うちに帰るまでが修行です
いよいよ書き置きがなくなってきた
二人で屋敷を出てしばらく森を進むとすぐに夜になってしまった
≪夜の森は暗いし冷えるな…というか野宿か…そういうものは持ってきてるのか?≫
そう言ってワイトは振り返る
レイナは視線を受けるとしばらく自分が背負っていた食べ物しか入ってなさそうなリュックを漁ってから目を逸らす
「……ない…です…」
そう申し訳なさそうに話すレイナを見てからワイトはやれやれと言いたげに肩をすくめーー肩などないからそのように見える動きだけだがーー
≪ならしょうがない、そこらへんから乾いた木の枝をいくつか拾っておいてくれ、燃えやすい枯れ葉とかも集めといてくれると助かるな≫
そう言いながら木の上へと登っていくワイト
それを見ていたレイナは
「わ、わかったわ!」
返事をしてからいそいそと集め始めた
ワイトは木の上に向かいそこに生えている葉を窯で大量に切り取り一箇所に集めてゆく
しばらく集めたら今度は余分な枝などを取り除き葉だけにし、レイナが集めた枝を均等な長さに切り分けてゆく
ある程度集め終えたレイナは物珍しげにワイトの行動を観察していた
ワイトはその枝を焚き火のような感じにくべてゆきその下のあたりに枯葉を敷き詰める
そして火をつけようと……
……つけようと……
……つけ……
≪……火がつくようなもの持ってるか?≫
「………ランタン用の燃料なら……」
≪要はないんだろ……≫
……つけられなかったようだ
≪できるかわかんないけどやるだけやってみるか…その燃料を枯葉にかけてくれ≫
「わ、わかった」
トポポと燃料を少しかけてからワイトは鎌を構え…そこらで拾った石を思いっきり切りつけた
するとパチッとほんの少しだけ火花が散る…とても小さな火花だ……その火花が燃料に引火して燃え始める…それは枯葉に燃え移り次第に枝へと燃え移り…あっという間に焚き火ができた
「……おぉ…」
≪少しのトリガーで大きなこともできるんだぜ…?≫
と、笑いながら言うワイトは…どこか幼い子供を彷彿とさせるようで、レイナは一人ほっこりしていたのだった
〜〜〜〜〜
一夜すぎて行動を開始する二人
森の中を進んでいるとふとレイナが口を開く
「ねぇ…ワイトはレイスになる前の……生前の記憶が抜けてるんだよね?」
≪ん?……あぁ…知識とかはあるが俺……いや私か?……そう言うことや自身に関することはからっきし覚えてないな…≫
そう…どこか寂しげに言うワイトを見てレイナは思わず足を止める
何事かと後ろを振り向くワイトにレイナは尋ねる
「……これからのことを忘れたりしない……よね…?……生前の記憶みたいに消えたりしないよね?」
≪レイナ……大丈夫だよきっと……忘れないさ…忘れてたまるもんですかってんだ!意地でも忘れないね!……それに…≫
「……それに……?」
少し不安げに聞き返すレイナにアズラスは…何か確信を持っているように力強く答えた
≪もし忘れたとしても……お前が思い出させてくれるんだろ?相棒なんだからな!≫
どこか気恥ずかしそうに……しかしそこには確かな意志を感じる…そんなふうに言うワイトを見てレイナは思わず笑っている……わずかに目の淵に涙の雫を浮かべながら
それを見たワイトも気恥ずかしそうにしながらランタンの中に入ってしまう
こうして…二人はゆっくりと…帰路を辿ったのであった
あと一話分しかないのでこの1週間でさん話は作りたいところ……
頑張ります!
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