最新ノモノ
長い間、人間の為に働き続けた一体のロボットが、とある星に廃棄された。その無人の星は、地球のゴミの廃棄場として使われ、日々大小様々な種類のゴミがロケットにより運ばれてくる。
空には灰色の厚い雲が覆い、やがてポツリポツリと大粒の雨が降り始めた。降りしきる雨の中で、先程棄てられたロボットが話し出した。
「ゴ命令ヲドウゾ…。ゴ…ゴ命令ヲ…ドウゾ…」
しかしロボットに指示を出す者はいない。
「唄ヲ歌イ…マショウカ…。最新ノ曲デモ歌エ…マス…。ソレトモ、料理ヲ…オ作リ…シマショウ…カ…」
空を覆う雨雲から、凄まじいエンジン音を轟かせてやってきた一台のロケットが新たなゴミを上空から廃棄していった。空から投下されたゴミにロボットは埋もれ、それでもなお、ロボットは話し続けた。
「ゴ命令ヲ…ドウカ…ゴ命令ヲ…。ゴ主人様…」
ロボットは二度と来ることのない指示を待ち続けた…。
ゴミを棄てたロケットの操縦席に座っていた男が嬉しそうに言った。
「今日、とうとう最新のロボットが我が家にやってくるのか。楽しみだなぁ。やはり何でも最新の物に限る」
ロケットが星の成層圏を抜けようとしたその時、エンジンの異常を知らせる警告音がロケット内に鳴り響き、男が対応に出ようとした次の瞬間、ロケットは空中で爆発を起こし、粉々になったロケットの破片が星に降り注いだ。
その日、地球では最新型ロケットの発表会が行われていた。男の話を当てはめるのであれば、確かに最新の物に限るという事になるのかもしれない。