表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界化する現代社会で未来の英雄になるために  作者: テルミア
崩壊伝令者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

#9

 人を丸呑みできそうなほどの狼だ、こちらを睨みつけてきた。

 俺をじっと見つめる、俺を見定めているようだった


 何かを察した狼はその場を退きまるでこちらに戦意はない、好きに進めと言わんばかりにこちらを見つめてくる・・・え?戦わないの?戦わないのなら別にいいんだけどさ・・・まぁいいか


 戦わずして勝ったハジメは何とも言えない感情になったがこちらとしても好都合だったので何も言わないのだった


11階層目のセーフルームでひとまず攻略を終え地上に戻ることにした






異世界化まで355日、あの日、ゴブリンたちと遭遇してからすでに十日もすでいていたのか

異世界と融合されるのも時間の問題なのだろうかそんなことを思いながら俺は久しぶりに散歩に出かけることにする



ふと小さいころに遊んだそれなりに広い公園に着いた、懐かしい記憶と新しく変わっている遊具を見て昔を懐かしみながら公園へと足を運んだ、休日ということもあり人もそれなりにいるし、なんなら大半が親子連れだろうか、あとは昼間から飲酒しているおじさんとかも多い、そういう言った場所には同じ輩も集まるようで小さな宴会が始まっていた


 そんな連中と一緒に思われたくないので別のベンチを探しそこに座ることにしたが小さな先客がいたので断りを入れることにした


「横、座ってもいいかな?」


「え・・・はい、どうぞ」


「どうも」

 許可も得れたので少しだけ間を開けて座る、隣の先客を観察してみるとどうやら、周りの遊んでいる同年代たちと遊びたい様子だがどうにも一歩踏み出せない様子、どうやって声をかけようか、断られたらいやだなという雰囲気を醸し出している、わかる・・・わかるよその気持ち、俺も昔はそうだった

 懐かしいな、この公園で葵に遊ぼうって言って強制的に手を引っ張られたんだっけか・・・懐かしいなぁ


 どれ、おじさんが勇気を分けちゃおうかな


「遊びには行かないのかい?」


「え?」


「大丈夫、みんな優しく遊ぼって言ってくれるはずだよ」


「でも」


「ほら、何かあったらおじさんが文句言ってやるから」


「・・・分かった、おじさんはべにまる持ってて」

 この鬼のような人形はべにまるっていうのか


「おう、行っておいで」

 少女はおずおずと遊んでいる集団へと寄っていく、まぁ遊んでいる集団からすればなんだこいつってなるだろうがそこがチャンスだ、これは営業だ自分を相手に自分は遊び相手になれるって売るんだ!


 なにか会話をしている、少女は後ろ姿でもわかるぐらいに喜んでいるのが見える、そしてこちらに走って近寄ってきた


「おじさん!いいよだって!・・・それでね?」

 なんかもじもじしてるな、視線がべにまるに移っている・・・あぁ


「おじさんがべにまるとここで待ってるから遊んでおいで」


「・・・!!おじさんありがと!私はね、有寿っていうの、じゃあね!!」

 そういうと有寿は集団と混ざって遊びに行った


「・・・じゃあべにまるは俺の話を聞いてくれるかな?」

 べにまるはなんだかしょうがない雰囲気を醸し出しているのは気のせいだろうか、構わないこっちから話してやろう






 日が暮れるころ有寿の母親が迎えに来ていた、その様子に有寿は友達に別れを告げてこちらに戻ってきた


「おじさん!べにまる見ててくれてありがと・・・じゃあね!」

 そういうとべにまるを持って有寿は自身の母親のもとへ駆け寄っていく、今日あったことを話しているのだろうか、母親の顔は驚きながらもニコニコ自身の娘の言葉の一言一言にうなずきながら帰路に着いていったのだった・・・


「・・・母親か」

 親孝行できずにこの世を去った両親のことを思うともう少し親孝行してやればよかったと後悔をするハジメであった




 その帰り道おばさんと偶然あった、もしよければ晩御飯一緒にどうだと持ち掛けてきた俺はその誘いに乗り一時間ぐらいしたらうちに来てほしいということだったのでその時間に合わせてお邪魔させてもらうことにした






