#13
お香の効果はすぐに現れた。
将軍ゴブは自分を見ると警戒して見定めるがはじめの姿を見て驚き硬直をする。
しばし考えたそぶりを見て自身の強大な獲物と鎧を脱ぎ捨てはじめの方に近寄ってくる。
将軍ゴブは自分を見ると警戒して見定めるがはじめの姿を見て驚き硬直をする。
ハジメはあの山のような男を打ち砕かねばならない、ならばどうするか考えた。
そしてハジメはステゴロ、つまり自身を武器に拳を持って立ち向かうことにした、理由はかっこよかったから。ただそれだけの理由。
すぐに両者が向かい合わせになる形で対面する。
初手を決めたのはハジメの方だった。
足で踏み込み上半身をひねり加速させ拳を将軍相手にたたきこむ。
将軍は両腕で防御の構えをとるが構えの先から衝撃が走りその巨体は宙を数十センチほど飛ばしてみせた。
将軍はこの自身の体よりも小さい男がこれほどの力を出せるのかと驚きつつもハジメの近くに戻る。
腕を大きく振りかぶり狙いを定め、打った!
丸太が自身へと迫ってくるような感覚、すぐに防御に徹するハジメ、かろうじて態勢に移すことはできたがその刹那に今までにない衝撃がハジメを襲う。
(重い!それだけじゃない、めちゃくちゃに吹き飛ばされている!?)
ハジメの攻撃とは違い、速く鋭い。体格差もあるのだろうがそれだけでは説明がつかないこの現状にハジメは困惑した。
なにか違いはないだろうか、あいつにはあって、ハジメには無いもの。
観察し理解しようとするがそれをあいつが許すわけもなくやつは接近し、ハジメに連打を叩き込む。
防戦一方の展開に魔法を使うにもその使う一瞬の集中を許してもらえずただただ防ぐ、避けては防ぐの繰り返す。
(落ち着け!十分に防げてるし最初の攻撃で驚いたけどそんなに強い攻撃じゃない!!)
ただただひたすらに殴られ続けられると本人でも気づかない隙をやつに突かれてしまい、防御ができていない腹に一撃を食らう。
衝撃と痛みに悶え防御の姿勢が崩れてしまう、将軍はそれを許すはずがなく大ぶりの姿勢をとりハジメに一撃を送り込もうとするがなんとか障害物を生成し、一撃を避けるが障害物は一撃を耐えた後脆く崩れ去ってしまう。
そこで違和感を覚えた過去の実践を思い出す。あいつの剣での攻撃、内壁は削れていたが今回の攻撃以前よりは厚さは分厚くないにせよ普通なら壊れる心配はしていなかった。
なぜ壊されたのか、その点だけに集中する、そしてふと閃く。
(さっきの腹パン、魔法の気配を感じたよな…もしかして体にも魔法というか魔力を纏えるんじゃないか?一か八かだけど……っ!?)
できてしまった。血が流れて体を支えているよう魔力を心臓から体全体に流すイメージを送り込んだらできてしまった。
違いが一瞬でわかるぐらいには体に力が滾ってくる。もしかしてあいつも同じようなことを自然としていたのではないかと推察できる。
魔力を纏った後と前では見える世界が違っていた。あいつの動きが見える、そして防ぐだけじゃなく自分からも攻撃ができている、否できていた。
ハジメが思う瞬発力を超えており、攻撃を受けた将軍も驚いていたがハジメ自身も驚きを隠せていなかった。
攻撃を受けた将軍は笑っていた、自分をコケにできる技を持っている相手がそれを捨てて同じ土台に上がってきたこともそうだが自身と同じ技を使ってきたことに対して、そして強者がそれを使う意味、本能で理解しただろう。ここからは自分が狩られる番だ、だが恐怖はある……しかしそれよりも大きく膨れ上がる興奮!俺とこいつどちらのこぶしが強いのかただそれが知りたいとお互いは思った。
言葉はなくとも両方は理解し、一時的ではあるが互いに見つめあっている。
こぶしをぶつけ合う瞬間をまだかまだかと待つ、ただひたすらに待つ…!
数分だったか、はたまか数秒化もしてない静寂が包み込むがそれは一瞬にして終わりを告げる。互いにこぶしを打った!!二人して避けた!が頬に切り傷がつく。
そこからは打って防いで避けてを互いに繰り返すがレベル差がそれを許すわけもなくハジメが行う一方てきな暴力が将軍に降り注ぐまで時間はかからなかった。
殴って殴られ、また殴って殴り続ける。ハジメ笑った、将軍も笑っていた。どちらかが強いか、ただそれをしているだけなのにお互いは嬉しくて笑っていた。
そして将軍の顔面にこぶしがめり込み、体が倒れその体は崩壊していった。
いつもなら武器などがドロップするとこだが今回はピアスが置かれておりそれを拾うと体に力を感じる。
「これはステータスアップのアイテム?初めてだな」
すぐにセーフルームに戻り出てきたアイテムの詳細を見る
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「力のピアス(微増)」
・この所持品を体に触れていると力が微量だが増える。
品質はそこまでよろしくはない。
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思わず苦笑いが出てきてしまう。
しかしあいつからプレゼントされた気分になり売ることは考えず両の耳に付ける。
「悪くはない、かな?」
こういう装飾品を付けたことがないハジメ、今はまだ違和感があるがそのうち慣れることだろう。
今日は引き上げて寝ることにしよう。




