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少女の一歩はレイスの一歩

今回はちょっぴり長めかな………?

少女が叫んでから数分後


落ち着きを取り戻した少女は深呼吸をしてからこちらに向き直り


「さ、さっきはありがとう…まさかレイスに助けられるとは思わなかったけど……」


≪お、おぅ、まぁたまたま通りかかった時にちょっとヤバそうなゾンビ見つけたから首刈り取っただけだから、あんまし気にするんじゃないぞ?………後悪かったなレイスで…≫


きちんと聞き逃さないレイス…耳などないはずなのに…地獄耳とは…矛盾した話である


「え、えっと…わ、私はレイナ、ネクロマンサーの血筋として有名なエントリア家の四女……ここには一人前のネクロマンサーになるためにきたの」


≪……一人前になる……ということは相棒となる契約モンスターを探しにきたのか……んで…途中で隠れられそうなタンスに隠れて休憩していたらヤバヤバゾンビに襲われたと……≫


そう言ってチラッとレイナを見るとひどくうなだれていた


「うぅ…まさか何時間も箪笥を叩かれ続けられるとは思わなかったんだもん……」


涙目でそう言ってくるが確かにこれはトラウマモノになってもしょうがないと思える


しかしそれを聞いたレイスは呆れたように肩をすくめるような動きーーレイスに肩とか存在しないから本当にそんな風に見える動きだけだがーーをしてからレイナを見て


≪………あのなぁ…一人前ではないにしろお前はネクロマンサーなんだろ?ならゾンビの一体や二体ぐらいこの世から解放してやればいいだろ≫


ネクロマンサーの主なスキルは三つ


契約

ゴースト系やアンデッド系のモンスターと契約して共に行動する相棒などを作る際に使うスキルだ。

これはネクロマンサーだけではなく、テイマーなども持っている。

しかし、ネクロマンサーの契約は特殊でゴースト系やアンデッド系にしか意味がない。

そのかわり、契約しているモンスターと情報共有したり、能力向上のバフを常にかけてある状態にできる


死霊魔術

現世にとどまっている魂たちを呼び起こし操る魔術。熟練のネクロマンサーだとあの世からも魂を呼び起こすことができるとかできないとか


解放

契約しているモンスターを解放したり、成仏できずにモンスターとなってしまったり、死霊魔術で呼び出した魂たちを成仏させることができる


この三つのスキルが主なネクロマンサーの能力である


このうちの契約をモンスターと結ぶことで一人前と認められる


その後は個々で鍛錬を積んでゆく方式なのだ

だからこそレイナはアンデッド系やゴースト系の集まるこの洋館に来たのだろう


そのことを知っているレイスは

なんで先ほどのゾンビを成仏させなかったのか疑問に思いながらも表面上は冷静を装い、そのことについて問いてみる


レイナはバツが悪そうに下を見ながらボソボソと話し始めた

「………私は……落ちこぼれなんです……歴代最高クラスの魔力を持っているにも関わらずネクロマンサーとしての力を発揮できず…家族から見下されています……何度か練習してみたのですが……魂を呼び起こすことも、下級のレイスですら契約することができなかったのです……先程のゾンビにも契約や解放を試してみましたが……無理でした……むしろそれに触発されたかのように勢いが強くなって………本当に…情けないです……」


嗚咽の籠った声でそう告げるレイナからはポタポタと小さく煌めく雫が落ちていっていた


それをみていたレイスはしばらく考え込み…


ある妙案を思いついた


≪……なぁ、レイナだったか?………レイナ、契約してみないか?≫


「………ぇ…?」


プレッシャーや感情に押しつぶされ、今にも消えてしまいそうなか細い声でレイナは呆気に取られたようなことを言う


≪契約してみないかって聞いてるんだよ。自分は記憶がない、なんでレイスになっているのか、そもそも自分は人間だったのか、名前や容姿、性別に趣味、何もかもを忘れてしまった………ネクロマンサーやモンスターのことに関してだけは異様に詳しく覚えているんだがな……≫


そうレイスは自身のことを話すがレイナはまだ理解ができていなかった


「そ、それと契約に……なんの……関係が……?」


≪見た感じお前には才能がないわけではない≫


その言葉を聞いたレイナは目を見開いて驚く


……今まで才能がない、魔力の持ち腐れ、邪魔者と散々罵られてきた……そこに才能がないわけではない…そんな希望を持てるような言葉をかけてきたことに………なぜそう言い切れるのかというところにレイナは驚いていたのだ


「そ、そんなこと言われても…ろくに契約すら結べないのに……才能があるわけがないじゃ……ないですか……」


今にも泣きそうな声で反論する


しかしレイスはそんなことを聞いても淡々と語っていた


≪それは魔力回路が詰まってるんだ、生まれてすぐから魔力の保有量が多いものによくある症状でな、魔力がうまくコントロールできないんだ、なに、何度も練習していればいずれ治る症状だ……それと関係性だったか?レイナ、お前にネクロマンサーとしてのことを教えてやる、その代わりに、俺をいろんなところに連れて行ってくれ、私の記憶探しの手伝いを……してくれないか?≫


そう、優しく問いかけるレイスに……初めて優しさという温かいものを感じた彼女は……


「………そんな……そんなふうに言ってもらっちゃったら…………断れるわけ……ないじゃ……ないですか……」


ただ………単なる優しさに……涙を流していた



〜〜〜〜〜

泣き止んでからしばらくの間考えていた彼女は

ようやくその答えを導き出し、目の前で鎌の手入れをしているレイスに対してその導き出したものを答える


「………決めた………あなたと契約してみる…成功するかわからないけど……挑戦してみる……!」


その言葉を聞いたレイスは鎌の手入れをやめそちらに近づき


≪………よく言った……人生トライアンドエラーだ、これからよろしく頼めるよう、契約を果たそうか≫


と言いながら鎌の持ち手のところで床に魔法陣を描く

そしてその上に漂い始めるレイス……そんなレイスを見つめていたレイナも魔法陣の中に入り、自分の指に切り傷をつけ血を垂らす……


その血が魔法陣に触れた途端


…まるで星々がキラキラと舞うかのように赤く輝き始める


『我、汝と契約を結びし者、我が願いに応え我と契約を交わしたまえ』


そう、目を閉じて問いかけるレイナにレイスは応える


≪『我、汝の契約に従い、汝の願いを聞き届ける者、その願いと引き換えに我が願いに助力することを誓うか?』≫


こちらはゆっくりとレイナの目の前にまで降りてきてゆらゆらと揺れながら問いに問いで返す


『誓おう、我が願いを聞き届け、成し遂げてくれた暁には、汝の願いも聞き届け、成し遂げられるまで助力することをここに誓おう』


そう言ってから目を開け目の前のレイスをしっかりと見ながら応える


『≪ならば我に名を与えよ≫』


目の前に漂う小さなレイスを、レイナは自身の手で包み込み魔力を送りながらレイナは唱える


『汝の名は……ワイト……誇り高き賢きレイス………ワイト……この名を汝に与えよう』


そう言い終わると魔法陣はキラキラと散らばり、二つに分かれる

片方はレイナの右手の甲に


片方はレイスの中に消える……



契約は終わったようだ


≪………成功だな…≫


そうレイス……ワイトが言う


「ほ、本当に成功した…」


≪だから言っただろう?…お前に才能がないわけじゃない、むしろ私は才能の塊だと思うが?≫


そう言いながらゆらゆらと揺れる


小さな……



………小さなレイスは……





さながら子供のように楽しげに笑ったそうだ………

この物語が終わったらこの間の後書きに出てきた子が主人公の小説出します多分

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