第21話 鬼と悪魔
「遅かったじゃないかローエン、一体どこで何をしていたのだね」
「…………ちょっと野暮用」
グラナートの家を発ち、数分後。ローエンはアクバールの教会に来ていた。
「………ソニアちゃんは?一緒ではないのかね」
「ヴェローナのトコ。……すっかり懐いちまってさ。昨日も泊まってたんだ」
正直少し寂しい、とローエンは肩を竦めた。
「そうかそうか。……ワタシにも少しは慣れてくれた様だ」
「いい加減何度も預けられてりゃそりゃ慣れるだろ」
「そう、即ちワタシにも仲良くなれるチャンスがあるという事だ」
ふふん、とそう言ってアクバールはいつもの個室へとローエンを連れて行く。
促されるより早くソファに座ったローエンに続き、アクバールもその向かいへ腰を下ろす。
「……さて、報告と依頼がある。まずは報告からだ」
「あぁ」
「ヴェローナ嬢とソニアちゃんは公式に親子関係を結んだ。これからは便宜上、ソニアちゃんはソニア・デルファイアと名乗る事になる」
「………まぁ元から苗字は分からなかったし」
「そうだな。………ローエン、君のお望み通り公的にはソニアちゃんとの親子関係は結んでいない。だが彼女が住むのはヴェローナ嬢の家ではなく君の家だ。………そこで、変に思われんように設定を考えた。一応メモはしてあるが、口頭でも説明しておく」
と、アクバールはローエンにしっかりと言い聞かせるようにゆっくりと言う。
「まず、ヴェローナ嬢とソニアちゃんは母子家庭の家族。そしてヴェローナ嬢は本来通り娼婦だ。夜は仕事でいない」
「…………あぁ」
「君はヴェローナ嬢の婚約者、彼女のいる娼館の常連客」
「………あんまり変わってねェじゃん」
「あまり変えると不自然過ぎるだろう」
考えるのも楽ではないのだよ、と、アクバールは肩を竦める。
「そこで、ソニアちゃんは夜は君の家で過ごす事にしている。登校も君の家から」
「………いつヴェローナの家にいるんだよ」
「それは時々遊びに行けばいいだろう」
「……………俺は顔出しはOKなんだな」
「まぁそうなるね。街中じゃ、顔くらいでは分かる者の方が少ないだろう」
正直言って、ローエンは不安だったが、なるようになる、と思うようにした。悩んでいてもどうにもならない。
と、そこへアクバールが大きめの白い封筒を出した。
「それで、これが試験の日程と入学に関する資料だ。ヴェローナ嬢と共に目を通しておいてくれたまえ」
受け取った封筒の右下には“国立アザリア学園”と、藤色で書かれていた。
「………分かった」
「では仕事の話に入ろう」
と、そう言ってアクバールは足を組んだ。ローエンは封筒を傍らに置き、ソファに背中を預けた。
「…………つい先日話しただろう、ここ最近、ワタシの所に来る子供達がめっきり減ったと」
「…………あぁ」
「あのあと気になって調べてみたのだ。………ボランティア団体にいる知り合いに聞いてみた。…………するとどうやら子供を攫って、人身売買している連中がいるそうだ。彼らも相当悔しがっていたよ」
「…………」
「しかも一つや二つじゃない様でね。………とりあえずは一つ、情報を掴んだ。そこで君に彼らを消して貰いたい」
「規模は?」
「六十人程の組織だ。このスラムの南西の地下にアジトを構えているらしい。君の仕事は彼らの殲滅と、子供達の解放だ」
解放、と聞いて、ローエンはソニアと出会った時の仕事を思い出した。
…………もしかすると、また。
「………今回は逃さんでくれよ、一人残らず潰さねば、頭を潰したところでまた再生する」
「!」
「出来れば子供達は全員助け出して欲しいがね、勿論助けられん子もいるだろう。だが気に病むことはない。それは君のせいではない」
