不死身の少女は何を思うか
2.
「黒服のお兄さん。あなた、今まで社会に役立つようなこと、したことがありますか?」
僕は尋ねた。
傷を広げるために。
より、自覚させるために。
僕の能力は基本的に「視る」だけなので、相手に極端に自覚がない場合や完全に自覚がある場合は効果がないのだ。
別にどこかの二重人格者のように死線を視るわけではないのだ。
切っただけで死んでくれるような便利な線でもない。
なぜなら欠点は「誰にでも」あるからだ。
自分が気にさえしなければ――そんな無神経な人間見たことも無いが――なんら問題はない。
苦しみもせず、死にもしない。
が、しかし。いくら瓦であっても、その欠陥に気付いてしまえば、壊れずにはいられない。
欠点は相手に指摘されて、始めて気付くものでなければならない。
それが、根本的であるほど、致命的になる。
精神に入った罅は肉体にまで及んでくる。
「死ね!」
拳銃で撃ってくる黒服。
でも、この刺斬花は壊す。
右手首をほんの少し捻るだけで、その先端が”銃弾”を捕らえた。
崩壊。
「黒服お兄さん。アナタ今まで社会の役に立ったことが一度でもおありですか?」
「うるさい!」
拳銃から、あまりにも無味乾燥な、この場の雰囲気にぴったりで思わず噴出してしまいそうな発砲音が響く。
1、2、3発。
1発は僕によって処理された。
「あああああああああ。あああああ。あああああああ。ああああ。。。ああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
黒服がパニックだ。
ま、ワイヤー使いに不死身ちゃんが同時登場したら驚くわな。
というか、不死身ちゃんってなんか色々と盗み出してくれそうな名前だよね。
ふーじみちゃーん。
的な。
本当に、本当に、どうでもいいね。
『君の言葉は実に上っ面しか撫でていない。空ろで虚ろで空しく虚しい空虚な言葉だ。』なんて科白が思い起こされるよ。
トラウマだね。
Tiger Horseだね。
……癖なのか?
至極くだらない。
どうでもいいも極まった。
あ。
どうやら空想にふけっている間に黒服は勝手に心が壊れてくれてるみたいだ。
これなら、楽で良い。
「いままで、何もしてこなかったのでしょう?」
「お前なんかに何が解る!」
「少なくとも、あなたが生粋の駄目人間ってことなら。」
「勉強も出来ねぇ落ちこぼれが生きるにはなぁ!こうなるしかねぇんだよ。」
「ええ。自分の行いの所為なのに、それを言い訳にして人様に迷惑掛けて生きていくのは、楽しそうですね。」
「ふざっけんな!!」
「おっと、そろそろ語彙の限界ですか?」
「ぶっ殺す、ぶっ殺す!!」
「あーあ。これだからお馬鹿さんは嫌になっちゃうなぁ……。いい加減諦めたらどうです?」
「俺は……俺は悪くねぇ!社会が!親が!学校が!!俺がこうなったのは全部環境のせいだ!!あいつらが、俺を理解してくれなかったから!!」
「そうして、責任転嫁ですか。自己保身しか考えていない癖に良くそんなことをほざけますね。」
「保身じゃねぇ、事実だ!」
「……本当はもう、解っているんでしょう?」
抉る。
傷口を意図的に、抉り取る。
そうして亀裂を広げるのだ。
岩石が風化する過程を知っているかい?
