運命の土曜日
家に帰って、ご飯を作る。
そんな当たり前の夜。
しかし、この一日だけは違った。
姉さんが白和……さんのデート場所を提示してきた。
「駅から少し離れた所の噴水近くで集合だってさ」
「うん……わかった」
姉さんは軽くニヤニヤして言った。
「私が口利きしたんだからちゃんとやってきてね…少なくとも、白和に情けないと思われないようにね……」
「プレッシャー掛けないで貰えませんかね!?」
でも、失敗した時を考えると憂鬱になる。
もし失敗したらと考えると嫌になる。
失敗しないように失敗しないように…。
そんな祐樹の心情を見透かすように華憐は言った。
「失敗した時の事を考えるより、前を向く男のほうが私とかは好きだよ?」
そう言われて祐樹は気が付いた。
姉さんの言う通りだと、前を向いた方がいいに決まってるよね!!
そう考えて、明日に備えて眠った。
しかし、姉さんは言っていた。
「……まぁ、個人差はあるけどね」
これを裕樹が聞いていたら、落ち込み続けたであろう。
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そしてやって来た土曜日、ちゃんとした服を着て裕樹は噴水前に30分前に来ていた。
(……期待し過ぎて30分前に来てしまった……!)
裕樹の服装は、チェックの付いた赤いシャツの下に白っぽい服を着てチェックのシャツのボタンを全部開けている。
そして青ぽいジーンズを履いた服装である。
そして、噴水前の腰掛けれる部分に腰を置いている。
待ち時間暇になるので、スマホでゲームを始める。
因みにやっているゲームは『ヘイリング ミュージシャン』である。
ミュージシャンと付いている事から、察しはつくだろうが音ゲーである。
イヤホンを付けて、音ゲーに集中する。
そうして、30分経ったが白和は来なかった。
(女の子なんだから、時間かけるし待つのは男の仕事みたいなもんだよね……)
そう考え、15分待った……しかし、来なかった。
(……あれ?このパターンは……)
裕樹は見覚えがあった。
それは、白和にラブレターを送り誰も来なかった事だ。
もしかして、からかわれたなんじゃないか?と考え始める。
そして、集合時間30分が経った……それでも来なかった。
裕樹は待っている場所から移動した。
まぁ、謂わゆる逃避である。
公園のマップを見ていると、気が付いた。
(此処の公園って結構広いな〜……あれ?此処二つ噴水あるのか……まさか……まさかだよね……まぁ、確認してみよ)
そうして、もう一つの噴水に向かって行った。
そこには、白和と三人の不良がいた。
「ね〜ね〜、そこのねぇちゃんもう、30分待ってんでしょ?」
「もう諦めて、俺たちと楽しい事しよーぜ?」
「忘れられない日に、してやるからさ」
「……良いです。私は彼を待つので」
「と言っても、こんだけ待っても来ないって事はさドタキャンされてんじゃん」
「彼はそんな事しないです」
そう言って、白和は不良達を躱していた。
しかし、裕樹は思った。
(……生徒会長さんは30分もあれを耐えたんだ……30分……それより、前に来てたかも知れない……なら、僕は……頑張るか!)
そう考えて、裕樹は白和達のいる方に歩いて行った。
「……白和、お待たせ」
「裕樹!だいぶと待ったんだよ!!」
裕樹が声を掛けると、白和は裕樹に抱き着いた。
抱き着かれた瞬間裕樹は動揺した。
(せ、生徒会長の胸ががががが……落ち着け!落ち着け!!先ずは噴水に飛び込んで冷静に!って、冷静な人の判断じゃない!)
そんな事を頭の中で、繰り広げられていた。
不良達は舌打ちをし、裕樹に話し掛けた。
「おいおい、にいちゃん、女を1人っきりにしたらダメだろ?にいちゃんには、そこの女は似合わねぇよ。俺たちなら、そこのねぇちゃんを満足させられるぜ?」
そんな事を言っている不良。
そんな不良に冷たい視線を白和は送っていた。
尚、無事裕樹は解放された模様。
「……出会って間も無い人に、そんな事を言う失礼な人なんて、こっちから願い下げだね…」
「なっ……こうなったら!」
そう言って、不良の一人は裕樹を殴り飛ばした。




