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20話

その後、俺は御者さんに地図を借りてピピッとこの辺ですと、マークして衛兵に渡してからジャパニカの街を後にした。


「また来たいですね」


 とアリスが言う。いつもは俺が膝枕をしてもらっているのだが、今日はアリスが俺の膝枕も経験してみたいとの事だったので、喜んで俺の膝を明け渡している。


「そうだな……また来るって約束したし」


 それに、個人的にもまだまだ行きたい。今回は帰郷の通過点として通って、全然観光出来なかったし、美食街とか言われてたけど、全然美食巡りとかもしなかったしな。


 アリスのさらさらの金髪を撫でる。その度に、「んっ」と擽ったそうな声を漏らすが、嬉しそうに頬擦りをしてくる。可愛い。


 左では、朝早く起きたからか、ルーナが俺の腕を枕にしてすぅすぅと寝息を立てている。


 次による予定の街は、『フワンナ』という名前の街なのだが、そこまで三日程かかる。フワンナでまた一泊してから二日掛けてディルクロッドに着く。


「……あ」


 俺はふと、まだ姉さんに俺だけじゃなくて二人も着いてくるって教えてなかったな。


 俺は急いで魔法手紙を取り出すと、姉さん向けて手紙を送る。


『拝啓、愛する姉さんへ。先程ジャパニカの街を出発しましたので、後六日程でそちらに着くと思います。久しぶりに姉さんに会えるのが楽しみです。


 それと、魔法学園の教師となる誘いでしたが、あれ、もう少し延期させてもらっても大丈夫ですか?少し、勇者関連で気になることが出来ましたので、それを解決してから教師になろうと思ってます。急に変更してすみません。


 最後に、俺だけだはなく、お客人も二人ほど着いてきましたので、家に客室を一つ空けておいて欲しいと通達をお願いします


 あなたの弟、ティルファより』


「よし、行ってらっしゃい」


 書き終わり、フッと息を吹いて飛ばすと、馬車よりも何倍ものスピードで空を飛んで行った。


 手紙にも書いたが、あの謎にたくさん闇ギルドのやつの口から出てくるウルゴスとか言うやつがとても気になる。解決しないまま教師になっても、学校まで襲いに来るかもしれないからな。不安の種は早く摘んでおいて損は無いだろう。










「……ここか。たしかにおあつらえ向きだな」


 同時刻。勇者エリアスの元に舞い込んだ依頼ーーー依頼じゃなくともエリアスは勝手に行動していたーーーのために、昨日いた街よりもワンランク程規模が広い街、『アルマレ』へとやってきていた。


「……本当にここなの?情報通りにしては閑散としているわね」


「馬鹿が。閑散としているからこういった奴らが根城にしてるんだよ」


 エリアスの隣には、露出度が高く、男を誘うような魅惑的な体をしている緑髪の新たな女性の姿があった。


 エリアスが新たに見つけた仲間の一人暗殺者のレミーナである。


「街の外に不自然に倒れていた闇ギルドの奴からの情報通りなら、ここに世界最大闇ギルド『クラウン』の支部のひとつがあるとの事だ。間違っても死ぬなよ、お前は俺の性玩具だからな」


 と、いつも通りのクズ思考なエリアス。大抵それを聞けばどんなにエリアスに惚れ込んでようが、一度は絶対に引いてしまうのだが。


「んんっ……その冷たい視線、ゾクゾクしちゃうわ……」


 と、何故かレミーナは頬を上気させ、プルプルと体を揺らす。流石に、エリアスもそれを見て「気持ち悪ぃ」と声を漏らす。それを聞いてまた体を揺らした。


 なんとこの女。被虐性愛家(マゾヒスト)のド変態である。しかし、エリアスに従順で絶対に逆らわないし、顔もいいし、スタイルも抜群なので、密かに気に入っていることは確かである。


「ほら行くぞ。とっとと終わらせて俺を楽しませろ」


「分かったわ………それじゃ勇者様、また後でね」


 ちゅ、と勇者の頬にキスをしたレミーナは、自身の魔法を発動させる。それは、勇者であるエリアスの目でさえ一瞬ごまかせるほどの高度の隠密。


 この変態、技術も一流である。


「さて、行くか。この先にウルゴスとかいうクソ野郎がいるはずだからな。とっとと殺して帰る」


 そう言うとエリアスは聖剣アスカロンを抜いてから闇ギルドが巧妙に隠しているアジトへと乗り込んだ。


 しかし、内容は呆気に取られる程で中には人の気配一つもしないし、なんなら別行動していたレミーナが戻ってきたも人一人発見出来ないという異常があった。


 どうなっている……?眉を顰め、一つずつ部屋を確かめるが、部屋の中身は綺麗で荒らされた形跡もない。


 後探していないのは、支部長室くらいなのだが、そこに近づいた瞬間、異様な臭いが二人の鼻を襲う。


「………死体か」


「にしては、臭いすぎないかしら……おえっ、流石にこれはちょっとアタシでも無理かな……」


「お前の性癖ストライクゾーンはどうでもいい。早くついてこい」


 エリアスは、鼻を摘みながら支部長室の部屋を開けた瞬間ーーーーあまりの悲惨にさらに眉を顰めた。


「……なんだこれは」


 部屋中に血が撒き散らしてあり、壁紙や天井は血で塗り替えられており、部屋の真ん中には見るも無惨な闇ギルド構成員の死体が積み重なっていた。


 そして、その一番下には怪しく光る魔法陣が端っこだけ見えていた。


(………チッ、こんなことならあの役立たたずに魔法陣について少し教えてもらえばよかったか……)


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