あるゲームセンターの一幕
今回は久々の祐樹サイド(主人公のはずなのにこの扱いである)
裕也が女子生徒に遭遇している間、祐樹はいつものゲームセンターにいた。
その理由は一つ、ゲームをしたいからである。前々から店長が言っていた新台が入ってくるらしく、前に裕也とともにクリアしていた台も新型になるため、早急にクリアしていた。
……裕也と祐樹の必死の懇願で、ぎりぎりまでその台を置いてもらったから、二人は店長に頭が上がらない。
そんなことはさておき、祐樹は楽しそうにゲームセンターの中を動き回っていた。
「店長が投入する台を、教えてくれなかったから、結構新しい台がどんなのか知らないんだよね……あ、新作が出てる……って、ジェイソンシリーズの台が置いてある……親族サイドのメインストーリーがアーケード版限定だったから結構ありがたい。あ、ホラゲ―の新台だ……俺と裕也ホラゲ―苦手なんだよね……楽しいからやるんだけども」
そんな事を呟きながら、ホラゲ―コーナーを突っ切っていく祐樹。
そして突っ切っていった先に、店員らしき人がいた。
その人に少し軽めに、祐樹はあいさつした。
「おはようございます。店長」
「何が『おはようございます。店長』だ、学校はどうした?」
祐樹が声をかけた店員……いや、店長は少し疑わしいような顔をしながら、ポケットに手を入れた。
「いや……諸事情により一時休校になりまして……」
「あー……例えばだが、火事があって人が一人亡くなったとかでもあったのか?」
「なんでそんなピンポイントなんですか……ちょっとだけはあってますけど」
店長は、色んな意味で不思議な人である。
出会ったこともない人の情報を、何故か持っているという。
実際、祐樹と裕也がこの店に初めて訪れた時に、裕也の名前と祐樹の名前を見事当てたのだ。
そして、たまに未来が見えているような発言をする。
今回火事の事も、一人亡くなったという事以外はあっている。
祐樹的には不思議な人と思っているが、裕也的には少し厄介な人と思っている。
だが、裕也の店長に対する評価は大分と昔の事となので、今どう思っているのかは祐樹にとっては不明である。
「あり?違ってたか……なら電気椅子みたいなもんでビリビリっと一人を殺害…」
「いや、一人亡くなったのが違ってるところです。……というか、電気椅子は店長の趣味でしょ」
「そっか…一人も亡くならなかったのか……いや、ちょっと待て!俺の趣味が電気椅子ってどういうことだよ!?」
「いや……なんか入ってくる台の一つ絶対といっていいような程、電気椅子が出てくるじゃないですか…」
「それがなんで俺の趣味になるんだよ!?可笑しいだろ!!」
「いや……店長驚くほどに電気椅子に祝福受けてるじゃないですか。なんで60台もあるうちに一つしかないような電気椅子が出てくる台を仕入れるんですか」
「あれは、そこにあった電気椅子が悪い……」
良いわけじみた言葉に苦笑する祐樹。
これは毎回と言っていいような会話である。
いつもなら裕也も参加するのだが、今は裕也がいないため少しだけむなしく思う
「……裕也居たらあれですよね……『だから店長は履歴書に趣味 電気椅子って書いて面接落ちるんだ』って言ってますね」
「ああ、それで俺が『あ、だから面接落ちるんだなって書かねぇよ!!』ってツッコミ入れるんだよな…。そういや、祐也はどうした?お前がここにいるなら裕也も帰ってるだろ?」
「それが……見つからなくて…」
「…電話は?お前ならかけれるだろ?」
そういわれて、祐樹はポケットに入っていたスマホを取り出した。
「その電話先のスマホがこちらになります……」
「oh……積みじゃねぇか……」
「どうしますか…」
「どうするつってもな……ゲームしてここで待っとけばいいだろ…」
「ですね……それじゃあ、ゲームしてきます店長」
「おう……裕也が来たら教えてやるよ」
そういって店長は離れて行った




