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1話

 俺の名前はティルファ・ディルソフ。一応貴族であり、ディルソフ家の次男でこれでも、神童とかなんとか言われた自他ともに認める魔法の天才………ということになっている。


 実際には……というか、自分で言うのもあれなのだが、俺は些か魔法に愛されすぎていると思う。普通の魔法使いならば、詠唱をして、魔力込めて、そして魔法を発動させてというプロセスがあり、どうしても少しばかり時間がかかるのだが、俺はそんな過程なんて必要としない。


 思うだけで、その魔法が発動できる。例えばあそこら辺にいい感じの火の玉やっちゃってって思うだけでも簡単に魔法が発動してしまうのだ。


 だから、俺は魔法使いが通う学園を飛び級で卒業しても、その才能を腐らせるばかりで、部屋で大人しく本を読んで知識を蓄えていたのだが、ある日、勇者が俺の噂を聞きつけてこのディルソフ家にやってきたと姉さんから連絡が入った。


 すぐに姉に応接室に迎えと言われ、そこで出会ったのは、二人の女性と、一人の男。


「君がティルファ・ディルソフかい?噂に聞いてるよ。あの魔法学園を飛び級で卒業した神童……」


 金髪で、蒼色の瞳で、世間一般的に見たらとても整っている部類に入るであろう勇者。


「僕の名前はエリアス・クローラルだ。君の力、世界のために役立てないかい?」


「…………………」


 勇者とは、世界を飛び回り、国や大都市を守るべき守護の存在。勇者試験とやらに合格した、聖剣に認められしものしかなれない……とは、断片的に聞いた。


「……俺の力が必要なのか?」


「あぁ。俺には、君の神童の力が必要さ。一緒に民のため、国のために戦おう」


「……いいよ、暇つぶし程度に付き合ってあげる」


 と、当時思春期真っ只中だった俺。勇者に対しまぁまぁなんと不遜な態度を取っていたか……。


 ……え?後悔してるかって?全くもってこれっぽっちもしてませんけど??????


 いやー。当時はよくよく考えたら勇者にあんな態度取るのやばくね?まずくね?とか思ってたけど、あんな態度取って大正解でしたわ。


 あいつが俺に丁寧な態度を取ったのなんて初日だけだ。二日目から急に別人になったかのように態度が変わった。


「クソがっ……本当はこいつの姉をパーティーに引入れるつもりだったのに……なんで男なんだよクソっ……」


 思わず耳疑ったもん。まさかディルソフ家に来たのが姉さん狙いだったなんて。思わず仲間の勇者パーティーにいた二人に目を向けると、呆れた感じで勇者のことを見ていた。


「………あいつ、見た目はイケメンだけど、内面はくそブサイクだから、基本的に信頼しない方がいいわよ」


 と、俺と同じ魔法使い枠でこの勇者に無理矢理のように入れさせられた魔法使い、ルーナ・ムシャーナ。赤い髪をツインテールにして、瞳も同じように赤色。


 顔が好みだから、という理由で勇者パーティーに入れられたらしい。何度か無理矢理迫られているらしいが、結界を貼って何とかしのいでいるらしい。


 とりあえず、あいつぶん殴ってきていい?


 まぁ殴ったら殴ったで、勇者には王家の後ろ盾があるから、どんなにやつが悪かろうと俺が罰せられるんですけどね!


「あの人には半径2mに近づきたくないです……視線がいやらしいですから……」


 と、今度は身軽そうな装備をつけた剣士ーーーアリス・ティンジェルが言った。金髪のサイドテールに、翡翠色の瞳で、これまた美人だった。勇者パーティーに入れられた理由は、顔が好みだったということと、スタイルが良いかららしい。


 ということは、この勇者……まさか自分以外は女にしてハーレムパーティーでも作ろうとでもしていたのか!?なんという下賎な男なんだ………。


 なんで抜けないのかと聞いたことがあったが、彼女たちも抜けられない理由があるらしく、こうしていやいやとついて行っているらしい。


 こうして、勇者に対する好感度なのだが、初対面時にはそこそこあったのだが、一気に下落しマイナスまで振り切ってしまった。


 そして、ここからが俺のストレス続きの始まりだったのだ。雑用は全て俺に丸投げし、荷物持ち、部屋の掃除、テントの準備にエトセトラエトセトラ……。


 俺はお前の執事ちゃうんぞ???そこんとこ分かっとるんかい??あぁん?????


 と、こんな環境にいたから、口調がおかしくなった許して姉さん。


 定期的に手紙のやり取りをしてる姉さんに、ストレスが爆散したまたの手紙を送ったらガチめに心配された。俺の癒しは姉さんの手紙とアリスとルーナだけだよ……。


 特にルーナとアリスに関してはガチで惚れそうで怖い。勇者がご自慢のお顔で女の子とよろしくやってる間に、三人で一緒に頑張ろうね的な会やってたし、アリスには時たま膝枕お願いしてるし、ルーナもちっこかわいいし……。


 結論、勇者パーティー。勇者さえ居なければガチめの天国。


「………はぁ」


 と、ここまで約6ヶ月のことについて振り返ってきたけど、ストレスマジやばい。そろそろ頭皮の方が心配でヤバい。嫌だよ俺、まだ10代なのに少しばかり髪の毛が薄くなるなんて嫌だよ?


 さて、今日もストレス軽減のために、姉さんから送られてきた魔法手紙でも読んで、癒されようっと。

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