岩に微細な罅、穴が出来る。
そこに、雨が降り注ぎ、罅や穴を満たす。
夜、冷え込んだ日にその水分が凍り、穴が大きくなる。
僕はこの作業を行っているのだ。
一撃で仕留める為に。
「俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は俺は俺は俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺……」
己の事しか考えることの出来ない。
他人をいたわる気持ちもない。
正義を忘れ。
人を殺したお前は。
「死ねばいいんだよ。人であることを放棄したモノは。僕と同じ側のモノは。」
なんてったって僕は『私刑執行人』。
僕の基準で。
僕の勝手で。
皆の無意識で。
人を殺すモノなのだから。
「自分を磨く努力を怠ったその罪を見つめながら、崩壊しろ。罪人。」
ヒュン。
ワイヤーは黒服の右の二の腕を通った。
すると、黒服の動きが一変した。
今まで錯乱して、パニックになっていたが、その挙動が止まった。
目玉が反転して、眼窩の奥を向き、四肢が痙攣している。
「悪くな……悪……無い……。」
「○○市のファミリーレストランでの事件です。
パートタイムの店員が出社したところ、床に死体を発見し警察に連絡。
事件現場における被害者の服装から、強盗事件と見られています。
捜査関係者への取材に因りますと、店員が殺されており、死亡推定時刻が強盗と見られる被害者の片割れとまったく同じだったようです。
拳銃を持っているのがもう片方の被害者だけだということから、強盗犯は殺しあった模様。
そして拳銃を持った強盗犯は原因不明の死を迎えていました。
警察はこれを心臓発作と発表しましたが、第三者の関与が疑われております。以上、中継でした……」
……そういえば、一昨日のそのまた一日前から何も食べてないや。
ま、どうでもいいかな。
「少年さん!ご飯はきちんと食べなきゃいけません。」
「そう?でも僕、料理出来ないんだよね。」
見た目小学生の少女に食生活の改善を進められた。
最近の若いもんは……
「私が作ってあげます。」
「料理できるの?」
「出来ますよ!3世紀分の知識を甘く見ないで頂きたいですっ!」
前言撤回。
というか、
前言訂正。
最近の老いたもんは……
「失礼なこと考えてましたね。」
「いやいや、誰も『3世紀とか嘘だろう』とか誰も思ってないから。」
嘘はついていない。
うん。
騙そうとしているだけだから。
「本当ですよ!とりあえず、料理してあげますから。」
そういいながら、少女は僕の家の冷蔵庫を開けた。
閉めた。
叫んだ。
「なーーんにもはいってませんよーーーーー!」
展開がベタすぎですよー。
といいつつ、というか泣き出しそうな声でいいつつ
こっちを振り返った。
「少年さん。食べ物がありませぬ。」
「そうだね。じゃあ、窒素の炒め物・酸素とアルゴンの煮付け・二酸化炭素のおひたしでも作ろうか?」
「空気じゃないですか!お腹は満たされませんよ!」
お腹がいっぱいになればいいんだね。
「なら、H2O煮込みとかお腹いっぱいになるよ?」
「それじゃあ、ただの熱湯です!!いったいどんな食生活を送ってきたんですか!!?」
どうでもいいんだけどさ。
熱湯と熱海って似てるよね。
主に、字面が。
熱海の温泉でH2O煮込み作ったら健康にいいんじゃない?
とか言ったら怒られるだろうなぁ。
「買い物にでも行こうか?」
「そうですよ。」
「因みに、所持金は341円。あと、近くのお店まで徒歩20分という立地条件の家なんだけど。」
「遠っ!遠いです!遠すぎです!そして、お金なさ過ぎです!」
まぁ、無職だからね。
「だから、外食しようと思ったのに。」
あれ?
なんで外で食べてこなかったんだっけ?
……あ。この少女と会ったからだな。
こいつが僕の食事の邪魔をしやがったのだな。
……でも、なんでこの娘は僕の家にいるんだろう?
僕がロリ少女・童女及び幼女保護法の下、少女誘拐監禁罪で150年の懲役を求刑されてしまいそうだ。
どうでもいいかな……ってか意味わからんわ。
あ、でも実際は300歳なわけで、コレは少女でもなんでもないからOKなんじゃ……?