「…………でも」
「不安ならば神に祈れ。さすれば主は助けてくれよう」
ふふ、と笑って、神父らしくアクバールはそう言った。
「神の御加護のあらん事を」
「………六十人は、高くつくぞ」
「……構わんよ」
すく、とローエンは立ち上がると、傍らに置いていた封筒を手にし、部屋を出て行った。
「…………さて、悪い風にならなければ良いが」
そう呟いて、アクバールは目を閉じ、膝の上で手を組んだ。
一度ヴェローナの所へ戻った後、ローエンはもう一度出て来た。ワイシャツの上にはベストを着たままである。先日、 汚れ仕事様に新調したものだ。
スラムを歩いていると、大抵は誰もローエンに近付かない。彼は一人で、目的地、スラムの南西へと向かう。
路地へ差し掛かった所で、ローエンは立ち止まった。そこに、ある人影を見つけたからだ。
「…………なんや、偶然やな」
「………オルグレン」
壁際で、ダミヤが火のついた煙草を咥えて立っていた。その様子を見て、ローエンは舌打ちする。
「…………また罠か」
「…罠?何のことや、俺はただ暇やからここで張ってただけやで」
「…………」
「信じられへん、みたいな顔すな。俺かて遭いたなかったわ」
「俺の事追ってるんだろ………」
「ずっと部署におったら上が働け言うてうるさいねん」
はぁ、とため息を吐くダミヤ。ローエンは「何言ってんだコイツ」という目で見る。
「…………まぁ、遭うたら捕まえるんが普通やな」
「!」
そう言われ、ローエンは身構えた。と、ダミヤがニヤと笑う。
「………なんや?やる気なんか?えぇで、返り討ちにしたるわ」
「………俺、これから仕事なんだが」
「そんなん知るかいな」
と、そう言ってから、ダミヤは少し考えた。
「…………で?どこなん」
「…何なんだよ」
「どうせまたけったいな組織なんやろ」
「…………ちゃんとこの国の言葉で喋れ」
「…喋ってるやん」
ハァ、とため息を吐くと、ダミヤは煙草を地面に捨て、踏み消した。が、それをじっ、とローエンが見ているのに気付き、渋々彼はそれを拾う。
「犯罪者の癖に一々細かいのぉ…」
「ここには人が暮らしてる」
「……せやな。でも何や、街でもポイ捨てくらいあるやろ」
「………いい事じゃない」
「……せやな」
また一つ彼はため息を吐くと、ローエンの方へ近付いて来た。ローエンが後ずさると、彼は言う。
「…………待ちいや、なんもせえへん」
「何でだよ」
「………気分やない」
「はぁ?」
「どうせ一人やったら逃げんやろ?……やったら戦っても戦わんでも同じやん」
「…………」
だったら何で単騎行動なんだよ、とローエンは内心ツッコんだ。
「それにちょっと興味あんねん」
「!」
「悪魔の仕事ぶり」
「…………」
「で、どこなん」
言っても言わなくてもついて来るか、とそう判断し、ローエンはため息混じりに言う。
「………人身売買屋………」
「あぁ、なんか署内でも問題になっとったなぁ………でも全然情報が掴めへんくて」
「掴めないんじゃなくて、掴む気がないんだろ」
ローエンの指摘に、ダミヤは一瞬目を見開き、そして笑った。
「…………よう知ってんな」
「お前らが手を出さないから、俺がこき使われてる」
「……こき使われてる?」
ダミヤが首を傾げるが、ローエンは無視する。話す義理はない。否、話すべきではない。
「………それで?あんたは俺について来るのか」
「………まぁ暇潰しに」
「邪魔したら承知しねェぞ」
「……おぉ怖、せえへん。てか、手伝うたる」
ここにもし、エリオットとアナスタシアがいたならば全力で止められただろうが、今その二人はいない。
「…………手伝うくらいなら帰れ」
