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27話

 メルジーナ・ディルクロッド。


 ディルクロッド家歴代最優の神童と言われ、とある国を13歳の時に一日で滅ぼしたという伝説を持つ氷の女帝。理由は、『無理やり手篭めにされそうだったから』ということ。


 そんな経歴を持ち、素晴らしい政治の手腕で民にも好かれている人物なのだが、一部ーーーというか、魔法三家の人間は少し彼女にトラウマを植え付けられることもしばしば。


 特に、姉さんに植え付けられたトラウマは酷いものだろう。名前を出すだけで全身が一瞬固まって、浮かべていた笑顔さえも凍り、次の瞬間には汗をダラダラ流し始める。


 俺はそれほどトラウマは酷くはないが、まぁ積極的には関わりたくないな、うん。何せ貞操の危機だもの。


 ディルクロッド家にたどり着くと、メイドさんからメルジーナ様の私室に行くようにとお願いをされる。そのことから更に嫌な予感は加速し、歩く足取りを遅くさせる。


 そして、たどり着いたメルジーナ様の私室。入る前に、いくつもの結界を自身に施してから中へと入るためにノックをする。


「いらっしゃい?」


 中から聞こえたのは、色っぽい声。別に作ってるわけでもなく、普通の状態でも常にこんな色っぽい声をしている。


「ふぅ………失礼します」


 ガチャり、と一度深呼吸をして、覚悟を決めてから部屋の中に入った瞬間ーーーーものごっつい嬌声が聞こえてきたので、防音結界をはるのと同時に、メルジーナ様の私室のベッドで重なり合っている二人の《《女性》》の姿が目に入った瞬間、興奮しないように精神安定の魔法も常に自分にかけておく。


 …………やっぱりお楽しみ中だったなこの人。


 そう、メルジーナ・ディルクロッド様は、とんでもないほどに美少女&美男子好きの両刀である。


「いらっしゃい……ってあら?あなた、結界をしているのね……」


「め、メルジーナ様……わ、わたし…恥ずかしいです…男の人にも見られて…」


「大丈夫よミル……また後で相手してあげるから、少し待っててね」


 さて、俺は今目を閉じてるからどんな状況か知らんが、終わってるなら終わってるで早く結界解いて欲しい。メルジーナ様なら俺の結界は解けるはずだしな。


 とか思ったら、ピシッと俺の結界が割れる音が……っ。


「……メルジーナ様、全部は破壊しないで貰えます?」


「あら、ごめんなさいね。力加減ってどうも苦手で」


 嘘こけ。こんなのが出来ないなら歴代最優とは言われにないでしょうが。


 一瞬だけ入ってきた頭の中までピンク色になりそうな強烈な匂いを魔法で中和し、意を決して目を開けた。


「久しぶりね、ティルファ。どう?今夜に私とでも素敵な一夜でも過ごさない?」


「無理です」


 ぺこり、と腰を90度に曲げた。


「……ちぇ、残念ね。あなた達姉弟はかなり、私の好みの顔をしているのに……やっぱり、あの時手に入れられれば良かったわね」


「あんっ!」


「ちょっと、八つ当たり気味にそこにいる人の胸もむのやめてもらっていいですか?」


 精神安定を掛けているとはいえ、やりすぎると少なからず俺にも影響出るんですから。例えば、ここで無理やり抑えたぶん、どこで爆発するかは分からない。


 紫色の瞳を怪しく輝かせ、胸元と下半身がスケスケなネグリジェ(あれはもはや着ていない)体を俺にわざと見せるようにポーズをしてくる。だから、それやめろって。


 顔をぷいっと背ける俺に、ようやく観念したメルジーナ様は、1つため息を吐くと面白くなさそうに頬をふくらませた。


「もう、ティルファつまんなーい」


「つまんなくて結構です。早く俺を呼び出した要件教えて貰えます?」


「まぁいいけど………とりあえず、おかえりなさいティルファ。ベッドの件云々はともかく、あなたの顔は純粋に見たかったわ」


 と、クスリと本当にこの人40超えてるのか?と思うほどの綺麗な顔で笑う。何故だろう、この人に笑われてもトラウマのせいで全くもってドキッとならない。


「はぁ、そうですか。俺はメルジーナ様とはあまり会いたくはなかったですけど」


「だから、あの件は謝ったでしょう?今度はちゃんと攻略するって言ったじゃない」


「ダメです!!」


 俺が15歳、姉さんが16歳の時、メルジーナ様主催のパーティーに行った時、俺たちは姉弟まとめて姉妹丼ならぬ姉弟丼をされそうになったため、その事が酷くトラウマに残っている。あの時、兄さんと父さんが助けてくれなかったら、俺たちは今ごろ違う結末を迎えていただろう。


 あの事件以降、三ヶ月くらい姉さんが俺のベッドに潜り込んででブルブル震えていたのをよく覚えている。


「そもそも!俺もう今度結婚式あげるんですから、あなたに攻略されても迷惑なんですが!?」


「あら、私は気にしないわ?あなたのお嫁さんも全員一緒に可愛がってあげるわ」


 よし!俺きーめた!絶ッッッ対この人にはアリスとルーナは合わせねえ!!


「……はぁ、結婚で思い出したんですけど……メルジーナ様、独立ってどうやったんですか?」


 今日、俺が行きたくなくてもここに来た最大の理由を話題にする。久しぶりにあったインパクトが凄すぎて一瞬忘れていたが。


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