「さっきから私のことを熱い視線で見つめてますが、何考えてるんですか?ロリコン少年さん。」
「僕はロリコンじゃない。君がロリか否か、第三者的且つ生物学的境地の下、考察していただけだよ。」
「良く理解できました。ペド少年さん。」
もう一度言おう。
僕はロリコンじゃない。
「出てけ。」
ここは僕の家なので。
とりあえず身長は僕の胸の辺りまでしかないこの子を持ち上げて、
「許してください。ごめんなさい。。って、私は猫ですか!?こんな持ち方され……」
投げて、
「きゃーーーーーーーーー!」
ドアを閉める。
はい。一件落着。
なんか、ドアが変形させようという外部からの強大な意志の下、悲鳴を上げているけれど、それは無視という方向で。
お腹空いたな。
どうしよう。
仕事でもするかな。
でも、もう一人殺しちゃったわけだし、また殺すのは良心が咎めるなぁ。
カップラーメンでも探すかな。
「あったあった。」
僕は、カップラーメソを獲得した。
たらだらったらー。
おぉ
あの、大人気。
回を追うに従って龍の登場回数が少なくなると噂されているゲームのLv.UP効果音が鳴るとは。
……字面を良く見たら偽物だった。
経験値が12下がった。
さぁ、本物のカップラーメンを探しに今。
旅に出る。
どうでもいいね。
どーでも。
良い。
寧ろ悪い。
何故か本棚から出土したカップラーメンを片手に僕は階段を下りる。
ちなみに、四段だが。
あ、いま五段目に突入。
そういう話ではなくて。
余談だが。
カップラーメンが見つかった時の本棚の状況は、
ラノベ、ラノベ、ラノベ、ラノベ、ラーメン、ラノベ、ラノベ、ハムレット、ラノベ……
だった。
一冊と一個が異質だった。
なんだか、僕らみたい。
と。いつの間にか感心しない感情移入をしていた。
さて、熱湯を入れて3分待つだけ。
現代文明の粋を寄せ集めて作られた、科学の集大成とも言える食品。
それが、カップラーメン。
宇宙の果て、メシエカタログにも載っている星雲から宇宙怪獣を討伐する為やってくるあの、超人類ですら片手間に作る。
とも、噂されている。
きりが無い程どうでもいい。
丁度いい具合に時間も経ったことだし。
食べますか。
「そうはさせない!!」
凛とした声が響き渡る。
「一人だけ食事にありつくなんて、この私が許さないわ。」
と、言ったのは。
新聞紙が入るあの玄関のポストから、体を引き千切らせながら入ってきた少女だった。
既に恐怖を超え、滑稽にすら見えてくるな。
少女はポストから”落ち”て、紅い糸を引きながら玄関に這いつくばった。
「あ、神経が切れたみたいです。足が動きません。」
まぁ、肉体が千切れかけてるからね。
玄関を紅い液体で満たし、玄関マットをお気に入りの色に染め始めた。
紅が好きなんだね。きっと。
「あと、3分待ってください。多分復活できます。」
奇遇だな。あのカップヌードルと超人類と同じ時間とは。
そうこうしている内に今にも下半身と上半身が分離しそうなお姿だったのだが、その傷口も塞がりつつある。
傷が塞がるのにあわせて血を吸収する仕様なのか、玄関も乾き、マットも販売当時の姿を取り戻した。
本当に不死身なんだな。
「再生したら、お腹空きました。」
「これ、食べていいぞ。」
僕は優しい顔でカップラーメンを少女に差し出した。
少女は駆け寄ってパクッと一口。
妙に可愛らしかったのは、秘密だよ。
「のぉぉぉびぃぃいてまぁぁぁぁすぅぅぅぅよぉぉぉぉぉぉぉぉおーーーーーー!!!」
絶叫だった。
僕の良心が628痛んだ。
たらったたららら、たら。
水道管工のおじさんが、谷底へ垂直落下する時の音が鳴った。
気がした。
でも、少女が復活するのを待っていて伸びたんだ。
自業自得だろう。
さて、腹が減ってはナンとやら。
一丁「仕事」でも、しますか。
3.
