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#0 「上司が憎い」

小林はじめ 25歳 童貞

 生まれてこの方女の子ともキスをしたことがない悲しい男今日も寂しく帰路につく


 会社の付き合いでそういうお店にも入ったこともあった、でも緊張で勃つわけもなく、大きな失態を吐いてしまった


それ以来会社の付き合いの接待には出させてもらったことは無い、それもそうだろう大きな失態を犯されては会社も困るのだ。

令和という時代に入り個人で日銭を稼ぐ力が必要になった時代で何も能力もない、副業で何かを始めるわけでもない無気力人間、昔から努力という努力をしてこなかったつけだろう


 最近では自宅でも会社の中でもボッチ、窓際のある部屋に窓際に押し込まれた労働者、お荷物部署勤務のしがないサラリーマンだ。



 今日も社内では陰口を言われ、部長には怒鳴られ、同期には笑われる、それが最近のルーティン


「あの部長、自分もお荷物なくせに何を偉そうに・・・いつか絶対にあげあしを取ってやる」

 と言いつつも社内では有名なうわさ話が一つ、部署内の事務員の一人と浮気をしているという噂があるのだ、その噂の真相を確かめて部長に突き付けてやればおれにペコペコするのに・・・なんていつも考える


 あの上司は必ずと言っていいほど木曜日と金曜日に同じネクタイをしてきている、そして半年に一回ほどのペースで週末から週明けにかけて同じネクタイをしてきている、対外その時に限って怒られることは一切ない、不倫相手と旅行にでも行ってきたのだろうか


 ちなみに怒られるときの最初の一言は「小林君、ちょっといいかね」が必ず先頭に着く、それ以外か気分がいいときは名前呼びだ。


 名前呼びで呼ばれるほうが圧倒的に少ないけどね。


 そんな上司でも部下の手柄は横取りしないのが唯一の良心だろう、いや違うな、たぶん俺のことを可哀そうだと思ってるに違いない、みんな上司対する目はまるで悪魔に憑りつかれたかのような目をしている。


 きっとそうに違いない、なんか無性にムカついてきた今日はやけ酒だ。


 そんな調子で自宅の前に着く、生前、両親から相続した一軒家、二階建ての2LDK

 ローンは完済されていた、今払っているのは固定資産税ぐらいだろうか、実際のところよくわかってない、親が貯めていたであろう貯金からそのまま支払いに転じているから


 二つ上に姉がいるが遠くに嫁入りしているから私には必要ない、はじめにやると言質は取っている


 めんどくさいのは全部弁護士に丸投げをした、めんどくさい部分も実のところよくわかってはいない





 玄関を開け靴を脱ぎ廊下を渡る



 ムニュ





 ん?

 なんだこの肉を踏んでいる感覚は、っていうかよく見たら壁と床全体に肉の壁みたいなのができてる

ナ〇トじゃんこれとか思いながら再び靴を履き暗いのでスマホのライトをつけ奥のほうに進んでいく





 お、土間を見つけたのとその隣に石づくりの階段が現れた、見事に現代ファンタジーをしているのが素晴らしく感じる。


 階段はひとまず放置だ、とりあえず飯食って風呂・・・はとりあえず階段の攻略が終わってからだな


 冷凍してあるおかずを解凍しながら階段を降りるときに持っていくものを厳選していくことにした



・修学旅行で購入した木刀

・念のため料理包丁

・鍋のふた

・ヘルメット


これぐらいだろうか、とりあえず飯を食おう








「せっかくだから俺はこの赤い(肉のような壁と床でできた)階段を選ぶぜ!」

 一人でボケつつ階段を一歩ずつ丁寧に降りていく、若干滑りそうで怖いのだ



 30秒ほど降りただろうか、階段は終わった


 案の定降りた先はダンジョンよろしく薄暗い小さな赤い部屋だった、明かりは薄暗いがついてた


「なんかかかってる・・・ランキング?・・・一位、小林ダンジョン?」

 壁にランキングと書かれた掲示板がかかっておりそこには自分の名字が書かれた名前のダンジョンだけが書かれていた、しかも一位で


「まるでゲームだな・・・ん、俺の名前も書いてある


====

ダンジョン所持者・小林一

レベル1

等級・ゴブリン以下級


世界にダンジョンが出現するまで残り一年と一日

====


 なるほど、このダンジョンは俺のものでそれと・・・??え、この世界ダンジョンで埋め尽くされるの?いやだなぁ・・・待てよ?ここで先に俺がダンジョン攻略を進めて一年後、さっそうと人が集まるとこなんかでモンスター討伐とかしたらかっこいいんじゃないか?一気に納税者ランキングに乗るのか俺?


