#14
あの時の魔力を使った身体強化はお世辞にも安定していたとは言えなかった。
一つの動作を行うたびに血流でいう所の不整脈のような不安定さを感じていた、正直に言えば技術の完成度でいえば将軍に軍配があがるだろうか。
いかにもこの軍団の長をしていますという肉体に遜色ない技術を持っていたとハジメでも理解できた。
やはり時間が解決するものなのかと思案し、日常で常に身体強化を行うつもりで生活してみることにした。
が、例えるなら肉体パワー100に魔力的強化が加算されるだけでも大きく強化される。
だがどうだろうか、ハジメは身体強化はプラスの加算で強化されると思っていたがどうやら、体に魔力を乗せた分だけ乗算して身体強化が行われているらしい。
その日から家の中の取っ手という取っ手を捻り上げていった。某アメリカの中年ヒーローみたいに。
動作を一つ一つ意識していれば壊すことは無いが集中が切れたとたんに何かを壊してしまうようで
「オデ、モノコワス、トクイ」
とふざけながらでないとちょっとやばそうな精神状態になっていた。
ネット通販で知恵の輪やブロックなど、とにかく細かい作業を必要とするものを買いそろえその日から引きこもることにした。
食って遊んで寝てを一週間ほど続けたタイミングで出力の調整を覚えた。
そしてまた一週間が過ぎたところで身体強化の出力を高めた状態でもある程度の体のコントロールが効くようになってきた。
これでハジメの準備は整った。
最低品質の四次元鞄の中には何本かの錆びたナイフと回復系の薬、そしてなべのふた…は卒業してもいいだろう、キッチンに封印した。
以前絶滅の危機に瀕していた11階層に再び足を運ぶためセーフルームへと向かう
「11階層目が無い?」
おかしい、今までそのようなことは起きなかったはずだ。
ほかの階層と違って11階層は何が違う?
ほかの階層はいくらか違いはあってもそのエリアの壁はあった。11階にはたぶんだけどなかった、なかったら今の今まで迷子になっていてもおかしくはないだろうし。
情報量が少ない、もし仮にあれがダンジョン側が用意した劇場型のエリアなら劇のように毎回あの地点からスタートして同じようなシナリオが繰り返すのだろうが。
もし、もしかして本当にあそこが地球以外の異世界だったとしたら。もしかして俺って異世界転移したことになるんじゃ…
ポイントを入れていただけると幸いです