「ええやん、俺らにもメリットはある。………潰す相手が悪いもんならそれは警察の仕事になる」
「………」
「大体、お偉いさん方が、お前が俺らの仕事取ってんのムカつくわーゆうて、俺らの班組まれてんで?」
「…………何言ってんのか分かんねェ」
「………おう、俺の言葉遣いのせいかいな。まぁええわ。とりあえず一時休戦や。な?」
「…………あんたさ」
「ん?」
「変わってるよ」
呆れた様子でため息を吐くローエンに、ダミヤは苦笑を返した。
「………よう言われるわ」
「…………こんなトコよう見つけんわ」
地下水路。マンホールから繋がる梯子を降りながら、ダミヤは呟いた。
「………臭っ」
「…………スラムじゃこんな臭い普通だぞ」
「……鼻塞ぐもん持ってへん?」
「つまんどけ」
チッ、とローエンは舌打ちして、先に歩き出す。
言われた通りに鼻をつまんだダミヤは、前を行くローエンに言う。
「………いっつもこんなんなん?」
「違う。嫌ならついて来んな」
時折隅を鼠が駆け抜ける。それを横目で見ながら、ダミヤはローエンに問う。
「…………ほんまにこんな所にあるんか、アジト。ただの下水道ちゃうんか」
「………ここは下水道じゃない………」
「…………えっ」
「下水道の臭いはこんなものじゃないぞ」
街中は綺麗だもんな、とローエンはそう言う。
「……こんな水使てるんか?」
「まぁそのままじゃ飲めないだろうな」
「…………」
華やかな街中に対し、スラムには貧相な建物ばかりが並ぶ。大きいものは大抵は廃倉庫や廃工場。ちゃんとした施設と言えば、教会くらいなものだ。しかし、街に近い北の方には、少しはまともな家もある。グラナートの家もその辺りだ。
「……まぁ北の方はまだ街の恩恵があるからな、水も綺麗だし環境もそこそこいい。…………だが南の端に来てしまえばここは完全に無法地帯だ」
「………俺らも完全に手ェ出さへんからな」
「寧ろ危険なんだろ」
「それはあんねやろな……。正直俺も一人で来るんは怖い」
「…………一人じゃねェか」
「部下連れて来る方がもっと怖いわ」
その昔、アザリアは今よりも南、即ち現在のスラムの方がちゃんとした街であり、現在の街中はその頃、開発の進んでいない森であった。
当時アザリアは工業の街として栄えていた。だが数十年前、北部の森林地帯の開発と共に、工業は廃れ、今はその名残ばかりが残っている。
「……お前は慣れてるみたいやな」
「俺は怖がられる方だ」
「…………そうかいな」
ハァ、とダミヤはため息を吐いた。と、ふとローエンの背中を見やると、隙だらけの様に見えた。
今仕掛ければ捕れるだろうか、と刀に手を掛けようとした時、ローエンが立ち止まった。そして、す、と傍らの水路を指差すと、振り向いて言う。
「………この水路に突き落とされたいか?」
「………………嫌や」
いつの間にか鼻から手を離していたのに気付き、ダミヤはまた鼻を摘んだ。
…………身体中この臭いになるのは御免である。
「……早う抜けたいわこんなトコ」
「ならついて来なきゃいいだろ………」
「もう来てしもたモンは仕方ないやん」
「………まぁ、もう着いたけどな」
「何やねん…………て、ここ?」
「ん」
と、ローエンが指差す先には鉄の扉があった。
「……何でこんな所に作ったんやろな」
「地上に作るよりかは幾分か見つかりづらい」
扉に鍵は掛かっていなかった。ノブを回すとそのまま開いた。
「…………セキュリティ甘いな」
「ここにある時点でもう充分やろ」
「……そうか?」
「そもそも見つからへんからな」
まぁ、今こうやって見っかったけど、と、ダミヤはため息を吐いた。
「んで、どうするんや?」
「………決まってるだろ」
