#3「社長、襲来」
時間はその日の午後7時、たまたま社長がこの時間に空いていたということでその日のうちに面談できるということだった。
「失礼します、社長、この男が写真を撮った本人になります。」
「ご苦労、鹿野君はもう下がっていいよ」
「はい、では失礼します」
え、お前抜けるの?もしかして案内NPCだったの?ねぇちょっと
「君は・・・そうそう、庶務課の小林君だね?こうして二人で対面するのは初めてだ。自己紹介をしよう
私はこの会社の取締役を務めてる財前だ、改めてよろしく」
「よ、よろしくお願いします、小林です」
「では早速ですまないね、君もこの後用事があるだろうに・・・あそこの部長の社内不倫の写真を撮影、そして報告に来た、それで間違いないね?あぁ写真のほうは先ほどの彼から確認済みだ」
「はい、相違ありません」
「分かった、互麻部長だが・・・さっそく来週から地方分社に転勤、そして不倫相手の女性だが給料二か月カット、ところだろうか・・・」
以外に軽い処分だった、なんだろうこのもやもや・・・でもあいつが自分の前からいなくなるだけで十分役得だろう
「いやぁ、でも互麻さんがあんなことするなんてねぇ、昔は奥さん一筋だったはずなのに」
「部長と知り合いで?」
「そうだね、私と彼は同期なのだ・・・あれは能力はそれほど高くはないがまじめで一つ一つの仕事を丁寧にこなしていた、あの怠惰な性格になったのも五年ぐらい前かな昔の彼を知っているものが彼の現状を見たら驚いてしまうだろうね」
時の流れは怖いな
「転勤にさせるのも私の恩赦みたいなものだ、ほかの人間だったらクビは間違いないだろうね・・・そう、君も知っているだろうが庶務課は解散させる、その代わりだが別部署に三人の庶務を配置するつもりだ」
やっぱりそうなるのか、給料上がるといいなぁ
「そこでだ、小林君・・・私は君のここ一週間の変わり具合を評価している・・・何かあったかい?」
「い、いえ何もありませんが・・・正直に言えばあの部長が憎くてたまらなかったです」
「ははは!そうかそれが君の原動力か!・・・ここから個人的な相談だが、いいかい?」
こんなしがないサラリーマンになにか相談なんてあるのか?何も取り柄のない俺に
「君の今日の動きを実はカメラで確認させてもらった、いやぁすごいね!まるで探偵みたいだった互麻が振り向いたらそこにはもう誰もいないんだ、彼もすごく警戒していただろうに・・・それでだ、君には取引先のお偉いさんの観察をしてもらいたい」
は?観察
「あぁ、犯罪を犯せなんて言ってはいないよただ、私が観察してほしいと思った相手の行動を私の部下に報告してほしい、それだけだ」
「探偵をしてほしい、ってことですか?」
「まぁそうなるね、私はこの企業を日本一、いやいずれは世界一の企業にしたいのさ・・・手始めに君のその行動力と観察眼が必要なのさ・・・出勤は私が指定した日だけで構わない、日給10万でどうだろうか?」
十万!?それはこちらにとっても嬉しいことだが・・・
「わたくしとしてはぜひその話に乗らせてくださいとしかいいませんが・・・私でよろしいのですか?」
「そうだね、上に立つものはこれだと思ったことは大概実現させようとするそれに・・・まぁ君に直感的だが、やっていけると思ったのさ」
直感でそんなこと決めてもいいのだろうか、俺にはわからない
その日俺は社長の話に乗りその日を後にした、明日からは出社しなくてよいらしい
出社してほしい日は改めて社長の部下から連絡が来るようだ、なるべく朝の9時か夜の7時までには連絡してほしいと伝えさっさと帰宅しダンジョンにもぐることにした
二階層目ではまだ魔法を使うゴブリンはまだ出てこないようだ、香を使えばたぶん出てくるとは思うがレベルが10になるまで使う予定もない、あと一つでレベル10になるそれまで待つことにする
この日初めて斧を扱うゴブリンと遭遇した、奴は剣よりも素早く斧を振り回していた。
予想していたよりも早く動いていた斧ゴブに戸惑い腕に攻撃がかすってしまったが腹いせに腕を折って斧を奪って頭を勝ち割った
木の扉があったら割ってそこから顔をだしてしまうだろう、きっと
レベルが10になった、掲示板に出された俺の等級は新人類になっていた、どういう意味だ?
というか二階層目にしてレベル10は正直上げ過ぎた感が否めない、ゲームで言えば最初の町の最初のボスがいる洞窟レベルだろうか・・・あれ、案外妥当なのでは・・・でもでもたぶんこのままのスピードじゃ異世界化が来てしまったらものすごく早いスピードで適応した人間になりかねない・・・
よし、明日香を炊いて二日に一階のペースでやっていこう
次の日、鹿野から聞いた話ださっそく部長は会社の掲示板に左遷命令が出たようだった、不倫相手も給料カットが言い渡されたようだ。
不倫相手の女性はその日のうちに辞職を提出、ことを嗅ぎつけた女性の身内が会社に突劇を行ったらしいが警備員にあっけなく捕まったそうだ。
そこからどうなったかは俺も知らないが、ざまぁとしか言いようがない
この時の俺はまだ知らないが互麻部長とはまた再開することになるがその時に話そう
異世界化まであと363日