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れっつらお勉強 3

私と武藤さんの間に不穏な空気が流れる。


彼女の表情は本当に読めない。


「失礼します、武藤先輩いらっしゃいますか?」

「おー、らんらんいらっしゃーい。」


そんな空気を破ったのは一つのノック音。


逸らされた目線の先にいたのはらんだった。


「あ、花澤先輩もいたんですか!?」


らんは途端に笑顔になり、私に注目した。


なんでらんが武藤さんと知り合いなんだろう…


「どうしたの?らんらん。」

「あ、書類のチェックお願いします。」


らんは私から離れ、武藤さんの机の上にプリントを置いた。


内容が気になった私はチラッと紙を見ると、そこには『第54回 高崎ヶ丘学園文化祭企画書』と書かれていた。


なんで文化祭の企画書を武藤さんがチェックするの?

それになんでらんがこのプリントを持ってるの?


謎は深まるばかりだ。


「じゃあ生徒会室行こっか。ここじゃ二人の邪魔しちゃうし。」

「わかりました。花澤先輩、また遊びに来てくださいね!」


そう言い残し、二人は部室を出た。


「ねぇ、千紗。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

「私もあるわ。双子の家に遊びに行ったの?」


うげ、面倒くさいことになりそうだ。


千紗が眼鏡を外そうとしたが、私は必死で押さえつけた。


「待って!それに関しては後で話すから今は私の話を聞け!」

「…そう、ならいいわ。それで何が聞きたいの?」


ふぅ…とりあえず今は一安心だ。


「武藤さんが中学の頃って言ってたけど、なんで?あんたなんか余計なこと言ったの?」

「何のこと?私は高等部からこの学園に来たから貴方の中学時代なんて知るわけないじゃない。」


千紗の言う通りだ。


じゃあ何であの子はあんなことを…?


「もしかして武藤さんは内部生なの?」

「そうよ、小学生の頃からこの学校に通ってるの。茉鈴とは家が隣だから仲がいいの。」


はぁ…そういうことか。

なら私のことを知っているのは当然だ。


…ん、茉鈴?


どこかで聞いたことあるような…


「あ、後なんであの二人が文化祭の書類を持ってるの?」

「え、知らないの?茉鈴は生徒会長よ?らんさんはお手伝いでもしてるんじゃないの?」


は、生徒会長…!?

あのなんも考えてなさそうなぽわわんとした子が生徒会長!?


い、意外すぎる…!


…生徒会長?


「秋になったら生徒会選挙だもの。らんさんは生徒会に入りたいんじゃないの?」


生徒会…茉鈴…


「ああーー!!!」

「な、何よ…急に大声出さないでよ…」


思い出した、武藤茉鈴。


『貴方名前は?』

『む、武藤です…』

『下の名前は?』

『ま、茉鈴です。』

『茉鈴、よろしくね。私のことは花澤ちり、よろしく。』

『よ、よろしく。花澤さん…』

『下の名前で呼んでよ。中学生の生徒会役員は二人だけなんだし、仲良くできたら嬉しいな。』

『じゃあ…ちーちゃんって呼んでもいい?』

『勿論!これから一緒に頑張ろう!』


中高一貫校の高崎ヶ丘学園生徒会では2名の中学生が所属する。


当時中学三年生の武藤茉鈴、中学生徒会副会長。そして私は中学生徒会長だった。


気付くわけがない。

だって今の武藤さんと茉鈴はまるで別人。


性格は変わってないけど、外見が変わった。


昔の茉鈴はよく下を向いている子だった。


それに三つ編みメガネという典型的な優等生の外見をしていた。


はぁ…そりゃ気になるよな…

私、急に生徒会辞めちゃったもんなぁ…




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