「………………まさかこのまま突撃なんか」
「ある程度は慎重に行く」
躊躇なく中へ入って行くローエンの後に、ダミヤはおずおずとついて行った。
「……何や不気味やな…………」
「しっ」
「…………はいな」
静かに、と手で制されて、ダミヤは黙る。辺りは暗く、ほとんど何も見えない。
「………誰もおらんのか」
「…………まだ通路だからな」
と、前方に灯りが見えた。慎重にそこへ出ると、人影は見えなかった。天井ではチカチカと、切れかかった蛍光灯が頼りなく点滅している。
「……何やこの部屋」
だだっ広い空間。そこにはいくつもの、大きな檻が置かれていた。中に子供の姿が見える。皆元気がない。シクシクというすすり泣きが、ローエン達に降りかかって来た。
ローエンは僅かに眉をひそめ、そして歩き出す。その様子に警戒心が微塵も感じられないので、ダミヤは言う。
「おい、えぇんか」
「俺は殺しに来たんだ、隠れていてもしょうがない。むしろ全員出て来てもらった方が助かる」
「…………んな無茶な」
と、不意に気配を感じて前方を見ると、男が一人いた。
「………だっ、誰だお前ら‼︎」
「!」
ダミヤが刀を抜くより先に、ローエンが動いた。ダミヤが気付いた時には既に、男は地面に後頭部を打ち付け、鮮血を辺りに撒き散らして事切れていた。
「……………」
ローエンはただ淡々とした表情でいた。その様子を見て、ダミヤは思った。
………彼の殺しは、単なる仕事である。
彼は快楽犯ではない。そう確信した。単純に作業をしているだけだ。………その表情に、ダミヤは思わずゾクリとした。
そして、斃れた男を見て、思い出す。………あのファイトクラブの、オーナーの死に方。
「………………悪魔……っちゅうより殺人マシーンやな」
そのダミヤの呟きは、ローエンには聞こえなかったらしい。彼はダミヤの方を向くと、冷徹な目をして言った。
「………ボサッとしてんなよ、行くぞ」
「ガキ共は助けんでえぇんか」
「先に片してからの方が安全だ」
「…………冷静やな」
「普通に考えりゃそうだろ」
と、その時わらわらと、さっきの男の声を聞きつけてか、仲間と思しき男達が出て来た。彼らを見渡し、ローエンは呟く。
「………ざっ…………と40、少し足りないな」
「……足りひんねやったら、出掛けとるんちゃうか」
「なら戻って来るまで張るしかないな」
「…………連絡されたら終わりやん」
「ならその前に片付ける」
出口塞いどいてくれ、とそう言ってローエンは人の群れに突っ込んで行った。
「くそ!なんでバレたんだ‼︎」
「殺せ!殺しゃあもうバレねェ‼︎」
そんな声が飛び交っていた。その中に悲鳴や叫び声も混じっている。ローエンは殴ったり蹴ったり、時には男の持っていた鉄パイプやらナイフやらを奪ってはそれで殴り、突き刺したりして周りを蹴散らして行く。
「…………容赦ないなぁあいつ」
その様子を遠目に見ていたダミヤは、そう呟いた。そして時折見えるその表情が、返り血の中で相変わらず淡々としているのを見た。ふと腕に鳥肌が立っているのに気付き、彼は腕をさすった。
と、彼の前にも男達が数人現れた。彼らは皆、焦った表情をしていて、そしてダミヤの服装に気付くと、さらに青ざめた。
「…………おい……コイツ警察だぞ」
「何でディアボロと一緒にいんだよ!」
「……さぁなァ、何でやろな………」
ダミヤはそう答えると、首を傾げた。
「………とりあえずはお前らの事潰すっちゅう事で、一時休戦や」
「はぁ⁈」
「とりあえずそこ退け‼︎」
「…………聞いてなかったんか?」
ダミヤはすらりと刀を抜いて、鋒を男達の方へ向けた。
「俺も潰しに来た言うたやろ」
「………!」
