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れっつらお勉強 2

「紹介するわ。武藤茉鈴、私の幼馴染なの。」

「ちーちゃん、よろよろー。」

「よ、よ、よろしく…」


武藤さんはへにゃっとした笑顔を私に向けた。


なんか、体に力が入ってなさそうな子だな。


うまく言えないけど…フニャッとしてる感じ…


別に太ってるわけじゃないんだけどさ。


…こういうタイプが一番よめないんだよね。


怖い…関わるのが怖すぎる!


「じゃ、そこ座って。私はネームしてるから。」

「私は漫画読んでるからお気になさらずー。」

「あ、うん…」


千紗が用意してくれた席は武藤さんの隣の席。


千紗は武藤さんの正面に座り、険しい顔をしながら何かを描き始めた。


とりあえず教科書を開き、集中しよう。


隣の席の子と少し気まずいが、四階の隅っこの教室はとても静かで集中出来る。


なんなら家より集中出来るかもしれない。


「…ヒマ。」


長い沈黙が続いていた。


だが武藤さんの一言がその空気をぶち壊した。


凄い…何でこの集中力が巡っている空気感でその言葉が言えるの….?


少しだけ彼女のことを尊敬した。


「暇って漫画読んでたじゃない。」

「うーん、飽きた。」

「飽きたって…私の漫画貸そうか?」

「百合は守備範囲外。」

「あっそ、じゃあちりを見習って勉強でもしてなさいよ。」

「…勉強って気分じゃない。」

「教室帰りなさいよ。」


表情一つ変えずに彼女たちは会話をしている。

それどころかお互いの顔すらも見ていない。


千紗はノート、武藤さんは漫画から目を一切離さない。


…これが幼馴染パワーか。


異様な光景だが、幼馴染パワーというワードに何故か納得してしまった。


「…ちーちゃん、私とお話ししよ。」

「はっ!?」


突然武藤さんがくるっと回り、体勢を私に向けて話しかけた。


私は驚きのあまり、シャーペンの芯を折ってしまった。


お、お話って何….!?


そんな陽キャがお洒落なカフェや歌う気もないくせに入ったカラオケでやるようなことを今ここでするのか!?


「茉鈴、ちりは今勉強してるのよ。」

「今日くらいは私に付き合ってよー。」


武藤さんはまたへにゃっとした笑顔を見せた。


何故?どういった意図があってそのようなアクションを私に仕掛けているんだ…?


私は言葉も発さず、ただ固まることしかできなかった。


視界にはへにゃっと笑顔のまま私を見つめる武藤さんだけが写っていた。


「ちーちゃーん、お話ししよー。」

「お、お話しです、か…?」


へにゃっと笑顔から不思議そうな顔に変化した彼女は私の顔を覗いた。


「そう、お話。例えばねー…ちーちゃんが中学の時の話。」

「はっ…?」


中学の時…?


予想外の言葉に心臓が止まりそうになった。


「教えてよ、ちーちゃんがどうしてそんな風になっちゃったのか。」

「…」


本当にこの子は何を考えてるの…?


彼女への警戒心がさらに高まっていく。


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