「欠陥屋ですが。」
僕は駅まで歩いていき、電車に20分間揺られたどり着いたビル。
そこのロビーでこう自己紹介した。
「わかりました。主は、6階でお待ちしております。」
「どうも。」
欠陥屋っていうのは、僕の二つ名みたいなものだね。
なんせ、世間に「殺人仲介・下請け会社」だなんて大々的に発表だなんてできないわけで。
知っている人だけにのみこのビルは機能するようになっている。
「少女。いくよ。」
もちろんヒョコヒョコとついてきた少女も一緒だ。
こいつは体質が体質なだけに、消されずに……ああ。不可能だったっけ。
チーン
と、間抜けな音を立ててとまった自動式密閉昇降立体から降り、目の前にあった観音開きの扉をopenする。
黒い絨毯が敷き詰められ、黒い壁紙で覆われた黒い部屋の奥。
扉の真っ直ぐ向こうに黒い社長椅子が置いてあった。
その椅子に座る黒いスーツに身を包んだ、黒い人。
その人こそが、僕の仕事相手だ。
「こんちわー。受注しに来ました。いつもの通り、悪人であれば条件は特に問いません。」
「そんなに急いているのかい?「徒言騙りの欠陥屋」さん。」
……その二つ名はやめてくださいよ。
というか、二つ名とか中二過ぎるんでよしてくださいよ。
「そんなに苦い顔をして一体どうしたんだい?」
「二つ名で呼ぶのはよしてください。せめて欠陥屋でお願いします。」
「いいじゃないか「徒言騙り」。先鋭的で。」
「……完全に意識してますよね。」
もはやパクリと言っても過言ではない……。
「ところで、そこの少女。一体誰なのかな?」
仕事相手は今までの軽い雰囲気から鋭く、尖った雰囲気を纏った。
不死身が怯えているよ。
「わ……私は、、、」
「僕のパートナーにして相棒で且つ仲間です。なにか問題でも?」
「…………いや、無いよ。で、仕事の話だったね。運の良いことに一件入っているよ。
標的は通り魔的に連続誘拐事件を起こしている。受けてくれるかな?」
誘拐か。
「大丈夫ですよ。後、一つお願いがあるんですけど、宜しいでしょうか?」
「ほう。君がお願いとはまた、珍しいね。今日は珍しいことばかりだね、実に。出来ることならなんでもやってあげるよ?」
思い切って、頼んでみるか。
「一万円貸してください。」
「どうしたんだい?お金に困るようなことなんて無いと思っていたんだが。」
「実は先日、通帳を食洗機に入れてしまいまして。」
「ああ。なるほどね。じゃ、コレはプレゼントだよ。」
財布から「ペンは剣より強し」を二枚とりだして僕にくれた。
「その可愛い少女ちゃんになにか買ってあげな。」
「恩に着ます。」
「じゃあね。」
僕は観音開きの扉から出、ビルから出て、少女に話しかけた。
「なんか、食べに行こうか?」
すると少女は嬉しそうな顔で言った。
「お腹空きました。ぺこぺこです!」
4.
「……リリリリ」
……ん?
「ジリリリリリリリリ」
うるさいな。
「ジリリリリリリリリ」
……今日は学校……休もうか。
「ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!」
うるさいな。
何で僕はこんなに大きな音の起床用設定時間報知時計を買ってしまったのだろうか?
と、わざわざ難しい語を使ったような錯覚を与えながら起き上がってみた。
「ジリリリリリリリリ。。。」
爆音を停止しやっと僕に安眠という名の静寂が訪れる。
はずだったのだが、僕は長い一人暮らし故かあの子の存在を忘れていた。
「お早うです。少年さん。」
angel smileを浮かべる少女がいた。
日本語で言うと天使的腐心浄化笑顔。
なんか中国語みたいになってしまった。
何故だろう?
