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愛染歌  作者: 三日月
3/3

イチカライフ



命を守ってくれ、と言われて、大抵の人間は何を寝言を言っているんだと思うだろう。

しかし、イチカはマジだった。

真っ直ぐにサスケを見て、真面目に真剣にそう切り出した。 


「えっと……なんで命を狙われてんの?」


とりあえず、聞いてみる。

どこまでも真剣な表情で、イチカは答える。


「私はとある闇組織と繋がりがあってね。 今はそこから逃げている途中だ」

「……あのさ、その闇組織って………まさかさあ………」

「ああ、『イツキ』 だ」


闇組織イツキ。

歓楽街のある都心で、かなりの力をつけている組織だ。

夜になると、違法な店が出並び、裏では麻薬、人身売買、風俗店等の悪が絡んでいる。警察ですら手が出せない無法地帯だ。


「おいおいおい、かなりヤッベーじゃんよ」


イツキが絡むとなると、命云々がリアルに聞こえてくる。

そんな闇組織がこんな小さな少女を狙っている、その『情報』が気になる。


「えーっと……今、逃走中みたいな感じっすか」

「そうだな。与一にはすべての事情を話し、ここに置いてもらっている。だけど、あいつらに私の居場所がバレたらしい」

「……………………………………、?」


ポカン、とサスケの口が開く。荷物を整理していた手が止まり、イチカを見る。


「おまえ、見つかっちゃダメだろ」

「まあ、見つかるよりは見つからない方が良いだろうな」

「いやいやいや! そんなアブナイ組織の人たち相手にしちゃダメでしょーが!てか何でアンタみたいなちっさい子がそんな所の情報知ってんだ!」

「キミはうるさいな。もう高校生だろ。お喋りな男は女から嫌われると思うんだけど」

「うっさいわ!」


どんなに大声を出しても、イチカは表情一つ変えない。子どもらしくない仕草が、奇妙なものに見えた。


「それで、どうすんだよ。警察はアテにできねーし、てかマジな話なのかよ」

「キミは冗談と本気の区別もつかないのかい。私の顔を見ろ。本気だから目がマジだ」

「全ッ然、本気じゃない。目が虚ろだもの死んでるもの!」


何やら訳の分からない事を言っているサスケを無視し、イチカは、サスケの服の袖から包帯が覗いているのに気付いた。


「───キミ、それは怪我か?」

「え?」


サスケが自分の右手に気づく。


「ああ、これか」


服の袖を捲ると、右ひじから指先まで包帯で巻かれていた。

サスケはニカッと笑い、


「一年前の事故で、ちょっと傷跡がめだってさ。だからこうしてるんだ」

「………そうか」




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