レベルって?
まとめ。
俺が持っているチートはお金でした。
納得出来るか、こんな結果!
しかも∞とか9が沢山とかじゃなく、なんか現実的な金額。
家が買えるかどうかくらいだな。
……待て待て、落ち着いて考えよう。
ここは俺が散々プレイしたゲームの中。
という事は、その知識こそがチートではないだろうか?
ラノベではそういうのですぐに強くなったり、お金を稼いだりしてるし。
しかしなぁ、レベルの概念がなぁ。
項目にレベルがあるってなんなの?
丁度良いから「チョロイン」こと「ヘルプ娘」こと「チュートさん」ことセラフさんに聞いてみよう。
チュートリアルでもあるセラフさんだ。きっと知っているに違いない。
「セラフさん」
「あっ、やっと戻ってきてくれましたか」
「えっ? どこにも行ってないですけど?」
「宙を見ながらブツブツと言われてましたけど?」
「……それは置いといて。
ステータスの各項目にレベルがあるんですけど、どうやって上げるんです?」
「見せて頂いてもよろしいですか?」
「どうぞ」
俺は手のひらをセラフさんに見せる。
鑑定の魔法はゲームの時も無かったし、この世界にも無いのだろう。
「ふむふむ……レベルは子供並ですね」
「そうなの?!」
「はい。と言っても赤ん坊並と言っても良いくらいです」
「マジで?!」
「はい。各項目の説明が必要ですか?」
「お願いします」
セラフさんの説明によると。
耐久力はゲームでいうHP。
ただし、これが0になっても死にはしないそうだ。
では何かと言うと「我慢出来る限界」みたいなものらしい。
要は怪我しても動ける限界値って事。
精神力とも言えるかな?
耐える練習をすればレベルが上がりますとの事。レベルを上げるには修行しろと。
魔力はそのままMP。
これを上げるには知力を上げる事だそうだ。
簡単なのはドーピング、つまりそういう薬を飲めと。
筋力は筋トレすれば上がるそうな。現実的だなぁ。
持久力も同じ。マラソンとかが効率的らしい……。
知力は勉強しろってさ。異世界に来てまで勉強かよ。やだなぁ。
結局の所、モンスターを倒して経験値を集めてレベルアップ!ってのは無いようだ。
地道に努力しろって事らしいわ。
普通さ、召喚された人はさ、最初にボーナス値とかさ、くれるもんじゃないかなぁ?
それを5項目に振り分けたりさ、どれか1つを特化かせたりしてさ、最初から強い、みたいな。
努力。RPGから一番遠い言葉な気がする。
はっきり言おう。したくない。
経験値の多いモンスター狙い撃ちで、すぐに強くなるってのを考えてたのに!
知識チート、役立たず!!
いや、落ち着け。
ゲーム内と違うからと、悲観するのはまだ早い。
経験値の多いモンスターを倒してみないと、結果は分からないじゃないか。
特に俺は他から来た人間。
ギフトとかあったりして、人とは違う成長をするかもしれない!
ならば早速、実験あるのみだな。
たしか近くに初期時のレベルアップに有効な場所があったはず。
そこに向かうとするか。例えステータスが赤ん坊でもね……。
「理解出来ました」
「それは良かったです」
「ところで、ステータスを消すには?」
「手のひらを握って頂ければ、消えます」
「なるほど」
「では、お城に向かいましょうか」
「セラフさん!」
「は、はい! なんでしょうか?」
「お世話になりました」
「はい。…………えっ?」
セラフさんは不思議そうな顔をしている。
こっちでは「お世話になりました」とは言わないのだろうか?
「お手間を取らせましたね。
後は大丈夫なので、どうぞ通常の勤務に戻ってください」
「へ? ………………何を言っているんですか?!
私は貴方をお城へ連れて行く事が仕事ですので」
「はっはっは~、またまた~」
「いえ、冗談ではありませんから!」
「そうなんですか?」
「そうなんです!」
「……トイレはどこでしょうか?」
「……トイレから逃げる気ですか?」
「はははは、ナニヲイッテイルヤラ……」
バレてる!
こうなったら!
俺は走って逃げた。
まぁ、当然捕まるわな。
Lv.1の筋力が恨めしい。