作戦開始!
サッチ君はそこら辺に生えてる木で、簡単に棒を作ってくれた。
さて、どうやって先端に毒針を取り付けるかな。
って考えてたら、それもサッチ君がもうやってた。
周囲に生えているツタから出る液が接着剤になるんだって。
「でも、簡単に取れそうだけど?」
「刺さってから取れるなら問題無いのでは?」
確かに。
振り回すくらいでは取れないので、問題無い。
山に入って2時間。
いつもは上空から見た画面なので不安だが、サッチ君が言うにはもうすぐ目的地らしい。
ちなみに途中で出てきた獣は、サッチ君が簡単に追い払ってた。
モンスターじゃなく、獣。
何故かウサギが向かってきたりしてたけど、ウサギも獣。
ちょっと怖かった。
「この辺りが言われていた場所になると思うんですけど」
どうやら到着したようだ。
ここだけ木々が無い、開けた場所。
広さは……小学校のプールくらい?
「本当にこんな場所があるんですね」
サッチ君に伝えたのは2つ。
町からまっすぐ西に向かった先。
山の中に、平地がある。
これだけでよく見つけたもんだ。驚きです。
ゲームのマップで見れば違和感がある場所なんだけどさ、実際だと木々があり高低差があるから発見しにくい。
俺一人だったら発見出来なかったなぁ。
「それでどうするんです?」
「え~と、様子見?」
「何を食べるかとか知らないんですか?」
「うん、知らない」
どうやら食べ物で釣り出すとか考えてたようだ。
でもね、そんなのはゲームには無いんだ。
その場所をウロウロするだけで、戦闘画面になるんだよ……。
「じゃあ取り敢えず風下に移動しましょう」
「了解」
「ここが隠れるのに丁度良さそうですね」
「じゃあ、待機だね」
背の低い木の所で待機する事5分。
とうとう動きがあった!
地面が盛り上がったと思ったら、犬くらいのモグが現れたのだ!
デ、デカい!!
ゲームではサイズまでは分からなかった!
あのサイズ、詐欺じゃない?!
「出ましたよ! さ、攻撃してください」
「えっ?! デカくないか?」
「えっ? 小さいほうだと思いますけど?」
新たな事実。
アレでも小さいほうらしい。
大きいのは、直径1mくらいの丸太並らしい。
そりゃこんな開けた場所に生息するわ!
地面の下を移動するんだから、デカけりゃ根っこが邪魔だよ!
くっ、こうなったら覚悟を決めよう。
俺は棒槍を構えて、モグに投げた!
……手前で落ちた。
モグは気づいてもいない。
俺に投擲能力が無かった!
「あれ? 接近して刺すのでは?」
「ははは。ちょっとビビったんだよ」
「まさか自分でビビったと言うとは思いませんでした!」
「だって想像よりもデカかったんだもん!」
「……俺がやってきましょうか?」
「……いや、や、やってくりゅ!」
「かんでますよ?」
そこは流してくれよ!
俺は飛び出して、棒槍を拾う。
モグに気づかれた!
俺が槍を構えると、凄い速さで引っ込んだ。
アレだ、もぐらたたき。正にそんな感じ。
規模と武器が違うけど。
出来た穴の所で待ってたけど、出てくる気配がない。
すごすごとサッチ君の所に戻ると、少し離れた場所に再度出没した。
穴の空いていない、もぐらたたき! 出る場所が完全に不明!
しかもこっち見て笑い顔してやがる!(そういう風に見えた)
クソがっ!