考えるまでも無いか。
「少年さん。朝ご飯の用意が出来てますよ?」
「……わかった。着替えたら行く。」
「さて、少年さん。どうぞ召し上がれ。」
「いただきます。しかし、今日は実に豪華だな。」
「そうですか?普通の朝食だと思いますが……もしかして、少年さんはこんな朝食すら食べたことが無いんですか?」
いや……食事内容よりも。
女の子が起こしてくれて。
起きたら、女の子が朝食を作ってくれていて。
しかも、愛らしい少女だなんて……。
うん。何故か心の中に罪悪感が吹き荒れている。
だがしかし、僕の特技はポーカーフェイス。悟られる訳には行かないのだよ。
「いや。誰かと食べるだなんて、久しぶりだから。さ。」
「へぇ、そうですか。」
上手く誤魔化せたみたいだ。
さてこのまま、別の話題に持っていこう。
「ところで、少女。なんで僕についてきたんだ?あのレストランであった時から。」
僕の仕事相手のところまでついて来て。
「それは、私の夢が叶いそうだから。です。」
夢。
ね。
3世紀も生きて叶わない夢なんかあるのかね?
そもそも、既に多くの人類が夢見た「不老不死」を獲得しているというのに。
ちょっと贅沢じゃないか?
この子もまた人類の集合的無意識が顕現した個体なのだろう。
ここまで来ると、魔術とか秘術とか能力とかを超えて、奇蹟に近い。
そんな少女の夢とはなんなのだろうねぇ?
「君の夢。とは?」
「死ぬことです。」
「……」
「死にたいんです。消え去りたいんです。死に絶えたいんです。殺されたいんです!亡くなりたいんです!末期を迎えたいんです!息絶えたいんです!黄泉の国まで旅立ちたいんです!生きてたく無いんです!。。。とにかく私は!死にたいんですよっ!!」
「……そう。」
いつのまにか少女は目から涙を流している。
「もう、嫌なんですよ。異端扱いされるのは……
怖がられて、拳銃で撃たれて、死ねなくて、逃げられる。
恐れられて、刀で切られて、再生して、叫ばれる。
不審がられて、魔女狩りにあって、焼かれなくて、痛めつけられる……
誰も私を理解してくれない、誰も私を知ろうともしてくれない。
そんな人生は……もう。。。」
「……そうか。」
これが、不死を生きる者の夢。なのか。
「軽々しく話題にするようなことじゃあ、無かったな。悪かった。」
「いえ。私が些か興奮しすぎてしまったのが原因です。少年さんは悪くありませんよ。」
そして少女は濡れてしまった目を手で拭いながら言った。
「速く食べないと、ご飯冷めちゃいますよ?」
小首を……傾げるな。笑顔で小首を傾げるんじゃない。
「わかった。いただくよ。」
「美味しい?」
「ああ。本当に。」
徒言すら出ない程にね。
さて、食べ終わったことだし。そろそろ学校にでも出かけるかな。
「ご馳走様。美味しかったよ。」
「いってらっしゃい。少年さん。」
「ああ。いってくるよ。じゃあな、ご飯は適当に取っとおいて。」
「はーい。フフフッ。なんか、こういうのって夫婦みたいね。」
殺人の為だけに殺人の能力を持ち殺人をする殺人者と、死なない為に死なない奇蹟を授かり死ぬことの出来ない不死身の夫婦か。
笑えないな。
実に笑えない。
「見た目的には、親子の方がしっくり来そうだな。」
「!」
「どうしたんだい、少女?」
「いや、今までずっと無表情だったのに……私が不死身だって知った時も無表情だったのに。今、口の端が少し、、笑った気がした。から。」
ありえない。
それこそ、徒言だ。
「それじゃあね。」
僕は自宅のドアを閉め、自転車に乗って大学に登校した。
登校。何日ぶりだっけ?