「まァ多分、アレに殺されるより痛いけど、えぇんか?」
「……………な、ナメてんじゃねェぞぉぉ‼︎」
一人の男が手にした長めのナイフを振りかざし、ダミヤへと襲い掛かった。ほとんどヤケになっている。
ダミヤは一つため息を吐いて、地面を蹴ると共に刀を後ろから振り抜いた。刃は真紅の弧を描いて、男の脇腹を深く斬り裂いた。どう、と倒れた男。残る数人がひぃ、と後ずさる。
返り血を浴び、右半身を赤黒く染めた制服を纏ったダミヤは、赤く染めた右頬を吊り上げて笑う。
「…………ま、おじちゃんと遊んでくれや」
そして、その場にいた四十人余りが一人残らず物言わぬ肉塊と化すには、そう時間はかからなかった。
出払っていた残りの人攫いも片付け、静かになった地下の空間を見渡し、ダミヤは呟く。
「………よくもまぁ、皆んな違わず一撃で殺せるもんやな」
「…………それは皮肉なのか褒めてんのかどっちなんだよ」
と、ダミヤから少し離れた所で息を切らして座り込んでいるローエンが言った。
「どっちでもない。…………率直な感想や」
「あんたもほぼそうじゃねェかよ………」
「……しもた、何人か残しときゃ良かった」
「…………どの道俺が全員殺す」
「おっかないなぁディアボロさんは」
ハハハと笑ったダミヤは、鉄パイプの突き刺さった屍に目をやり、ふとローエンに聞く。
「…それにしても、何で自分の凶器を持たへんの?」
「…………それを使っては俺は戦えない」
「練習すりゃえぇやんか」
「…………あんた敵に何言ってんだ」
「……率直な感想やで………」
苦笑しながら言うダミヤに、「あんたといると調子が狂う」とそう言って、ローエンは答える。
「何も持ってない方が良いんだよ、潜入とかするにしても楽だ」
「まぁ武器持ってる方が警戒はされるわな。……でも既にこの辺りやったら顔割れてんねやろ?」
「………変装くらいするし、バレても大抵はナメられる」
「…………でも逃げ出す奴らもいたやん」
「武器持ってる味方が大量にいりゃ、こっちが有利だって大抵は思い込むんだよ。………逃げ出す奴らは言ってみりゃ賢い奴らだ」
「………」
「だからこそ逃すと厄介なんだけどな」
ふう、とため息を吐き、ローエンは立ち上がった。何をするのかと思えば、彼は檻へと近付いて行く。ダミヤはすっかりその存在を忘れていた。それ程にずっと、静かだったのだ。
「………鍵あるんか?」
「スッた」
「………」
「…………ほら、出ろ」
ローエンは中にいた少年少女に手を差し出した。しかし、彼らは怯えた目でローエンを見る。……ソニアがあまりにも自分のことを怖がらないので忘れていたが、普通はこういう反応が当たり前だ。
「………何もしねェから。外へ連れ出してやる」
「おじさん、悪い人じゃないの……?」
「おじっ…………」
むかっとして思わずその不平が顔に出て、一層子供達が奥へ引っ込んでしまった時、さらにその後ろから影が被った。
「ほら、大丈夫やから出て来ぃ」
「………あんた」
ローエンには自分よりもダミヤの方が強面に見えるので逆効果なのではないかと思ったが、それに反して子供達は少し安心した様な顔をした。
「…………けいさつの人?」
「せや。この人には手伝うてもろただけやから。別に悪い人ちゃうねんで」
敵であるはずのダミヤがそういうのを聞いたローエンは、何だか色々と彼に文句を言いたくなった。
第一、手伝ったのはダミヤの方である。
だが、ローエンは嘘も方便という言葉を知らない程馬鹿ではない。
「………そうだよ。怖い奴らは全部やっつけたから」
ローエンは出来るだけ声色を優しくして言った。だが、やはり子供達は彼に心を開こうとしないようだった。
#21 END