・・・いや、違うな、それだけじゃ鴨同然だ、国に俺の体は使いつぶされる。

 つまりダイアモンドを採掘してる人が直接儲かってるわけじゃない、ダイアを相手に取引している人間が利を得ている・・・つまり、俺が先行モデルとしてダンジョン攻略をしていけば自分を支持する人間を集めて確固たる地位につけばいいだけの話だ。




 小部屋の中にも扉が一つある、その扉を開ければいよいよ本番なのだろう意を決し扉を開ける







『ゴブッ』

「あ、どうも」















 なんで扉開けた瞬間に緑色の小人がいるわけ!?これが噂のゴブリンってやつか?!


 ゴブリンもここから人が出ることを想定していなかったのか、困惑している今のうちにそっと扉を閉めよ





ガチャ、ダン!ダン!ダン!


 扉に思い切り何かを押し付ける音が聞こえる、体当たりをしているのだろう


 音は徐々に強くなっていくが扉は壊れる気配もない


 幾分か音が大きくなったのを見計らいタイミングよく扉を少しだけ開ける、回しノブでよかったと思う。


 ゴブリンは案の定その罠に引っ掛かり扉をくぐり何も考えずに階段のほうに突っ込んでいき階段に足を躓かせ顔から転んだ、その手には棍棒を持っている、俺を殴り殺すつもりだったのだろう



 悶えている、俺はこいつを殺さなきゃいけない、じゃないと俺が殺される・・・でも俺が本当にこいつを殺るのか?







 学生時代を思い出した、友人のそのまた友人の話だが、そいつは人は人を殺せるのだろうかと唐突に言い放った、俺は一瞬頭がおかしくなったのかと思い俺はこう答えた


「普通に考えたら殺せないんじゃないかな?」

 と、するとそいつは次にこのように答えた、たった一人の家族をなぶり殺しにした相手を目の前にしても同じことが言えるのか



俺は黙ってしまった、答えようのない、答えたくもない質問に俺は答えなかったが自分なりの回答は出ていた


俺もそいつを殺してしまうのかもしれないが、その寸前にいろんなことを考えてしまうかもしれない

本当にこれで良かったのか・・・ってもっといい方法があったのではないのかと




 友人の友人はその二日後に警察に捕まった、同級生を三人も殺してしまったらしい

 一人目は裏路地に誘い込んで襲ったと二人目三人目は一人目の頭部を見せ戸惑っているすきに二人の心臓をさっくり



世間では悲劇の生んだ猟奇殺人なんて言われてる

教育アナリストはこんな状態にまで加害者を追い詰めた教育制度に問題があると言っていたが違う


 現に俺と友人に救いを求めていたんだろう、今になっては分からないが彼にとってあの瞬間がもっといい方法があったんじゃないのかってことだと思う、あれから友人とは疎遠になってる。



 





俺はこの瞬間にあのことを思い出した、本当にこれでいいのか



いや、いいんだ。もしここで俺が動かなければ世界は、きっと俺が行動した世界よりも悲惨になる。

何もせずにこのままゴブリンを踏み超えて自宅に閉じこもってこいつが世間に出回るよりましなのではないのか?


呼吸が荒くなるのを感じる、こいつは時期に起き上がる、相手は待ってくれない、怒りを俺にぶつけてくるだろう、動くなら今だ


やれ




やれ












喉元に一回、心臓に一回、包丁を刺した。念のため頭を持って階段に思いっきりたたきつけた。


数秒立たないうちにファンファーレが響いた、ド〇クエかよ

ファンファーレが止む瞬間に違和感を感じる、さっきよりも体が軽い


俺は思わず掲示板に目を通す


====

ダンジョン所持者・小林一

レベル2

等級・ゴブリン級


世界にダンジョンが出現するまで残り一年と一日

====



俺は強くなった、その瞬間俺は決意した




上司に復讐して、そのあとこの世界の英雄になろう。

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