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休日♯2 恐怖のパッチ

こんにちは、城見らんです。2話目のはじまりはじまりー

 「すまねえ、みんな! 遅れちまった。なかなかダンジョンから出て行かねえ奴がいてよ……ってなんだ? みんなして俺の顔じっと見て、なんかついてるか?」


 「いや、ちょうど君のことが話題になっててね」

 「あんた、いろいろやらかしとんねんなあ」

 「シヴァンニンキモノダナ」


 「よっこらせっと。で、どんな話だよ」

 

 「これを見てくれるかい、ペルフェクトオンライン公式サイトの掲示板なんだが……」

 

 「すげえ、こんな薄い本みたいなやつにどうやって文字を写らせてるんだ? どんな魔法だ?」

 

 「今はそんなことどうでもええねん。それよりも、このスレッド名、読んで見い!」

 

 「ええと、なになに『地底遺跡のシヴァンがクソすぎる件について』はあ!? 俺は何もやってねえぞ」

 

 「少し中を覗いてみようか、どれどれ。

 

 『あいつに挑んだら防具全部破壊されて素っ裸にされた』

 『俺なんか事前登録サービスでもらった防具破壊されたぞ』

 『まだましだろ、俺は二万円つぎ込んでようやく手に入れた防具もお陀仏になった』

 『あいつ自身そんなに強くないくせに、なんでこんな凶悪な技持ってんだよ』

 『有志の検証によれば40パーセントの確立で破壊されるみたい』

 『運営に苦情メール入れまくってやった。ザマミロ』

 『ああうぜええええ、しねしねしねしね』


  だそうだ。シヴァン、君は少し自重するべきだね」


 「た、確かに、ちょっと調子に乗って防具破壊技ばっか使ってたかも」

 

 「あほやなあ自分、そういう技は一度の戦闘で一回使うか使わへんかの頻度でやらな」

 

 「だ、だってよ、あいつら低レベルのくせにめちゃくちゃ高そうな防具とか着てるんだぜ。腹が立つのが普通だろ?」

 

 「オレ、コロサレマクッテルケド、ナニモカンジナイゾ」

 

 「……と、とにかく。別にいいじゃねえか。こんなところでどれだけ悪口言われようが俺は気にしねえよ」

 

 「残念ながら良くはないんだよ。このスレッドの他にも、似たような名前のものがいくつも掲示板にあげられている。おそらく運営側にも改善要求が数多く寄せられていることだろう」

 

 「もし、運営が重い腰をあげたらどないなると思う?」

 

 「も、もしかして……パッチか!? い、いやだ! まだパッチなんか当てられたくねえ、どうすればいい!?」

 

 「パッチッテナンダッケ?」


 「シヴァン落ち着いて、大丈夫まだなんとかなるから。

アラクネ、パッチというのはプログラムを改変して機能変更などを行うことだよ」

 

 「ソレッテイタイノカ?」

 

 「痛くはないんやけどな、こう内側から弄繰り回されるような気分になるんや。そうか、アラちゃんはβテストのときはまだおらんかったんかな」

 

 「ソウダ、イナカッタ。

 ナルホド、タシカニパッチハアテラレタクナイナ」


 「俺はβのときから散々弄繰り回されてるんだよ! 最初、俺は顔が三つもついてたんだぜ。それが今はたった一つ。顔がなくなる時の感覚ときたら……ああ、思い出したくねえ!」


 「その顔が三つもあるとか地獄やないか、よかったな一つのほうがましやで」

 

 「うるせえ、余計なお世話だ」


 「まあまあ、アネゴもシヴァンをいじめるのはもうやめにしよう。

 さて、先ほども言ったと思うがシヴァン、君はまだ大丈夫だ。もしパッチが当てられるのだとすれば、おそらく次回のメンテナンス以降だろう。パッチが当たればここには来れないからね」

 

 「そ、そうだな。頼むみんな、一生のお願いだ俺を助けてくれ!」

 

 「よっしゃ、うちらに任せとき! とりあえずはその防具破壊技はあんま使わへんようにせんとな」

 

 「わ、わかった。腕が三本に減らされるよりはましだ」

 

 「ドウシテウデガナクナル? ワザガ、ケサレルダケジャナイノカ?」

 

 「俺が技を使ってるんじゃねえんだ。俺の腕にはそれぞれ能力が付与されてあるんだが、そのうちの一つに防具破壊の能力が付いてんだ。つまりその腕をとらない限り技は無くならねえってわけよ」

 

 「ソウナノカ。ジャアコノホウホウデ、パッチカラハノガレラレルノカ?」

 

 「いや、それだけで彼らが溜飲を下げるとは思えないな」

 

 「そうやな、何かお詫びの品とかあげるべきちゃうか? そや、アイテムドロップ率を高くするとか?」

 

 「それは、割合が決められているはずだからどうしようもないな」

 

 「ほんなら、プレイヤーの前で裸躍りでもしたらどない? 瞬殺されるかもしれんけど」

 

 「アネゴ、まじめに考えてくれよ! こっちはまじで切羽詰ってんだ」

 

 「そやかて、他の方法が見当たらんしなあ」

 

 「いや、アネゴの案、使えるかも……」


 「「え!」」


 「うちも結構ふざけて言うとったんやけどなあ、ほんでどないすんの?」

 

 「うん、プレイヤーたちにシヴァンの防具破壊能力がなくなって欲しくないと思ってもらうんだ」

 

 「それと裸踊りとどう関係があるんだ?」

 

 「裸踊りはしなくていい、ただ無防備な状態になってもらうだけだ」

 

 「モシカシテ、ジブンノボウグヲハカイスルノカ?」

 

 「おおアラクネ、正解だよ。シヴァンにはプレイヤーの防具ではなく、自分の防具を破壊してもらう」


 「なんで、そんなことしなくちゃならねえんだ?」

 

 「破壊技がない全身甲冑フルアーマーの君と、破壊技はあるが自爆してしまうような間抜けな君、どちらがプレイヤー好みかな。少なくとも面白く感じてくれる人はいるはずだ」

 

 「なんやそれ、めっちゃおいしい役柄やん。ええなあうらやましいな」

 

 「うるせえ! アネゴは黙っててくれ!

 ……分かったよ、これ以外頼れる方法はねえんだ。自爆だろうがなんだってやってやらあ!」


 「シヴァンカッコイイゾ」

 「がんばってなあ」

 「検討を祈るよ」


 「絶対生き残るからな俺は! お前らこそパッチ当てられないよう気をつけやがれ。俺はもう帰るぜじゃあな」


 「ああ、行ってしまわれましたね。どうします? 早いですがお開きにしますか」

 

 「そやね、次に会うときシヴァンが三本腕になってるのが楽しみでしょうがないわ」

 

 「アンマリバカニシテルト、アネゴニモイツカカエッテクルカラ、キヲツケタホウガイイゾ」

 

 「そんなことあるわけないわ、ほなみなさんさようなら。また次回の夜会で会いましょう」


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