開幕、夏休み
「おはよう、ちり。」
「はよ……」
「ひどいクマね……寝不足なの?」
「うん……昨日のホラー特番が面白くって……」
「そんなおぞましいものよく見れるわね。」
「今度一緒に見ようよ。」
「絶対に嫌。」
受験をしないという決断を下した今、私は絶賛暇人であった。
秋にテストはあるものの、学年トップの私ならば校内のテストなどそこまで苦ではない。
という訳で、千紗と文化祭の買い出しに来ている。
「内装こだわるって言ってたけど……折り紙でわっか作ればよくない?」
「あんた漫画とか詳しいんでしょ?そんな小学生のお誕生日会みたいな展示ないでしょ。」
「漫画とリアルは別だから。」
「それでも限度があるだろ。」
私と千紗がリーダーということに無理がある気がする。
現代の女子高生と感覚が一致してないもん。
「風船、画用紙、折り紙……」
「折り紙はいらんって。」
「あとはマジックペン、絵の具……」
「その辺は各自家から持ってくればいいよ、予算削減で。」
「おお……ちり詳しいわね。」
「慣れよ、慣れ。中学の頃はよくやってたから。」
足りなくなったらまた買い出しに行けばいい。
限られた予算をより有効に、無駄なく使わなくてはならない。
千紗を無視し、適当に必要そうなものをぽんぽんかごへ放り込む。
内装は一軍所属の女どもがどうにかしてくれる。問題は次だ。
「メニューどうする?」
「料理に事は私に聞くな。」
「私も得意じゃないんだけど……」
一通りの買い物をニ十分で済ませ、昼食をとる私たちの顔は死んでいた。
問題はメニューだ。何でカフェなんだよクソ野郎……!
「ちり独り暮らしでしょ?得意料理は?」
「……モヤシ炒め。」
「戦力外にも程がある。」
「そういう千紗はどうなのよ!」
「調理実習以外で包丁握ったことない。」
「あんたの方が私より外側にいるわよ。」
困った……やはりほかの子にも相談する必要がある。
「費用を抑えて簡単に作れて……ネットで調べた方がよくない?」
「それな。飲み物は前日買うとして……ねぇ、市販のお菓子買えばよくない?」
「……天才なの?」
何故私たちは手作りに拘っていたのだろう。背伸びはよくない、身の丈に合った努力をしよう。
「あ、そういえばちりも行くんでしょ?海。楽しみだなぁ。」
「うん。楽しみだ。」




