蓮也君、百合君、の4人が集まったから、豪華な食事にしてたんだった。」
俺たち4人はテンション爆上がり。何故ならインテのおっさんの飯は超美味いから。
すると、台所から、インテのおっさんがステーキやらなんやらを持ってきた。
「今回はねぇ〜頑張ったよ!
まず!ストーンゴーレムの岩塩をまぶしたステーキ!
次に、刺身巻き30個!
さらに!アクアドールのアクアの、ゼリー!
そしてそしてーー最後がー!」
インテのおっさんはために溜めて言う。
「ケーキでーす!」
ウォォォォ!という声が聞こえる。そして翔一が調子に乗ってしまった。
「ケーキなんて、…景気がいいですね!」……
その場が一気に凍えた。みんな上着を着る。
あまりのしょうもなさに、呆れて誰も反応しない。
「さ!翔一は置いといてみんなで食べましょか!」
この寒い空気を破ったのは蓮也だった。
ありがとう蓮也!心の中で、お礼をしておく。
因みに、刺身巻きは、寿司のネタをぐるぐる巻きにしたようなやつだ。
「やっぱり全部美味い!」
みんなも美味いと言いながらあっという間に完食し、主役のケーキがお待ちかねだ。
インテのおっさんが4等分に切り分ける。
「ケーキなんt....」
すぐに神祷寺は、翔一の口を塞ぎ、止めに会心の一撃を放った。
「次それを言ったら、あなたのケーキ無しにするよ?」
まさに会心の一撃。これには翔一も黙らざるを得ない。
因みにケーキは、いちごのショートケーキだった。
「因みに、この家って、ここにいる人以外で、人っています?」
「一応死んでいるが、いるぞ。」
「あーそれでもいいので、下さーい。実験用にするので、無駄にはしません!」
「実験用ってどういうことだ?」
インテのおっさんが素朴な疑問をする。そりゃ初対面はそうなるよな。
「いや、実験用ってそのままの意味ですよ。死体に色々やるの。ね、だから早く死体ください!」
だから蓮也は、やばいやつなんだって。 蓮也は、悪人の命に価値を見出さない。悪人は死んでもどうでもいいって思ってる。こいつを世間は天才と褒め称えるが、俺からしたらコイツはただのマッドサイエンティストだね。
「えー別に悪人なんかどんな酷い死に方してもどうでもいいじゃないですか〜そいつ悪人だし死んでるんでしょ。
なんで置いとくの?僕に処理任せてくださいよ!」
コイツの狂った価値観とインテのおっさんは対峙している。ん?ていうか....
「蓮也君。君はなんでこの人が悪人なことを知ってるんだ?君にはあの時のことは全く話していないはずだ。」
流石インテのおっさん。俺の言いたいことを言ってくれた。
インテのおっさんの話を聞くと、蓮也はあからさまにしまった!というジェスチャーをして、玄関にある箪笥の方へ向かいながら、説明を始める。
「盗聴器です!」
と言いながら、箪笥を開けて、ボールペンを取り出した。
「これが盗聴器になってます。ボールペン型のね。
インテのおっさんに上へ運ばれた直後に、目が覚めて、取り敢えず玄関、リビングとかあらゆるところに盗聴器を取り付けてました!
あ、けど安心してください。玄関以外は全部取ったんで。」
「では、何故君は盗聴器を取り付けた?」
インテのおっさんの質問に、蓮也は秒で答える。
「勿論、貴方のことが信頼できなかったからですよ。
逆にあなたは、気づいたら知らないところにいるとき、そこへ運んできた人を信頼できますか?」
インテのおっさんは考えるまでもないという感じで、即答する。
「できないな。」
「そういうことです。」
という感じで、言葉のキャッチボールが一旦終了すると、新しい言葉のキャッチボールが始まる。
「さて、話を戻そう。普通に考えて、死んだ人間をモルモットのように扱うのは、頭がおかしいんじゃないか?」
「えーだって悪いんでしょ。じゃあいいじゃん。」
「駄目だ!」
「なぁ、隠し場所ってどこだ?」
と、とても小さい声で喋る。それに翔一は小声で答える。
「確か、主寝室の下だよ。」
そう言った後、蓮也が反応する。
「オッケーわかった。主寝室の下ね!」
と言いながら時速50キロぐらいの速度で主寝室へ向かう。」
おかしい。蓮也に聞こえるほどのボリュームで喋ってないはずだが。
隣を見ると、インテのおっさんは、「おおい....」と言いたげな表情をしていた。
「君達〜なんでバラしたの〜?」
「いやっ....俺は翔一に超小声で死体の隠し場所を聞いただけですよ!現に、あなたも声全く聞こえなかったでしょ!」
俺の反論に、インテのおっさんは完全に負けている。
「確かに。そうなってくると、5感強化系か?」
「いや、5感強化系か?ってあなた能力名わかるんでしょ?」
「いや、あれ結構疲れるからいつも使ってるわけじゃないんだよ!それに1人いるだけで珍しい特異持ちが3人もいるとは思わないじゃん....」
「確かに....」
インテのおっさんの反論に、俺は思わず押し黙る。
「いや〜大漁大漁!」
沈黙を突き破るかのような蓮也の声が聞こえた。蓮也は更に続ける。
「いや〜5人もいるとか先に言ってくださいよ〜モルモットが5体手に入った!
インテのおっさん、ありがとう!」
と言いながら俺のほっぺたをすごい勢いで飛びかかって触ってくる。
コイツ、やっぱヤベェ奴....
キャラ紹介〜プロフィール
佐伯蓮也
年:18歳
職業:研究者
誕生日:12月29日
好きなもの:悪人、ほっぺたを触ること、あんこ以外の甘い物、未知のことについての研究
嫌いなもの:悪人、ほっぺたを触るのを邪魔される事、あんこ、きのこ全般、茄子
特異:天才
狂気:悪人の事をモルモットとしか思っていないし、悪人にならどんな事をしてもいいと思っている。
追記:ほっぺたを触る事も狂気的に好き
次は神祷寺百合の話です!明後日投稿します!お楽しみに〜