一時間後、おばさんの家へと向かう

インターホンを鳴らすとおじさんが出てきたのだった


「お、ハジメ君か!さぁ入って入って!」


「おじさんお久しぶりです、お邪魔します」

 おじさんの顔は少し嬉しそうだった、なんならだいたい七年ぶりくらいに会うのだ、それはうれしいのかもしれない


「いやぁ・・・本当にハジメ君も大きくなったねぇ・・・今はちゃんと働いているのかい?」

 食事中にする会話なのかなこれは

「えぇ、一応・・・財前ホールディングスってわかりますか?一応あそこで働いてます」


「最近ニュースとかでよく見るところだね?いやぁすごい所に入ったもんだ・・・どうだい?一杯乾杯するかい?」

「えぇ、そうしましょう・・・」


 一杯ひっかけようって言った時のおじさんの顔がなんだかとてもうれしそうだった、こっちまで嬉しくなる


「じゃあ久しぶりの再会に、乾杯!」

「乾杯!」


 久しぶりに誰かと飲む酒はうれしかった、おじさんも同じようなことを考えているのだろうきっと



 久しぶりに食べるおばさんの料理はおいしかった


「ありがとうございました、とてもおいしかったです」

「ありがとうねいっちゃん、あの日会ってからお父さんがね、ハジメと酒を飲みたいってうるさかったのよ・・・めったに酔わないあの人が潰れるなんて・・・よっぽどうれしかったのね」

 その言葉にうれしくなった


「ありがとうございました・・・また誘ってもらってもいいですか?」

「えぇ!当然よ!・・・できれば、叶うならあの子も一緒に混ざってお夕飯、楽しみたいわね」


「・・・それは僕も同じ気持ちです、ですがこればかりは願うしかないと思いますし、回復することを願いましょう」


「・・・そうね、きっとよくなるわよね、じゃあいっちゃん、またね」


「はい、おやすみなさい」


そうしておばさんとは別れ自宅に戻る、実はあの自宅のあの長い道が今日は石畳に石の壁に変わっていた、多分次のステージに関係していることなのだろうか、期待だ




下準備を済ませ11階層目に潜る、装備はゴブ将軍の鉄の大剣と魔力を通すと切れ味が増す短剣、いわゆる魔法武器、高かったが何とか購入できた、100万は超えたであろうか普通に攻略していたら買えない代ものだったであろうことは間違いない

回復薬の類も忘れてはいけない、ちゃんと準備する、(小)回復瓶では心もとなかったので回復ボトル(中)を何個も購入しておいた、値は張ったけどね


いざ11階層目イクゾー!デッデデレレレ



扉を開けるとまた小さな部屋に通された、武器が立てかけられていた、それに音もたくさん聞こえてくる、なんの音なのだろうか



音の正体が気になり扉を開ける





その先には人と人が争い、おまけに魔物たちも一方の人間たちを相手取っていた、これはまるで戦争だ・・・今までにない場面に動揺するがとりあえず倒れている一人を小部屋まで救出して回復薬を飲ませることにした


「おい、どっちが敵だ?」


「はぁ・・・はぁ・・・魔物を・・・赤い鎧を着ている奴らが敵だ・・・白い鎧と・・・青い鎧を着ている兵士が私たちの軍隊で・・・命を預ける仲間たちです」


「・・・分かった、これじゃ少ないだろうけどこれ使っていいから・・・怪我してる人たちに使ってあげて」


「しかし、貴重な回復薬ですよ、おまけに魔力を回復させる薬なんて・・・どんなに貴重なのかわかっているのですか?」

 それなりに貴重なようだ、でも困ったらお互い様だろう


「大丈夫、俺もそれなりに強いから・・・じゃあ俺あそこの扉から出るけど様子見て怪我した人たちの救護をお願いね」


「あ、ちょっとま」

その言葉を聞かずにハジメは扉を開け、赤い鎧のやつらと魔物へと突っ込んでいく、空を見上げると火を噴くトカゲみたいなのもいる、あんなのを相手にしなきゃいけないってなると面倒だがそれ以外にセーフルームにつながる建物と扉を壊されては溜まったもんじゃない、俺はこのまま異世界転移したくないぞ!


 ひとまず押されている青い鎧の兵士を助けることにする

魔法が良いだろうか、氷の槍を赤い方へ突きたてた。見事にそれは貫通してそいつそいつの命は絶たれた

驚いたように俺の方を見て感謝を述べる


「どこのどなたか知りませぬが助かりました」


「いや・・・なんともないさ、それよりもあいつらの大将はどっちにいるの?」


「あちらの・・・我が国の城の反対側にずっと進んだところにあります」

そういって城とは反対側の方向を指を突き刺した


「了解、じゃあ俺はそっちの方に突進してくるけど気にしないでね・・・そうそうもし大丈夫なら近くのけが人助けてる人を助けてあげて・・・それじゃ!」


 ハジメはそう言い残すと指をさした方角へと突進していく、敵を倒しながらでは前へ前へと走っていく、赤い兵士の強さはそれほどでもない、せいぜいレベルが5ぐらいだろうか。

 それぐらいであれば問題なだろう、確実にあいつらを倒せる


 大剣を片手に俺はこの攻められている国を救うことにした



===

小林一

レベル23

等級、新時代先駆者


称号 『大物喰らい(ジャイアントキリング)


ダンジョンの扉は時として異世界につながることがある

次の階層につながる階段を見つければその階層はクリアとなるが別に世界を救ったってかまわない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