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○×4!!  作者: kurokuma
1/5

であった、きっかけ!!

よろしくお願いします。

閲覧してくださるとうれしいです。


ピロリロリン

愉快な効果音は、普通なら些細な喜びになるはずなのだが、ここまで来るとぜんぜんうれしくない。

自販機を前に少年は大きなため息をついた。

〈ピロリロリン、おめでとうございます。 もう一本えらんでね〉

「何本当たるんだ・・・」

先ほどから当たりつき自販機が永遠に当たっている。実際に言うと、ただいま十本目に突入しようとしていた。

一種のバグかなにか? 自販機の前で何回もボタンを押している。

そんなオレを、学校帰りの人などの周りの人たちは珍しげにして見ている。

そういうのはすごく恥ずかしいのだが、こんなチャンスを逃すのはもったいない気がする。

かといって、たかがジュース数本のために友達を呼ぶなんてめんどうくさい。


バグッた自販機を前に格闘をしていると、自販機にかかる影が三人になった。嫌な予感しかしない。

『きみ、面白いことしているね、ちょっとお話を聞かせてくれないかな?』

ここまで連続であたりを引いたら、さすがに何かしたと思われても仕方ないよな。今思うと、自販機がなんだか熱かった気がする。

自販機との格闘をあきらめて、警官さん達と交番で数本のジュースを前に、三者面談になりました。

『きみは自販機に何かしたんじゃないのかい?』

「なんにもしていません」

『じゃあ、業者さんから連絡が来るまで待っていてもらおうか』

勘弁して欲しい。夕方から大好きなアイドルの出ている料理番組が始まるのだ。

こんなところで時間なんかつぶしている場合じゃない、業者さん、早くきてくれ。


『先輩、彼の無実を証明するって言っている女の子が来ていますが・・・』

『ん? まさかグルか?』 

まさか、そんなはずはない。

そもそもそんなことする気なんてない。 まさしく無実だ。勘弁してくれ。

『どうしますか?』 『わかった、通せ』 『はい』

それにしてもいったい誰なのだろう?

『つれてきました』 『ごくろう』

確かあの子は・・・

『知り合いか?』 「いえ、」 『おなじ学校の藤崎といいます』

そう、二年になってから同じクラスになった人だ。

身長は女子にしては少し低めで、黒い長髪は結んでいなく、赤いメガネが特徴的だ。


いい忘れていたが、オレは木我 竜輝りゅうき

天性の機械オンチということで通っている。 去年なんかは学校のパソコンを壊してしまった。

友達は絶対にオレに機械類を貸してくれない。悲しいことだ。 全部偶然なのだが・・・

『わたし、近くで見ていましたけど、彼は普通に買っていましたよ?』

平然と言う少女をみて、警官達は顔を見合わせている。

『ん~、わかった、今回は見逃すから次から気をつけろよ?』

一体なにをどうやって気をつければいいのだろうか?

「迷惑おかけしました」

実際かけられたのはこちらなのだが、そんなこといったら余計にこじれる気がするから止めておく。


二人で交番を出てからしばらくして、

「ありがとう。 助かったよ、確か同じクラスだよな?」

そういって、ただで手に入れた。ジュースを渡す。 彼女はプルタブを開けながら、

『そうでしたっけ? ただ無実の人が警官に捕まるのは見ていて虫唾が走るので』

見かけによらず怖いことをいう。

これがクラスで一番かわいいヒロインの本性なのだろうか? だとすると、思いを寄せている男子たちはかわいそうだ。

もちろんオレは違うが、

「そ、そうか・・・、また明日お礼するからさ、とりあえず今日はありがとう!!」

あぁ、こんなところで時間をつぶしている場合じゃない。料理番組でお料理アイドルの琴ちゃんと一緒に勉強しなくては!!

立ち尽くすヒロインをよそに、オレはジュースを抱えて、全速力で家へと帰った。

〈みんなで一緒に、レッツ、クッキングぅ~〉

オレはテレビの前に思わず正座してしまった。先ほどのジュースはお茶をすするようにして飲む。

少し小柄でその目はきらきらしているように見える。一度でいいから直接会ってみたい。

できることなら握手したい。恥ずかしながら、オレは琴ちゃんの大ファンで料理をするのが好きだ。

料理が好きなことに関しては、恥ずかしいから親友にも話していない。知っているのは母親ぐらいだろうか?

それとは別の料理が好きになったきっかけの父は、単身出張をしていて、母とオレで二人暮しだ。

父は忙しく、息子が大きくなったせいか、なかなか連絡を取り合うことはない。これでもうちの家庭はうまくやっている気がする。

『今日はなにを作るの?』

最近はオレが料理の練習がしたいからということで、料理はオレが作っているということになっている。

「あー、からあげでいいかな? 鶏肉あるから」

母は親指をこちらに向けて、にこやかにしている。 たまには料理させたほうがいいかな?


朝、

『起きなさい』なんて声をかけられるわけはない。 なぜならオレが弁当を作っているのだから。 むしろそのセリフはオレだ。

「おきろー、朝だぞ!!」

眠たそうにしているのは、まだ三十過ぎぐらいの母だ。 たまにはオレもゆっくり寝ていたい。

『あー、おはよう、りゅうき~』

なんでこんなにのんきなんだろうか? まぁ、たしかにまだ時間があるから問題ない。

「オレはあんまり時間ないから、そろそろいくわ」 『いっていらっしゃい』

こうして、新学期から数日たっての学校生活がまた始まる。 学校の帰りに当たりつき自販機に近づくのは止めようと誓った。



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