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依頼内容

依頼内容を説明か…………難しいなぁ。


いや、依頼自体は簡単なんだよ。

モグっていうモンスターを倒しに行くので、道中の護衛を頼むだけなんだ。


問題はさ「何をしに、モグを倒しに行くのか」とか説明する事。

そもそもモグは臆病な逃げ足の早いモンスター。

なので攻撃される事は皆無だし、モンスターにしては害の無いと思われているらしい。(オッサンに聞いた)


だがこのモンスター、ゲームの中では経験値が豊富なモンスターとして有名。

しかも生息地も限定で、そこには他のモンスターも出ない。

更に、ザコモンスターのビーがドロップする毒針で逃げられずに倒す事が出来る。

知ってしまうと序盤では皆が狩りに行くモンスターなのだ。

噂では、繰り返しプレイするのに序盤のレベル上げを楽にする為に作られたらしいね。


俺はこのモンスターを倒してレベルが上がるのかを検証したいんだ。

もしゲームのように簡単に上がるなら、挑戦する意味があるだろ?

説明がメチャクチャ難しいけど。


う~ん、なんて説明しようか……。

だってさ、正直に「この世界はゲームで、モグ倒すと経験値が沢山貰えるから倒しに行きたい」って言ってみ?

絶対に頭がおかしいと思われるぞ。依頼も拒否されるだろう。

日本でそんな事言ってるやつ居たら、中二病かヤバい人確定だよ。


…………そうだ、モンスターの研究してるってのはどうだ?

色々なモンスターの生態を調べているってのは、良くない?

よし! それで行こう!


「実は俺はモンスターの生態を調べてまして。

 ある場所にモグというモンスターが出ると聞いて、調べに行きたいのです」

「ほうほう、なるほど」

「しかし俺だけでは危険過ぎると知り合いに言われまして。

 なので冒険者を雇おうと思った訳です」

「その場所はどの辺りですか?」


えっ?! 場所とか聞くの?!

そこは隠しておきたいんだけどなぁ。

もしゲームと同じように簡単にレベルアップするなら、俺専用の場所にしたいもん。


「え~と、場所は秘密って事に出来ませんか?」

「組合では情報を漏らす事はありませんよ?

 ……まぁ、それでも秘匿されると言われるのであれば、少々契約料が高くなりますけど」

「それでも良いです」

「しかし、具体的な場所ではなくとも、この辺りという大まかな場所くらいは教えてもらわないと困ります」

「えっと、その理由は?」

「目的の場所までの道中の危険度が分かりませんから」


なるほど、そういう事か。

ゲームではレベル5になれば行ける場所だ。

だが、レベルの概念が違うから、俺では危険度の判断が出来ない。

そう考えると組合に任せた方が良い。

弱いモンスターしか出ない道中と言っても、弱い冒険者を派遣されて苦戦されても困る。


「そういう事でしたら。え~とですね、この町から20歩……いえ、西に進み山を2つ超えた辺りになります」

「ふむ……。なるほど。

 …………少々お待ち下さい」


そう言うと奥に入っていった。

え? 何? 何か問題でもあった?

ゲーム的には20歩の場所だったんだけど。実際だと野宿の必要もあるのかな?

こうやって待たされるのって、不安だよなぁ。




5分程で、戻ってきた。

何やら書類を持ってきたみたいだ。


「お待たせしました。

 査定をしたところ、危険度3と判断しました」

「危険度3?」

「危険度は1~20までありまして、今回は3です」

「説明して貰っても良いですか?」

「はい。危険度1は危険は無いという判断です。例えば町中での郵便配達等ですね。

 逆に危険度20は死亡リスクの非常に高い仕事になります。選りすぐりの冒険者を何十人も雇う事になります」

「なるほど。で、3だとどれくらいですか?」

「3だと初級冒険者2~3人か、中級冒険者1人を雇うくらいですね。危険もほとんどありません」


ふ~ん、そういう感じか。


「それでですね、検討した結果、依頼料は100000Jとなりますけど、よろしいでしょうか?」

「えっ?! 100000Jですか?!」

「はい、そうです」


高い! 想像よりも遥かに高い!!


「す、すみませんが、内訳を教えてもらえますか?」

「はい。まず日程は3日間と予定しました。

 それで、冒険者に支払う金額が20000J×3日=60000J、保険料が10000J。

 それから組合の仲介費が20000J、今回は加入費がありますので、それが10000J。

 合計で100000Jとなります」

「加入費?」

「はい。冒険者組合に加入して頂く事になります」


加入していないと利用も出来ないのか!

保険料ってのは日本で言う旅行の保険みたいなものだろうか?

もし冒険者や俺が怪我した場合に治療費が出る、みたいな。うん、必要だな。


「ちゅ、仲介費、高く無いですか?」

「初回利用ですから。今後利用回数に応じて安くなりますよ」


なるほど、うまく出来てるな。

加入したなら使わなければ損。だから利用回数は多くなる。そうすれば安くなると。

逆に1度しか使われないのであれば、組合としては損だから、多く取っておく。

組合も商売だ。損するようにはしないよね。

それに利用回数が多ければ、それだけ信用も出来てくる。

信用出来る依頼主ならそりゃ割引もするよね。


ラノベとかのギルドとか組合って、どうやって稼いでるのか不思議だったんだよね。

依頼があっても冒険者が受けなきゃ儲からないもん。

素材の転売で儲けてたとしても、それも依頼を受けてもらって初めて発生する事だし。


「分かりました。その金額で良いです」

「ありがとうございます。ではこの書類をご記入ください」


書類記入。

これも苦労した。

だって住所とか……武器屋でいいか。

もう、面倒だな!!

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