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開幕、夏休み 2

「あ、やっほー!ちりちゃん!」


「すず……うわ、見るからに暑そうだね。」


「うん!でも楽しいよ?ちりちゃんもやる?」


「絶対に嫌。」


買い出し後、荷物を置きに学校に戻ると部活中のすずにあった。


半袖半ズボン、滝のように流れる朝は夏の運動部の勲章だ。


「あ、千紗先輩もこんにちは!」


「こんにちわ。相変わらず元気ね……」


「千紗先輩は元気なさそうですね!」


「当たり前でしょ、こんなに暑いんだから。」


本日の最高気温は32度。夏、ヤバすぎる。


早く帰ってかき氷でも食べたいところだ。


「あ、そうだ。来週海に行くんだけどすずちゃんも行かない?勿論、らんちゃんも誘うけど。」


「海ですか……ちりちゃんも行くの?」


「うん。」


「じゃあ行く!部活休んででも行く!」


食い気味に返事をするすずに若干引いた。


いや、部活は休むなよ……お前レギュラーだろ?


「よかった。詳しいことはまた連絡するわ。」


「はい!部活終わったら水着買いに行きます!」


「水着持ってないの?」


「うん、去年買ったのしかない。今年用のはまだ買ってなかったんだよねー」


は……?聞き間違いか……?


「去年のあるのに買うの……?そんなに身長変わったの?」


「え?ふつう買い替えるよね?トレンドとか変わるし。」


……分からん。感覚が分からない。


すずの周りに小宇宙が見えてきて、別世界の住人のように思える。


「ちり、私は毎年同じ水着だから安心して。」


「ほ、本当……!?千紗もスク水!?」


「は……?」


私はキラキラした目で千紗の方を見た。

よかった……!同志がいた!


「やっぱ水着はスク水だよねー!目立たないし、何より泳ぎやすい!」


「いや……海で水着は逆に目立つよ……?」


「え?」


何故だろう。明らかに千紗は私に対して距離を取り出した。


「ちりちゃん……女の子としてそれはどうかと思う……」


「うん……流石の私もスク水は着ないよ?」


「ええええぇぇぇ!?何で!?市販の水着高いじゃん!どうせ授業で買わされるんだからそれでよくない!?」


「スク水ってあんた学校指定の水着のこと言ってんの!?うちの学校の水着って胸のところにでかでかと校章はいってるじゃない!それで海行くつもりなの!?」


「そうだけど?」


「馬鹿じゃないの!?恥ずかしすぎるし、個人情報自ら漏らしてるんじゃねーよ!」


こ、こんなに起こった千紗、初めて見た……

傍から見たらお母さんに怒られた小学生男子並みに滑稽だろう。


「でも制服だって個人情報露出じゃん……何で水着だけ……」


「うるさい!今から水着買いに行くから!またね、すずちゃん!」


「あ、はい!さ、さようなら……」


「い、痛いって!引っ張らないでよー……」


「うっさい!さっさと来い!」


こうして夏休み一日目は強制的に水着を買わされて幕を閉じた。

とんだ痛い出費だ……水着高すぎだろ……

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