自衛
三題噺もどき―にひゃくろくじゅうろく。
春とは名ばかりの暑さが、日々襲い来るようになった。
5月の時点でこの暑さでは、7月や8月はどうなるのだろう…もう、外に出ること自体が難しくなりそうだ…。
やっと行動制限がなくなったこの世の中で、今度は暑すぎて危ないのから外出は控えましょうとか、なったりするかもしれない…。
―そんなことないか。
「……」
昨今のウイルスによる行動制限は多分、現実味がたいしてわかなかったのだろう。だから、それに反抗する奴がいたりしたのかもしれない。周りにそんな風になっている人がいなければ、分からないものだろう。だから、不要な外出もできる。
ただまぁ、暑さというのは、実感として体験するものだし。身をもってして分かるの者だから、わざわざ制限なんてかけなくても、外出自粛をしてくれそうだ。
「……」
まぁ、私はほぼ毎日、行動制限というか、外出自粛をしているので、たいして関係はないが。
関係ないと言うかまぁ、制限しましたって言われたところで。
はい、そうですか。今までと変わらないですね、となるだけだ。
「……」
私にとっては、不要な時は外出しないことが当たり前だし、必要な時だけ外出できればそれでいい。
最低限の自由はあるのだから、何を文句を言うことがあるのか…さっぱり。
必要か否かの判断は己にあるのだから、別にいいのでは…?
「……」
とか、ひねたようなひねていないようなことを考えているから、世間からつまはじきにされるのだろうけど。
私はそれを、心のうちにしまっているからそこまではじかれてはいない…と思いたい。
自分がいかに不適合かどうかは分かっているつもりだから。それなりの行動をするさ。
自衛って大事。
「……」
よく言うし、聞くと思うが。
自衛。
自らの身は自らの手で守る。
別に、争いごととか、肉体言語とかの話ではなく。
精神面での自衛というやつ。
「……」
携帯という、便利な通信機器が広がった。
誰もが持っていてあたり前という時代になった。
何をするのにも楽になった。
いちいち本を引っ張り出さずに、調べたいことを調べることができるようになった。
紙に書いて送らずとも、指先1つで言葉を贈ることができるようになった。
面倒な手続きを踏まずとも、板の上で数字を押せば声を交わすことができるようになった。
遠くにいる人と、楽に顔を合わせることができるようになった。
知らない、赤の他人と。
顔を合わさずに、出会うことができるようになった。
「……」
顔も知らないくせに。
えらい口を叩けるようになった。
顔が見えないから。
何を言うのにも抵抗が亡くなった。
溜まったうっぷんを。
吐き出して、なげつけて、ひとりで満足できるようになった。
―それで、他人が、赤の他人がどうなろうと。
知ったことではなくなった。
「……」
SNSとはまぁ、厄介だよなぁ…。
ひとくくりにするのも、申し訳ないが…正直、総じて全部厄介だ。
私が一番使っているのは、ツイッターだが。まぁ、なかなかに。
学級会が開かれているようで。
その辺はあまり知りたくないので。自衛している。
たまに、自衛していない方が悪いとも言われるように、なってしまったし。
この世界で生きていくなら。
この世の中に首を突っ込んでいる以上は。
自衛は必修科目なのだろう。
「……」
自衛のし過ぎで、世間のあれこれに疎くなってしまってはいるが。
これはまぁ…これはこれで立派な自衛だろう。
知らない方がいいことが、この世の中にはごまんとあることを、知っている以上。
自分の下へと届くものは、自分の興味関心があるものだけで良い。
「……」
あぁ、こんなだから。
こんな風だから。
毎日つまらない日々を送っているんだろうけど。
毎日。
毎日。
何も変わらない日々を辿っているけれど。
刺激的なんてもの一つもない。
平々凡々な日々を過ごしているけれど。
「……」
携帯を片手に。
テレビで動画を見て。
パソコンでゲームして。
ツイッターを開いては閉じ、開いては閉じ。
あぁ、不毛だなぁと思ってはいても。
これを変える手立てはないし。
面倒。
「……」
「……」
「……」
んん。
だからまぁ。
ようは。
今日も今日とて。
家で引きこもり決めてますよってだけだ。
お題:ツイッター・外出・携帯