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春に夏、そして秋と冬も。  作者: 緑のあんすりうむ。
[1冊目]*春に出会うとも限らない*
1/4

プロローグ



「春、出会いの季節。」



そんな言葉を、私はよく聞く気がする。

自分にとってはそんな言葉、特に興味は湧かない。そそられもしない。


恋も友情も、何もかもが、私にはどうだっていいのだ。





朝。今日は成人式の日だ。


人生に一度しかないんだから、と、母と祖母にぐいぐい押されたため、嫌々準備する自分。

振袖とかはどうしても息苦しく感じるし、スーツはスーツでも堅苦しく感じてしまい、どっちも嫌だ。


「ラフな格好じゃダメなんかねぇ…はぁ…。」


ぶつくさ1人で文句を垂らしながら着替える中、スマホにメッセージが届いた。

スマホを見ると、そこには「ひまわり」という名前がでていた。



[しゅうごうじかん]


[10時半]


[おまえんち]


[いく]


一つ一つ区切られた言葉が送られることによって、通知音が何度も部屋中に響き渡る。



「………うるせぇ。」

私は既読だけをつけて、またぶつくさと文句を言いながら身支度を進めた。



朝ごはんを食べ、母に髪を整えてもらう。

結局、成人式には振袖を着ることになった。

朝に食べたご飯が帯によってお腹を圧迫し、なかなかに苦しい。


「ほら、もっと姿勢正して!」

「ぐえっ…」


母に肩をぐいっと後ろにひかれ、帯がさらに締まる。

苦しい…




準備を済ませ、玄関に向かう。


履き慣れない草履を履き、姿見(すがたみ)で着飾った自分を見ては、恥ずかしくなる。

その気持ちを振り払うように、私は家族に向かって言う。


「行ってきます!」





これは私、「桜井 春香(さくらい はるか)」が、


果てのない心の闇が取り除かれるまでの、


長い長い一年の始まりである。

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