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でゅえる

作者: ひろゆき

 朝は眠いもの。

 睡魔と戦いがあるような気がします。



 AM6:58


 さて、そろそろ時間ではあるな。我が主人を起こさなければ。

 まったく……。毎日毎日、私の苦労をわかっていただきたいものだ。きっと、今日も素直に起きてくれないのであろう。

 何せ、今朝は寒い。確か最低気温が3℃ほどと……。

 そういえば、主人も言っていたな「雪が見たい」と。

 その思いがあるのならば、素直に起きてほしいものなのだが。

 しかし、確かに寒さで凍えてしまいそうだ。


 AM6:59


 さて、そろそろですかな…… ではっ。


 AM7:00


 起きろっ。

 起きろっ。

 起きろっ。


 …………。


 私の咆哮は虚しく響くだけ。

 主人は目覚めてはくれず、時折こぼれる寝息が無邪気に返事をしてくれるだけ。

 なんたる憎らしい。

 ベッドの上で寝返る姿に怒りすら覚えてしまいそうだ。何をそこまで平然と寝ていられるのか。

 ただ、私は従順たる存在。


 起きろっ。


 私は叫び続ける――

 

「う~ん。」


 すると、私の頭に主人の手刀が降り注ぎ、一撃を喰らった。

 なんたる横暴っ。私の厚意を邪険に扱うなんて……。

 だが、逆らうことはできず、口を紡ぐしかない。

 まったくもって嘆かわしい。

 どうして、毎朝私に対する主人の扱いは素っ気ないものなのか。いや、その扱いには、殺意すら抱いてしまいそうだ。

 普段は私がいなければ何もできないと嘆いているくせに。

 まったくもって腹立たしい。

 普段、私を手放さないくせに、今だけは壁に投げつけてきそうな勢いすらあるではないか。

 ただ、この冷酷な主人を見捨てられないのが、私の性とでも言いましょうか。私は主人が目覚めさせることを諦めない。

 新たな力を使おうではないか。


 スヌーズ機能とやらを。

 怒らないでくだされ。これは私に与えられた力なのですから。

 いや、そもそも、私にそのような能力を与えたのはほかでもない主人なのですよ。

 忘れてはいないでしょう。

 

 


 私を舐めないでください。きっと起こしてあげましょう。

 スマホという存在を舐めないでくださいよ。

 そうだ、これは私と主人との戦いなのだ。


 ………。

 では、第2ラウンドといきましょう。


 AM7:05


 さあっ、起きろっ。


 朝、起きようとすると、どうしても目覚ましが憎いときがあり、それをイメージしてみました。

 少しでも、楽しんでいただければ幸いです。

 ありがとうございました。

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