6話
俺が追放されようと動いてから大体六ヶ月が経った。
何時だ……あいつは何時!俺を追放するんだこのやろぉ!?!!正直ストレスでH☆A☆G☆E☆S☆O☆U!!
「……今日はいつもよりも一弾と荒れてるわね……」
「ま、まぁ、ティルファさんも色々と忙しいから……」
そして、今日も今日とて俺の部屋にいるアリスとルーナ。はぁ、そろそろ客のクレームもうぜぇしな……燃やそうかなぁ………。
あいつら、俺じゃなくて文句は直接勇者に言えって言っても、次の日には俺のところに言いに来るんだぞ。頭沸いてんの?なに?言葉の意味が分からないのかな?うぅーん????
宿屋の店主の娘さんもだよ!いくら勇者に惚れてて中々自分を誘いに来ないからって、俺に八つ当たり気味のクレーム入れるのもやめろ!ほんとに!
何が悲しくて勇者に「おい、お前に抱かれたいヤツいるから抱いてやれよ」って言わなければいけないんじゃい!
ほんとふざけんなよまじで……俺、今なら怒りで勇者殺せるぞ?冗談抜きで。
ディルソフ家の秘術さえあれば、その気になれば勇者を殺すことなんてちょちょいのちょいだ。実際、何年か前に今の勇者の本性部分を隠そうともせずに色々とやらかした勇者を処分した実績もあるんだ。
………おい、まじでいいよな?このまま誰も止めないなら詠唱に入るぞコノヤロウ。
「……な、なにかティルファさんの雰囲気が誰かを殺すような気配に!?」
「な!?そ、それは流石にダメ!例えあんなクズでもティルファに人殺しなんてさせてはダメよ!ほ、ほら!ティルファ!あんたの好きな膝枕をしてあげるわよ!」
「ルーナぁぁぁ!!!」
癒しはお前とアリスだけだよ!ほんと!惚れる!
ベッドに正座の状態になり、ポンポンとその柔らかそうな膝を叩いたので、俺はすぐ様その膝に飛び込んだ。
「…………アリスの言う通りね。本当に飛び込んできたわ」
「ストレスでだいぶやられてるんです……できる限り、私達で癒しましょう。そろそろ頭皮の方も心配ですし……」
え、マジで?もう俺そこまで心配される程なの……?
なんか一瞬でストレスとかどうでも良くなった気がした。
「……え、もう二人から見て俺結構やばい感じ……?」
「いえ、その……今じゃないんですけど、将来的に……」
「これから先一緒にいるとしても、やっぱり若い年齢で毛量すくないのはちょっと………」
……だよねぇ?それなら、育毛を促進する魔法でも開発しようかな俺ーーーって待て。今サラッと流したけだルーナなんて言った?
「ほら、ティルファ。今日はもうこのまま寝てもいいから。寝るとストレスの半分は消えるってどこかの偉い人が言ってたでしょ?」
「はい。それに、ハグをしてもストレスが減るというのも出てますので、私にしっかりと抱きついてから寝てくださいね」
…………まぁいいや。なんか、すっごい眠くなったから今は寝るか。
俺は、急に襲ってきた眠気に誘われるように眠りに落ちた。
「………寝た?」
「眠りました。完璧です」
「ふぅ……良かったわ。魔法に愛されてるティルファに睡眠魔法が効くとは思えなかったけれども、無事に効いてくれて……」
魔法に愛されてるティルファは、基本的にどんな魔法も思っただけで使える。そして、愛されてる=魔法が効かないということである。
しかし、今回はサラッと効いたので、魔法の方もティルファは寝た方がいいという判断をしたのだろう。
「……それとルーナちゃん。さっきサラッとティルファさんと一緒にいる宣言したよね?」
「ゔっ!?」
スっ!とルーナは顔を背け、アリスがジト目でルーナを見る。
「そういえば、さっきもティルファさんにサラッと膝を貸してたし………」
「しょ!?しょうがないでしょ!?口からなんか自然にでてたもの!私のせいじゃないわ!」
説明するのもあれだが、二人はティルファに惚れている。もう完璧ほの字である。
そりゃそうだ。勇者の毒牙から守りつつ、ピンチの時もサラッと助けてくれるし、優しいし、あと普通にカッコイイ。
今はちょっとストレスでおかしくなっているが、それもそれでギャップがいいと言うのだから、もう重症である。
「……それで、アリスの方はどうなったの?」
「はい、お父様もお母様も、快く送り出してくれました。家のことは心配せずに、嫁に行きなさいって手紙が来ました」
「そう?なら良かったわね」
そして、ティルファがわざと勇者を怒らせて追放されようとしてるのを狙っていることも、二人にはまるっとスルッとお見通しである。
昔なら、ティルファに惚れていても勇者から離れられない理由があったが、その悩みも解消されたので、いつでも勇者から離れる準備は出来ている。
「それじゃ、私達も寝ましょうか?」
「そうですね、でもルーナちゃんその体制で寝れますか?」
「安心なさい。ティルファから魔法の有効的かつ、非常に非生産的で勿体ない使い方も教えて貰ってるから大丈夫よ」
魔法とは、本来ならば発展や、魔物を倒すためや、生活の役に立てるというのが一般的なのだが、自身のためだけに使うというのは非生産的で勿体ないというのがこの世界での考え方。
ルーナは、ウォータークッションを作り、負担のかからない体勢を探してから、その後に体を固定してから寝た。
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