放課後の出来事
因みに現在の時間設定?は金曜です
生徒会室の前に来た裕樹。
しかし、そこで裕樹の思考が元に戻る。
「ちょ、ちょっと待ってください。俺……いや、僕が何かしましたか?!」
「うんん、違うよ。だけど、少しだけ用があってね。放送とかで呼べば良かったかな?」
「いえ……ちょっと嬉しかったです」
そう裕樹が言うと、生徒会長は少し嬉しそうな顔をして、笑う。
「何処が嬉しかったのかな〜?私、聞いてみたいな」
そう生徒会長は目を少しだけ輝かせて、裕樹に質問した。
裕樹は恥ずかしそうに、生徒会長から視線を外して遠くを見た。
「……生徒会長は僕の憧れ……みたいな人でして……まぁ、少し憧れとは違うんですけど……ちょっと、目標にしてる節がありまして……」
「そっかそっか〜。うん、じゃあ牧田くん一言言うね」
そう言うと生徒会長は真面目そうな顔をして、裕樹の肩に手を乗せて、こちらを見るように仕向ける。
だが、少し顔を赤くした裕樹は顔をそらす。
だが、生徒会長は満足しなかった様で、裕樹の顔に手を当てて生徒会長の方を見る様にする。
裕樹の顔は物凄く赤くなり、視線が泳いでいる。
そして、生徒会長は言った。
「私を超えれるなら、超えてみよ〜。って私なら言うよ?ってあれ?牧田くんどうしたの?そんなに顔を赤くして」
「な、何でもないです……それより、用って何なんですか?」
「あ、そうだった」
生徒会長は少し名残惜しそうに裕樹の顔から手を離した。
裕樹も少し残念だと思う反面、落ち着けると思った。
生徒会長の次のセリフを聞いた瞬間、動揺が大きかった。
「実はね……裕樹くんには、土曜日に恋人のフリをして欲しいんだ」
「……はい?え、は?はぁぁぁ!?」
「無理……かな?」
「い、いえ、無理ではないですけど……え、何でどうして?」
裕樹は嬉しさ反面、どうしてと言う気持ちの方が大きかった。
生徒会長と裕樹は釣り合わないと思い、もっと相応しい人が居るんじゃないかと、思った。
しかし、その生徒会長はとっても優しそうで……少し気恥ずかしいと言う顔をしていた。
「諸事情でね……華憐ちゃん……牧田くんのお姉さんが、牧田くんなら変な勘違いとか起こさないから安心して頼んで良いって」
「姉さん……」
裕樹は姉さんナイス!と思ったが、やっぱり恥ずかしいと思い断ろうとした。
しかし、生徒会長の顔を見た瞬間やめた。
「だめ……かな?」
若干前屈みになり、上目遣いでこちらを見てくる生徒会長。
その顔には申し訳ないと言う様な表情をしながらも、期待して居ると言う表情だった。
「え……えーと、自分で良ければ……迷惑じゃなければ良いですよ」
「うんん、迷惑じゃないよ!……有難うね牧田くん」
「いえいえ……此方こそありがとうございます」
機会をくれて……と言う言葉は口の中に留めた。
その様子に生徒会長は疑問を持ったが、改めてと言う様な表情をした。
「じゃあ、自己紹介するね。知ってると思うけど、生徒会長をやってる岩崎 白和よろしくね。牧田くん」
「え、えーとじゃあ僕も……牧田 裕樹です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね……裕樹くん」
生徒会長……白和は、恥ずかしそうに裕樹の名前を呼ぶ。
それを聞いた裕樹は再び顔を赤くして、黙り込む裕樹。
しかし、口を開いてこう言った。
「よ、よろしく……白和……さん」
「そこは、呼び捨てにする所だよ?」
「ご、ごめんなさい」
「……まぁ、恥ずかしいから言いづらいよね」
「……そうですね」
白和も顔を裕樹から背けて、遠くを見る。
裕樹も同様に白和とは別の方向を見る。
「で、では自分はこれで……」
「あ、うん……じゃあね……明日よろしくね裕樹」
「……此方こそ、よろしくです……白和」
そう言うと裕樹は離れていく。
取り残された白和は呟いた。
「……最後に呼び捨てにするなんて、ずるいなぁ……」
そう白和は顔を裕樹に負けず劣らず顔を真っ赤にしていた。