朝の1ページ(3)
顔を真っ赤にしている柚希に近づく祐樹。
「羽田君の気持ちは嬉しいけど私には好きな人がいて……あ、でも祐樹君と私を取り合ってくれるのは、それほど愛してるって証拠だし……ああでも……」
「柚希さん大丈夫?」
「とにかく、その気持ちには答えられません!!」
「え、柚希さん?ちょ、柚希さん?!」
何かをぶつぶつ言っている、柚希に祐樹は声をかけると突如叫び、走り去っていく柚希、それを少し呆然と見る裕也と祐樹……そして憐れむような視線が祐樹に送られている。
「……俺振られたな」
「……なんか俺が降られてるみたいになってるけどね……」
裕也と祐樹はいつもより足早に学校に向かった。
学校に向かうと、忘れ物置き場の掲示板に手紙が貼ってあった。
それはラブレターで 伝説の木の下で待ってますと言うもの。
入れる所を間違えてますと、書かれており、貼り出され放置されていた。
「まだ、あれ貼られてたのな……書いたやつ可哀想だな」
「だね……一生懸命書いただろうに」
「……まぁ、皆んなの憧れ生徒会長様に向けてのラブレターだし仕方ないよな……どうせ、あの人好きな人居るだろうし」
「あんな綺麗な人に付き合ってる人は幸せ過ぎるでしょ……ファンクラブがやばそうだけど」
と言う会話を裕也としている裕樹だったが、内心焦っていた。
(ヤバイヤバイヤバイ、まだ貼られてたのあれ!?そろそろ回収したいな…でも、回収する所を誰かに見られたら俺が書いたって事バレるし、笑い物にされちゃう!如何しよう、如何しよう……)
と言う内心を隠すように、興味ないと言う素ぶりで教室に向かおうとする裕樹……その時裕也は見せた。
「俺な……遂に、生徒会長のファンクラブの一員に慣れたぜ!」
「……え?良かったじゃん!良いな〜色んな人が居て楽しそうな場所になってるだろうな……俺、その選抜みたいなの落ちちゃったんだけど……」
「つっても、結構縛り多くて大変だぜ?しかも、穏便派と超過激派が居るから注意だからな」
「……超過激派?普通の過激派と違うの?」
「生徒会長を神と崇めてら奴らだ……神を守る為に、ファンクラブ以外の奴等を駆除すると言う思想持ってるから注意な、特にお前は生徒会長を慕ってるしな」
「……慕ってないよ……」
だって……ラブレター送っても来てくれなかったから……。
そんな言葉は周りの喧騒に掻き消された。
そんな時に裕樹の後ろから忍び寄る影が……。
「裕樹!おはよ!」
「わ!?……晴香か〜びっくりした〜」
裕樹に後ろから襲撃を加えた女子生徒……三島 晴香裕樹の幼馴染で、良く遊んでくれて居る。
「三島、おはよ」
「あ、羽田君だ!おはよ!」
元気が取り柄な所があって、ムードメイカーでもある。
そんな彼女に元気を貰った様な気分になる裕樹。
「此処じゃ五月蝿いから教室行こうか」
「うん!」
「おう……ん?」
晴香は返事をして裕也も返事をしたが、自分のポケットを少し見る。
「あれ?裕也如何したの?」
「いや……何か通知来たが、教室で見れば良いか…」
「?取り敢えずレッツゴー!」
「ちょ、晴香腕を掴まないで!階段は危ないって!」
そう言って裕樹は連行されて行き、裕也は少し笑って後を追いかけて行った。