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休日♯1 初めての夜会

 「いやあ、ようやく休日メンテナンスやなあ。めでたいめでたい、よっしゃ、まずは乾杯から始めよか! かんぱーい!」

 

 「「乾杯!」」

 「カ、カンパイ・・・」

 

 「おお、なかなか個性的なメンバーが揃っとるな。ほんなら早速自己紹介タイムにしよか、うちはケット・シー言います。言いにくいならアネゴでもええで?

 迷いの森のアイドル兼ボスやっとります。これからよろしゅうな。

 そしたらうちから時計回りに進めよか、イケメン眼鏡の天使さん次お願い」

 

 「ふふふ、かわいらしいネコさんですね。私はべリアルと申します。役柄は大陸ボス、つまりあなた方を統括する立場にあるのですが、まあそんなもの運営が決めた肩書きです。無視してもらって結構です。

 ああ、ちなみに天使ではなく堕天使です」


 「ベリアルにアネゴよろしくな、俺は泣く子も黙るシヴァン様だ。地下遺跡で番人を務めてるぜ」


 「あなたがシヴァンですか、悪名はよくお聞きしますよ」

 

 「おうよ、この四本腕でプレイヤーどもの防具を破壊しまくってるからなあ! ぐはははは」

 

 「うわあ、自分、タチ悪いなあ。そんなんしとったらモテへんで、ただでさえ顔怖いのに」

 

 「う、うるせえ。気にしてること言うんじゃねえ! つ、次だ。えーとクモのお姉さん?」


 「アラクネ…ダ。スイショウノドウクツデクラシテイル、ヨロシク。チナミニ、オレハオスダ」

 

 「うそやん!? だって上に乗っとる半裸の人どう見ても女の人やで、ほらオッパイもあるし」

 

 「コレハカザリ、ホンタイハシタノクモダ」

 

 「ふーん、めっちゃ美人やのにな……って、シヴァン、コラ! なにアラちゃんの胸凝視しとんねん!」

 

 「ち、違う! 俺はただ、大事なとこが髪の毛でいい感じに隠れてるなあって感心してただけで」

 

 「ふふふ、いくらがんばっても見えないと思うよ。そういう仕様になってるからね」

 

 「シヴァンキモチワルイ」

 

 「だあああ、悪かったよ! これでいいだろ!」


 「ははは、自分らめっちゃおもろいなあ、ベル兄、シヴァン、アラちゃん、みんなこれからよろしゅうな!

 ところで、みんな調子はどない? なんかうちのところプレイヤーあんまりうへんねんけど、まだゲームの登録者数が少ないんかなあ?」


 「そうか? 俺のところには結構来るぞ、おかげで退屈しないですんでるぜ」

 

 「オレモ……ナンカイコロサレタカオボエテナイ」

 

 「うわあ、アラちゃんどんまい。でも、なんでやろうな?」


 「ふむ、おそらくダンジョンの位置によるんだろうね。アラクネとシヴァンのダンジョンはどちらかというと、序盤にプレイヤーが訪れる場所のはずだ。

 サービスが開始してまだ二週間だからね、アネゴのところまでたどり着けるレベルのプレイヤーがまだ少ないんだろう。実際私のところにもほとんどプレイヤーが来た事がないよ」

 

 「なんやそういうことかいな、ほんならもう少ししたら、あいつらわんさか来おるねんな、安心したわ」

 

 「さすがは統括さんだな、よく知ってらっしゃるぜ」

 

 「統括と言っても下の下です。私のほかにあと三人の大陸統括がいます。そしてさらに上には魔王まで存在するのですよ」

 

 「そんなにおるんかいな、今頃ほかの大陸でもパーティ開いてるんかなあ?」

 

 「それは計りかねますね、まあ今度にでも合同パーティを企画してみますか」

 

 「おお、それって合コンってやつか! それは楽しみだな、腕が鳴るぜ」

 

 「ちょっと、ここにこんな美少女がおんのに見向きもせえへんのかいな?」

 

 「え!? 確かにアネゴはめちゃくちゃかわいいけどよ、何ていうか……腹黒そう」

 

 「は? ちょっとお前表出ろや」

 

 「ゆ、許してアネゴ、ああああーー」



 

 

 「出て行ってしまわれましたね、シヴァンが無事であることを祈ります」

 

 「ベリアル、ゴウコンッテナンダ?」

 

 「合コンというのは、男性と女性が出会いを求めて行うパーティのようなものだよ。シヴァンがここにいる女性は眼中にないような素振りを見せたから、アネゴが怒ってしまったんだろうね」

 

 「ナルホド、ソコニハ、メスガタクサンイルノダナ? コレハタノシミダ」

 

 「ははは、アラクネが思っているようなメスが来るかは分からないけどね。おや? 二人が帰ってきましたね」


 「ぜーはーぜーはー、まじでアネゴ容赦なさすぎ……ってか強すぎるだろ、こんなの相手にするプレイヤーが気の毒だぜ」

 

 「あんたが弱いだけやろ? うちは強くてかわいい森のアイドルやからな」

 

 「まあまあ、もう気が済んだだろう。アネゴも許してやったらどうだい?」

 

 「しゃあないな、ベル兄がそう言うんやったら許したる。あー、のど乾いた。すみませーんおかわりくださーい」 

 

 「しっかし、NPCさんも大変だよな。休みなしかよ。あ、俺もおかわりお願いしまーす」

 


 

 「ぷっはあ。そういえば、みんな仕事中はどんな口調でしゃべってるん?」

 

 「口調? ああ、セリフのことかな。私は『貴様らの冒険譚もここまでよ! 惨めに地面を這い蹲るがいい!』みたいな感じでしゃべってるよ」

 

 「おお、かっこいいな! 俺は『我の眠りを妨げる奴はだれぞ? その償いはお前の命をもって代えさせてもらう』だな」

 

 「ええなあ、二人ともかっこいいなあ。なんやろうな……うちとの差大きすぎるわ」

 

 「アネゴはどんなセリフでしゃべっているんだい?」

 

 「…………」


 「『よくも、わたしのかわいいペットたちをいじめてくれたにゃ! ゆるさいないにゃあ、絶対にゆるさないにゃあ!』……です」

 

 「フフッ……失礼」

 「ぐわっははは、腹いてえ!」

 「アネゴ、カワイイ」

 

 「皆まで笑うなあ! あきらかに運営の悪意が見えとるでこれ。

 そ、そうやアラちゃんはどうなん? やっぱ『お前ら全員食い尽くしてやる』とかそんな感じ?」


 「ナイ」


 「「「へ?」」」


 「セリフハナイ。タカラバコヲアケタプレイヤーノウエカラアラワレテ『グギャアアアグルルル、ガアアアアアア!』ッテイウダケ」


 「「「…………」」」

 

 「えーと、なんかごめんアラちゃん……うち贅沢言うとったわ」

 

 「ドウシテアヤマル? セリフナイノラクダゾ」


 「ふふふ、なかなか違いがあって面白いじゃないか。おっと、みんなそろそろ休日メンテナンスが終わる時刻だ。そろそろ持ち場に戻らないといけないね」


 「ええ!? もうそんな時間かいな。楽しい時は過ぎるの早いなあ」


 「楽しかったぜ、また次の休日メンテナンスで会おうぜ」


 「マタアオウ」

 「ほなお元気でー」

 「また会いましょう」


 


 

 

 

 

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