お昼休み!
授業が終わり昼ごはん……購買戦争に勇者達が向かった時間…。
安全組……いや、弁当組は各々の弁当を出して食べていた。
裕樹も弁当組だ。
裕也も弁当組な為、裕樹の席の近くで弁当を広げている。
「にしても、裕樹の弁当美味そうだな〜ウチのとは大違いだ」
「裕也のが美味しそうじゃん….…それにこれ作ったの俺だし」
「裕樹の女子の面子ぶっ壊しが発動した…」
「いやいや、この程度で壊れないって」
裕樹はそう言うと綺麗に彩られた弁当を広げる。
ここで説明しよう、裕樹と華憐の弁当は裕樹が作っている。
裕樹用の弁当と華憐用の弁当が存在しており、裕樹の弁当は優しめの味で、華憐の弁当は甘い味である。
華憐の弁当の甘さは……ただ事じゃない。
「いただきまーす……甘?!」
何も知らずに食べると口に出してしまうほど、甘い弁当なのである。
そして裕樹の弁当は甘かった、つまり華憐の弁当と入れ替っていたと言うことだ。
そしてその甘い弁当を食べた裕樹は軽く苦しんでいた。
そんな裕樹に心配する裕也。
「どうしたんだ?いきなり甘!?とか叫んで」
「姉さんの弁当と間違えた……姉さんいつもこんな甘いの食べてたんだ……明日から普通に作ろう」
「そこまで言わせる甘さなのか……ん?裕樹誰か呼んでるぞ?」
そう裕也に言われて、扉を見ると裕樹の方を向いて、手招きして呼んでる女子がいた。
「あれは……同じクラスの人…だよね?」
「こんな昼休みに呼ぶって何なんだろうな……いや、声出して無いし裕樹にジェスチャー送ってないかもな」
「じゃあ、何で俺宛ってなったのか知りたいよ…」
「いや、あの女子が見てるのがこっちの気がしたからな」
「あ〜確かに……ってあれ?姉さん?」
女子が少し移動すると華憐が現れた。
その時、教室が少しざわついた。
華憐はこの学校では結構有名な部類に入る。
美貌、頭の良さなどが有名な原因だ。
その華憐が裕樹達の元にやって来た……弁当を持って。
その姿を見たクラスメイトは『まさか…』と言う視線と『あいつら……!』と言う視線が裕樹達に向けられる。
「…裕樹……間違えたね」
「うん……盛大に間違えたよ」
その言葉を聞いたクラスメイトは『え、牧田くんの事を呼び捨て……て事は!』と少しキャーと言う仕草をしながら、裕樹達を見る女子。
『何であんな奴と…!』と言う血涙を流しそうな男子。
しかし、次の言葉で行動を停止させた。
「お弁当間違えないでよ……裕樹の作ったいつもの奴じゃないの美味しかったけど」
「甘いお弁当やめにする?」
「……甘いの捨て難い……でも、アレも美味しかった……じゃあ、裕樹のいつも食べてる奴で、朝は甘いのね」
「了解」
その言葉を聞いた女子は『まさか同居!?』と騒ぐ、男子は少し狂っていた。
「じゃあ、甘々お弁当今日で終わりね、姉さん」
「うん……最後の甘々弁当…」
その時……さっきよりざわつきが増し、裕樹の席の近くに来る男子がいた。
「い、今、華憐先輩を姉さんって…」
「ん?姉さんって言ったね」
「え、て事は……姉弟…?」
「うん、そうだよ」
……空気が凍った。
そして教室はとても騒がしくなった。
『え、牧田くんと華憐先輩って姉弟なの!?』
『あ、華憐先輩も苗字は牧田だ!』
『知らなかった……』
「……なんか、騒がしいね」
「だね、姉さん」
「お前らマイペース過ぎないか…?」
裕也は呆れたように裕樹達を見て、裕樹と華憐はまったりとお弁当を食べていた。