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れっつらお勉強

ゴールデンウィークが明けるとテストはもうすぐそこまで迫っていた。


「ここまでがテスト範囲だからな。しっかり勉強しておくように。」


長かった授業もやっと終わり、昼休みに突入した。


いつもなら中庭に行くのだが、今日は違う。


私はテスト一週間前になると三時間目と四時間目の間に早弁ならぬ早ツナマヨをし、昼休みは勉強することにしている。


なのでいつも通り図書室に向かったのだが….


「…マジかよ。」


なんと机は全て埋まっていた。


こんなこと今まで一度もなかったのに。


珍しいこともあるもんだ。


とりあえずここでは勉強出来ないので、図書室を出た。


さて、どうしよう…どこで勉強しよう…


教室はうるさくて集中できない。


中庭で勉強する…いやいやあのベンチでは無理だ。


…今日は諦めるか。


「ちりも図書室?」

「あ。千紗。」


悩んでいたところに筆箱とノートを持った千紗が現れた。


「図書室で勉強するの?」

「そのつもりだったけど図書室の席全部埋まってたから。」

「じゃあ部室くる?静かだから勉強捗ると思うよ。」


そう言った千紗の片手には可愛いキャラのキーホルダーがついた鍵があった。


部室か…


「…千紗って何部だったっけ?」

「漫研よ、漫画研究部。」

「へぇー…そんな部活あったんだ…」


この学園に通い始めて早六年、漫研なんて初めて聞いた。


「あったっていうか、作ったのよ。私たちが。」

「なるほどね。」


なら知らなくて当然だ。


中学の頃は部活に入っていたが、高校生になり帰宅部と化した私は部活に対する興味が一切ないからだ。


「ちりが勉強してても私も漫画書いてるし、もう一人の部員も漫画読んでるだけだから気にしないわ。」

「部員二人なの?」

「うん。」


千紗はそれが何?という顔をしていた。


…二人で部活動といっていいのか?


それって同好会じゃね…?


うーん…知らない人がいるっていうのは気になるけど、勉強できる場所ないから仕方ない…お邪魔させてもらおう。


「じゃあお邪魔させて頂きます。」

「うん、こっち。」


軽く会釈すると、千紗と私は部室へ向かった。


「二人なのによく部室貰えたね。」

「テキトーに先生に話しつけたのよ。私そういうの得意だし。」


そういった千紗のメガネがキラリンと光った気がした。


確かに千紗はそういうこと得意そうだなぁ。


私は大人と話すのマジで嫌いだから絶対無理だな。


というか部活を作るって発想にならない。


「はい、どうぞ。」


部室と言われ、案内されたのは四階の別棟の1番端っこの教室だった。


確かここ、物置部屋じゃなかったっけ…?


「お邪魔しまーす。」


「…誰?」


部室には教室にあるような机と椅子が四つ、その中の窓際の席には漫画を読んでいる小柄女の子がいた。


この子が漫画研究部二人目の部員か…


「話したことあるでしょ?クラスメイトの花澤ちり。」

「あー…ちーちゃんか。」


漫画から目を離した彼女は私の顔をじっーと見ながらそう言った。


ち、ちーちゃん…!?


初対面の人間に対してあだ名呼び!?


こいつ…私の苦手なタイプの人間かもしれない…!

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