なんか書きたくて書いたやつ
大気圏を抜けて地球の周りを回り始めた、カプセル型の宇宙船。中には白衣姿の男がいる。
一つしかないガラス製の丸窓にべったりと顔を押し付け、男は目玉が取れそうになるほど目を見開いて眼下に広がる地球を凝視していた。
止まない爆発と無数のキノコ雲に包まれた、赤黒い地球を。
男はにんまりと笑った。世界各地で爆発が起こるたびに口からよだれが垂れ、ベチャっと床を汚す。
しばらくして、アフリカ大陸でひときわ大きなキノコ雲が立ち上った時、男はあふれる歓喜と狂気を抑えられなくなった。体をのけぞらせ、アヒャヒャヒャと嗤う。手をたたき、叫ぶ。
「見ろ!凄いだろ!?俺がやったんだ!やってやったんだぞ!?」
男は自分の研究をバカにしたやつらの顔を思い浮かべ、彼らを脳内で一人一人爆散させる。
最後の一人が泣きながら消し飛んだあと、男は余韻に体を震わせながら再び地球に目を向ける。爆発はもう終わり、キノコ雲も上空を包む暗雲へと変わり、地球は隅から隅まで灰色に染まっていた。
男は満足げにつぶやいた。
「これで分かってくれる。俺の研究がいかに凄い物かを、皆・・・みんな・・・」
そこで男は疑問を抱く。
『みんな』って、どこの?
急な寒気に襲われて、男は再び窓ガラスに顔を押し付ける。地球を覆う雲は依然として濃く、緑の地面も青い海も一切顔をのぞかせない。
そんな地球にいる『みんな』に向かって、男は血を吐くほどの勢いで叫んだ。
「どうだー!?すごいだろ!?!?なぁ!?」
返事をまつ男の耳に響くのは、宇宙船の駆動音のみ。
男はもっと大きな声が出るように、内臓が飛び出るくらいの力を込めて喉を震わす。
「なぁぁぁぁぁぁ!!!!すごいだろぉぉぉぉ!?!?!?みんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
泣きながら、笑いながら、叫び続ける男を乗せて、宇宙船は地球を廻る。