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9話

『拝啓、愛する姉さんへ。やっと追放されました。これで心置き無く姉さんの元に行けます。そちらに辿り着くまでに一週間ほど掛かりますが、待っててください。


 あと、俺って家に行くのかそのまま学園に行くのどっちがいい?


 あなたの弟、ティルファより』


 これでよし、と。今まで借りていた宿から出ていき、とりあえず適当な宿に入って手紙を書いた俺は、窓に向けて全力で投げる。


 行ってらっしゃい。沢山魔力こめたから三時間後には姉さんの元に辿り着くでしょ。


 さてと、これから俺が取る選択肢は一つ。明日の朝一で出発する馬車に乗って、ディルソフ家のある街、『ディルクロッド』へと移動する。


 規模だけで言うなら、王都『アインソフ』に並ぶくらいの領土があり、そして、俺や姉さんが通っていた魔法学校もある。


 えっと、街に着いたらディルクロッド様の所に念の為に帰ってきましたよ報告して、父さんたちになぜ追放されたのかの経緯も伝えて、ディルクロッド様にあの勇者は街に出入り禁止にしてもらって、姉さんの所にも行ってーーーー。


 あぁもう!せっかく勇者の悩み事から開放されたと思ったらなんか一杯やること考えることが多くないか!?


「ルーナ、アリ……ス」


 そして、無意識のうちに二人の名前を呼んで、気づく。


 …………そっか。もうあの二人と離れたのか。


 俺のベッドで二人仲良く話している赤髪の女の子と、金髪の女の子が嬉しそうに俺を見ている光景が映り、そして消える。


「………寝るか」


 この日、やけにベッドがなんかものすごく寒く感じた。


 傍に、二人の温もりがないから何故か安心して眠れない。胸にぽっかりと穴が空いたような気分になって、寂しい。


 眠ろうと目を閉じるが、耳と瞼の裏に二人とすごした思い出がよみがえってくる。


『ねぇティルファ。この魔法ってどうすればいいの?』


 ルーナに魔法をやり方を教えている光景。


『気持ちいいですか?ティルファさん。疲れた時は遠慮なく強請っていいんですからね?』


 アリスに膝枕をされて癒されている光景。


『かんぱーい』


『ほんと、あの勇者とっととくたばらないかしら……』


『ほんとです……このままだと剣が勝手に動きそうで……』


 勇者の被害者の会で、三人で頑張って励ましあっている光景ーーーーってこれは別に思い出さなくてもいい光景だな。


『ティルファ』


『ティルファさん』


 二人の可愛らしい笑顔、そして声。それを見るだけで、聞くだけで俺の心は嬉しくなって、勇者のストレスにも耐えて頑張ろうってーーーー二人がいるから、頑張れるって。


「………あぁ、そうか……」


 薄々気づいてはいたけど、俺ってこんなにも二人のことがーーーーーーー。





『拝啓、愛しの弟のティルファへ。やっとティルファに会えると思うと、私、思わず飛び跳ねてしまうほど嬉しいです。


 書きたいこと、話したいこと、伝えたいこと、沢山ありますが、私がティルファに対する愛情が溢れ出てしまうので、会った時にハグハグしながら伝えようと思います。お家に来てね。


 それと、何やら女の勘が囁いてますが、ティルファ?別にあなただけじゃなくても学園は大歓迎ですので、安心してお持ち帰りしてきてください♡


 あなたの愛しの姉、フィアンより』


「………なんだこれ」


 そう呟いた俺は、悪くない。


 あんまりよく眠れくて途中で起きて馬車の時間を待っていたら、姉さんからの手紙が届き、開くとなんかいっぱい書かれてた。


 てか今俺、寝不足であんまり集中力なくて内容が全然頭に入ってこない。眠い。


 辛うじて分かるのが、『お家に来てね』と『女の勘』の所。なに、お持ち帰りって。ティルファ分かんない。


 まぁいいや。とりあえず家に来いということはわかったから、とりあえず着替えて、顔洗って、飯食って馬車探して寝る。


 馬車の旅は一週間ほどかかるが、食料は全部空間魔法の中に放り込んでるから大丈夫だし、ディルクロッドに着くまでいくつか街も経由するから、もし足りなくてもなんとかなる。


 心配事は盗賊とか、まぁ魔物だが、俺がいるから何の心配もないな。


 よし、行くか。


 そして俺は、この街からさっさと出ていくために馬車の乗組所へと向かったのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 成る程、この停留所に先に並んでての台詞って訳ですね、あらすじの二人の台詞は。 状況からして、先に二人が馬車に乗り込む形なのかね。 ルーナが置いてくわよ とか言ってるし。
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