オムライスと共に 3
「何….条件って。」
「一緒に暮らしなさい。そしたらどんな高い学費も出してあげるわ。」
絶望した。
母の言葉に、私は絶望した。
「…無理だよ、一緒になんて暮らせない。」
「じゃあ学費の話は無しね。」
「…」
どうするどうするどうする…!
第六回花澤ちり脳内会議:議題【学費について】
ちり1「久しぶりね…ブランクはあると思うけど、いい案を期待しているわ。」
ちり3「学費…お母さんが出してくれないとなると、進学は諦めるしか…」
ちり1「駄目よ!折角ここまで勉強してきたじゃない!」
ちり2「そうはいってもなぁ…一緒に暮らせるか?あんなクソ野郎と。」
ちり1「うっ…」
ちり2「無理だろ、ストレスで胃に穴空くわ。」
ちり4「じゃあおにーちゃんに払わせる?」
ちり1「それだけはダメ!だってお兄ちゃんだって結婚とか彼女とかが万が一出来たら負担になるにきまってるもん!私はお兄ちゃんを不幸にしたくないっ…!」
ちり4「それなー。」
ちり5「うーん…あ!奨学金は?」
ちり1,2,3,4「そ、それだっ!!」
「じゃあいい、奨学金を使う。」
今までで一番いいアイディアだ。
成績優秀者はには無償の奨学金があるってネットでも見たことがある。
成績優秀の私にピッタリの制度ではないか…!
「奨学金なんてただの借金じゃない。後で苦労するわよ?」
「貴方に頼るくらいなら苦しんだほうがマシ。」
「お待たせしましたー。」
殺伐とした空気が流れる中、別世界店員さんがキラキラした笑顔を振りまき、その空気をぶち破った。
こ、これが全ての負の力を無にする営業スマイルか…!
彼女は私たちの目の前に料理を置き、一例をした後去っていった。
私はすっかり殺伐な空気を忘れ、目の前の料理に心躍らせていた。
ふわとろで柔らかそうな玉子、煌めくデミグラスソースが私の食欲をそそる。
じゅるりとよだれがこぼれそうになる。
流石お兄ちゃんのおすすめ…期待が高まる…!
「いただきます…!」
「待ちなさい、食べるのは話が終わってからよ。」
「はぁ!?」
冷酷な母の言葉に私は耳を疑った。
目の前に美味しそうな食事があるというのに…何を言ってるのだ、こいつは。
「当たり前でしょ。食べてたら話が進まないわ。」
鬼だ…こいつは人間の面を被った鬼だ…!
あんたはいいかもしれないけどね、こっちはお腹すいて死にそうなんだよ…!
目の前にあるオムライスは私を食べて…?と健気に見つめているのに…それを食せないなんて…
拷問か!?拷問なのか、これは!?
…まずい、怒りがたまってきた。
「あ、ちりちゃんだ。」
「え…?」
拳を振り上げようとした瞬間、思いもよらぬ人たちが現れた。
「な、なんでいるの…?」
「すっごい偶然だね!」
「すず、恥ずかしいから店内で大声出せないで。」
「あら、偶然ですね。夏美さん。」
色葉ファミリー、まさかの登場。




