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Choose No Answer  作者: 神崎隼人
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第2話 頭脳神への招待


「なんだ?これ?」


封筒をあけて、数枚ある紙の一番上の紙を持ち記された言葉に夏樹は目を通す。


“頭脳神決定戦

今回、全国の有数な人間の中で最も一番賢い人を決める戦いを開催することを決めました。

あなたを見ていたところ大変頭がよろしいようですね。

あなたの知識は一体何のためにあるのですか?

あなたが知識をどのように使うのか、私に教えてください。“


そう記されていた。残りの紙を見ると、簡単な個人情報等を書くシートと封筒が入っていた。しかし肝心なことが記されていないことに疑問をもちつつ書類が入っていた封筒を確認するが目当ての言葉は見つからなかった。


「これ、どこから送られてきたんだ?」


その封筒には宛先も宛名も全く記されていなかった。そんな出処が不明の郵便物に夏樹は疑問を抱くが気にすることなく封筒をそのまま机に置き、2階の自室に荷物を置いたあと唯の部屋に向かった。


ドアを軽くノックし「唯、入るぞ。」と声をかけて部屋に入った。


部屋に入ると唯はベッドで横になって漫画を読んでいた。


「おい、来たぞ?勉強、わからないんだろ?」


「あ、お兄ちゃん。」


唯はベットから起き上がり、机に向かう。


「ここが全然わからないの。もう無理なのー。」


と言って、宿題を夏樹に見せる。夏樹はそれについてわかりやすい解説をいれて教えていっていた。


「お兄ちゃん。すごいね!いつもありがとう。」


唯は夏樹に教えてもらえていることを喜んでいるようににこっとして声をかける。


唯は、夏樹のように学校で圧倒的に秀でるほど優れた学力があるわけではなかった。学年でも平均より少し上くらいの学力であった。それに対して、夏樹は少し安心している面があった。夏樹にとって、学力があるということによって生まれる偏見の目や人間関係の困難さに唯が出会わなくてもいいからだ。現に唯は夏樹とは違って、明るく友達も多い学校生活を送っていた。そのことに夏樹は喜びを感じていた。


「よーし、これで宿題終わりだー。いつもありがとうねお兄ちゃん。唯は頭のいいお兄ちゃんがいてくれて大変誇っています。」


えっへんと言わんばかりの顔をして、唯に声をかけられた。唯のその言葉に夏樹は大きく救われているところがあった。


そんなことを思っていると下の階から二人の母親の「ご飯できたよー。」という声がきこえた。


「ご飯、行くか。」「うん。」


という会話をして兄妹はリビングへと向かった。


ご飯を食べ終わり、自室に戻り、本を読み始めた。夏樹の日常は、いつもこのような感じだった。大半の学生は放課後遅い時間まで塾に通い勉強をする。しかし、夏樹は学校で教えられたことをほとんど学校で覚えていたためほとんど家で勉強することがなかった。そのため、家に帰ってからの時間はほとんど読書に費やしていた。


いつもどおり本を読みながら、ふと、今日届いていた郵便のことについて思い出す。


“あなたの知識は何のためにあるのか”


その問いに対する答えを、夏樹は見い出せていなかった。夏樹にとって勉強は特に努力しているものではなかった。だからこそ、そこに目的意識を見い出せていなかった。強いて言えば勉強ができたら有利だろう程度であった。でも、それと同じだけ勉強ができることに対する損害というのも夏樹は理解しているつもりだった。


「なんのために、勉強しているか・・・か。」


夏樹はそんなことを考えながら過ごし、気づけばふっと意識が遠のいていた。




次に夏樹が目覚めるきっかけとなったのは学校でなるチャイムの音が聞こえてきたからだった。


(チャイムの音・・・?)


ボーッと目を開けるとそこは自分の部屋とは違う雰囲気であることを感じる。ゆっくりと体を起こし目をこすり状態を確認しようと確認する。まず、自分が椅子に座り机にうつぶせになっていたことに気づく。周囲を確認すると、そこには教室のような、でも普段通う桔梗ヶ丘高校の教室とも一般的な教室ともどこか雰囲気が違うことに気づく。


ようやく、自体の異常さに気づき、目が冴え周囲を改めて確認する。周囲には机と椅子が30個ほど並べられておりその椅子すべてに人が座らされていたが、その人たちも自分と同じように状況が掴めていない様子だった。窓の外を確認するとなんだか部屋の外が薄暗い、そして何よりもそこには景色がなかった。


「なんだ、ここ・・・?」


誰かが口を開くと、あたりが同様にざわざわとしだす。よく見ると、周囲にいる人間は夏樹の知らない人ばかりだった。ましてや、学生と思えないような人間も多く存在していた。夏樹も場の状況が正確に掴めていない状況ではあったが、その有り得ない状況に対して、夢だろうというひとつの結論に至っていた。


「おい、扉開かないぞ。」

「窓もあかない。」

「どうゆうことだよ、俺ついさっきまで公園にいたぞ。」


周囲の喧騒の中で夏樹は一応現在の状況を把握していく。この場から誰も出ることはできない。互いに知り合いのような会話がされていない。夏樹の中でも夢というにはいささか具体的すぎるし、知らない登場人物が大きすぎることに少しばかりの疑問を感じ始めていた。そんな時だった。


「ようこそ~。頭脳神決定戦の参加者の皆さん!それでは頭脳神決定戦のは始まりで~す。」


スピーカーの無い教室に校内放送が響き渡った。


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